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第73話 トップジョブ


 ◯~ジョブについて~

  

 ジョブとは世界を創造した3柱の内の1柱が、自分たちと同格の存在を創り出すため。人間範疇生物を自らと同じ存在へと【■■】させるために組み込んだ外付けの器である。


 より困難な条件を達成した者、過酷な経験をした者に更なる力が与えられる仕様は【種族】や【■■■■】と同じだが、その中でもトップジョブの存在は異彩を放っているといえるだろう。


 ジョブは最大でも下級職10————500レベルまでしか就く事が出来ない。最も全てを下級職で埋めるよりも上級職の方が成長の伸びが大きいため、その様な者は滅多にいない、いやそもそも500レベルに到達する以前に才能の限界にぶつかるモノの方が圧倒的に多いだろう。


 簡単に言えばジョブは器、人————才能はそれを入れる容器と思えばいい。才能のあるモノは全ての器を収めることが出来るが、才能の乏しい者は数個の器で限界に達してそれ以上のジョブに就く事は出来ない。


 トップジョブが異彩を放っているのは、才能の限界に達した者でも条件さえ充たせばそのジョブに就く事が出来る点にある。もっとも、トップジョブの開放条件は難関のうえ達成困難故に才能の乏しい者で開放するのは極めて難しいだろう。それ以前に頂に座れるのは一人のみしかいないのだから。


 それ以外の目的を持って設けられたジョブはある。世界の役割を定めるWRジョブとまったく異なる系統のジョブを極めることで開放される『系統外トップジョブ』がそれらにあたる。


 なぜ創造主がこれらを設けたのかは想像するしかないが、才能が乏しい者や才能あれどトップジョブを獲得できなかった者への救済措置かも知れない・・・・・或いはただの遊びか・・・・・。



 しかし、これまでの歴史の中で【■■】まで至った存在はいない。【ジョブ】も【種族】も【■■】に至れなかった。恐らくは【■■■■】も・・・・・・故に創造者たちはこのシステムに見切りをつけいずこかへと去った。


 現在残っているのはそれらを管理するシステムと、外敵排除にして最終試験である【■■】のみが残っている。・・・・・・・もはや見守るモノも、必要さえなくなったが脅威としてあり続けている。





 ◆


【殲滅者】志波蓮二


「ハイ! ございますよ。それらは『系統外トップジョブ』と呼ばれていました! おっしゃられた通り、全く違う系統のジョブに就き。その条件を達成することで開放されるタイプのジョブです!」


 その言葉を聞いた時の感情としては驚きよりも、「やはりあったか!」という納得の方がしっくり来るだろう。


「そう・・か! その複合型の中に、今の俺のジョブで就けそうなモノはあるか? あと同じトップジョブでも性能に差があったりするのか?」


 【殲滅王】は魅力的だが、先に就けそうな条件のジョブがあるならば。是非とも存在と条件だけでも知っておきたい。 後の問いは・・・ちょっとした興味だ。


さっき聞いた中でもトップジョブの条件は達成が困難だ。しかし前提の条件が多かったり、複雑だったモノもあれば、条件が素直で時間さえかければ達成できそうなモノ・・・。と差があるように感じられた。


たとえば同じ括りでも、世界ランキング一位と百位では実力は勿論だが、受けられる待遇も天と地とと言ってもいい程に異なる。


ひょっとしたらだが、トップジョブもそうなのではないのか?と思ったんだが、その答えや如何に?


「では、まずは先の質問からお答えします。答えはイエスです。条件の達成を横に置いておくのなら。最大で4つのトップジョブを獲得できるでしょう」


 その言葉にはさすがに俺の鉄面皮も崩れ、驚愕の表情を浮かべてしまう。


「四つ? そんなにあるのか?」


「はい。でも条件とそのジョブ名をお教えする前にお聞かせ下さい! マスターは悪魔種なのですか?」


「!!!!!!!!!!」


 俺のステータスは特性とスキルで厳重にガードされている。それを突破してなおかつ、俺の種族を言い当てたことにまたもや驚愕の表情を晒してしまった。


 しかし、だからこそ解ったことも出てくる。目を細め表情をきつく結ぶと逆に聞き返した。


「それがお前の能力か? 恐らくはあらゆるスキル等の隠蔽や阻害を無効化。対象のあらゆるデータを知ることが出来るってところか?」


 俺の隠蔽能力を抜いてステータスやスキルを知るのは恐らくはトップジョブクラスの専用スキルか相当上位のアイテムがいると思っている。


  特殊装備品枠である【記録者】はジョブにも就けず、そういったアイテムを装備しているのも見当たらないならば。もはやそういった機能を搭載していると言われたほうがしっくりくるし、それ以外は考えつかない。


「その通りです! 機能の名は『真理追究』。あらゆるモノをありのままに映し出す機能です。だからこそ疑問です。魔物はジョブには就けません。何故ジョブに就く事が出来るのですか?」



 は? 魔物はジョブに就けない? 俺とクレアは就けてるぞ? ・・・・・可能性があるとしたら最初貸与された【無限の可能性】くらいだが。


それじゃなければ俺たちは元人間種。その名残でジョブに就けるだけかもしれんな。

考えようにも、持ってる情報が少なすぎてわからん。これまでの経緯をある程度話しておくべきだな。 


それに、【始原文明】を滅ぼした【■■】については知っておきたい。情報共有と行こうじゃないか!


「そんなのは俺が逆に聞きたいくらいだが、この世界でこれまで起こった事とこれから起こるであろう事をある程度話す。・・・代わりに何故【始原文明】が滅びたのか教えてくれ!」


 俺の言葉に希望を冠するモノ。【文目の記録者】は笑顔で頷いた。


それから俺はこの地球で起きたことを大まかにではあるが、説明した。


「なるほど! 随分と複雑なことが起きているようですね。ではマスターは元々は人間であった事は間違いないのですね?」


「ああ。それは間違いないな。お前なら嘘を付いてないのは判るだろ?」


 【記録者】はその言葉には答えず。ただ笑みを深くした。


(やはりな! 恐らくは嘘を感知するような機能も搭載されているようだ! 情報を精査して記録するものとしては搭載してあって然るべきだろうがな)


 情報は嘘や偽証があってはまったく無意味なものになる。その程度の事をコイツを創った天才が思い至らないわけが無い。最低でも人間種の嘘を感知する能力は搭載するはずだ。 


「で? 私は人間に仕えるのが役割ですので。悪魔には仕えません! とかは言わないのか?」


 なぜ俺が悪魔種なのか聞く理由はそれ以外には思い浮かばないんだが?


「既に所有者登録は済まされています。今さら登録を変更することは出来ません。それに貴方に従うことについても、問題ありません」


 ここで腹芸をしても意味が無い。少なくとも情報を頂くまでは・・・・・な! 切り替えて話を聞くだけ聞くべきだろう。


「それならばそれで良い。それで先ほどまでの話を踏まえて聞きたい。当時の記録にも、急にステータスの表示が変わったり、スキルの仕様が変更されたことはないか?」


「それについての説明の前に、当時のジョブとスキルの仕様についてお話しします」


 【記録者】はそう言った後に一拍置き、それから話し始めた。


「あくまで私の知る限りの情報になりますが、当時は『固有スキル』それに『武器スキル』といったスキルは存在していません!」


 は? 『武器スキル』が追加されたのはつい最近だからわかるが、『固有スキル』も無かったのか? いや、質問は最後まで聞いてからにしよう。


「スキルもアクティブ、パッシブといった括りではなく。全て同じ枠組みで、ただ『スキル』とだけ表示されていました。それと『種族選択』などといったモノは確認されておりません」


(どうゆうこった? これは俺の勘だが、【始原文明】・【神代文明】・【地球】って年代のはずだ。『運営』はユーザーが見やすいよう解り易いように『アップデート』をしていったってことか? 『種族選択』はイレギュラーで異物と前に【叡智】が言っていた。『種族』ってのは言わば外来種みたいなモノなのか? だめだ・・・・情報が足りない!!)


 わからん? 情報を貰っても頭が追っつかなくて整理できない。取り敢えずは先に話を聞こう。


 続きをどうぞ!といったジェスチャーで話の先を促す。


「スキルに関しても、修得できるものは選択したジョブによって決まっています。本来マスターのビルドですと魔法は一部の下級呪術と回復魔法程度しか修得出来ないはずです。また、魔法も黒魔法、神聖魔法ではなく、スキル名のみ表示されていました」


 はぁ? 魔法も本来こんなに自由じゃなく。もっと不便だったってことか?


 俺の疑問を感じ取ったのか先んじて説明をしてくれた。


「魔法スキルは条件達成などで習得できるものもありますが。大抵は魔法職について10レベルごとに二つほど選択できるシステムでした。あと、詠唱といった概念はなく、時間経過のチャージによって魔法を発動する仕組みとなっていました。ああ、チャージ時間を短くするスキル等はありましたね!」


 「今とまったく仕様が違うじゃねぇかよ! コロコロ変わりすぎだろ?」と口から出そうになった罵声を呑み込む。


「前衛職も同様で10レベルごとに二つの攻撃スキルが選択可能でした。あとは剣術や槍術といった武器を自在に扱うためのセンススキルと呼ばれるものを修得出来ましたね」


(確かに、最初は剣術はスキル欄にあった。『アップデート』?後は知らん間にスキル欄から消えていたけど!)


 それには————その出来事には覚えがあった。


「上級職の特徴としては最大レベルまで極めると奥義と言われるスキルを修得出来ました。マスターもご存じの【聖騎士】の『グランドクロス』に【暗黒騎士】の【ダーククルセイド】。まだ修得できていませんが、一日に一度だけ5分間の間攻撃の威力を倍加する【殲滅者】の『ターミネイトタイム』などです。無論ですが、トップジョブにも奥義スキルがあります。後全てのトップジョブではありませんが、秘奥義と言われるスキルがあります・・・・・・と、こんなところですね」


「つまり、当時と比べると今は全くスキルの仕様が違うってわけか? で、話は戻るが。当時は急に表示や仕様が変更されたことはお前の記録には無いか?」


「私が記録する限りはございません」


 キッパリとした断言に、頭を抱えたくなる。どうなってんだ? これが素直な感想だ。


 

「では、何故【始原文明】が滅びたのかをお話し致します」


そんな俺の内心などお構いなしに話を進めてくる困ったちゃん。続く重要情報に、俺は気力を振り絞って居ずまいをただした。

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