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第4話 確認

    

(あの~。・・・・マスター質問をどうぞ?)


 あまりのテンプレな展開に頭が付いていかず思わず呆然としていたが、頭に響いた声によって我に返ると前もって考えていた質問をしてみる。


 Q1:「ダンジョンとは何か?なんで俺の家の地下に出現したのか?」

 A1:(ダンジョンとは【■■■】の意思を代行するシステムの一部であり最終目標としては

【■■■】を産み出すこと。但し、ダンジョンは【■■■】を産み出す手段のひとつ。なぜこの家の地下に現れたのは理由は不明です。推定ですが偶然と思われます)


 Q2:「【■■■】については答えられないのか?」

 A2:(現在の権限ではお答えできません)


 Q3:「種族とジョブについては?」

 A3:(ジョブとは【■■■】と呼ばれる存在の一柱が創造した【■■■】に到達するための根幹となるもの。種族とは【■■■】の当初の意思が絡まぬ異物であり。【■■■■■】の判断により、急遽組み込まれたもの)


 Q4:「ダンジョン内に怪物は存在するのか?存在したとしてこの扉を潜って外に出てこられるのか?」

 A4:(ダンジョン内には魔物と呼ばれる生命体は存在します。現状この扉から魔物が外に出ることはありません)


「この答えを信じるならとりあえずの安全は確保できたか」


思わずほっと胸をなでおろすと、急に力が抜けてくる感じがした。この扉から怪物さえ外に出なければあらゆる問題は一気に解決したといっても過言じゃない。当面の危機が去っただけでも充分といえる。


(そろそろ出社しないと本当に遅刻してしまうな。後2つ質問してから切り上げるとしよう)


 そう決めて再度質問を開始することにした。流石に遅刻は不味いしな。


 Q5:「魔物はなぜダンジョンの外には出られない?」

 A5:(全ダンジョンの入り口と1Fの間にある大広間には特殊な結界が張ってあるため力尽くでの突破は不可能。ダンジョンの魔物では仮に最上級の魔物であっても不可能です)


(この言葉が本当ならば・・・・・だが、とりあえずの納得は出来た。では最後の質問だ)


 Q6:「ステータスカードには未選択とあるが、ジョブと種族はどのようにすれば選択できる?」

 A6:(現状だとジョブはダンジョンの大広間にあるクリスタルに触れれば、転職可能なジョブが表示されるので、転職したいジョブに触れれば完了します。種族はステータスカードの種族をタップすると表示される。進化可能な種族を選択すれば可能です)


 なんかゲームやラノベと似たような方法に思わずため息が出るな。ジョブクリスタルだとか、進化の軌跡とかゲームの定番じゃねぇかよ。


  なるほど知りたいことは大体わかった。【種族】・【ジョブ】・【スキル】などラノベとゲームを愛する俺にとって魅力満載の厨二要素満載。 会社? んなモン行ってる場合じゃね~! ダンジョンのお宝を根こそぎ手に入れてハーレム王になったるで~。 うひゃひゃひゃひゃ~!










 ◆


「ってな風にラノベの主人公とかならなるんだろうな」


そんな冷めたセリフをつぶやきながら。俺は書斎の扉を閉めて上に通じる階段を上っていた。


確かに俺はゲームやラノベが大好きだ。もしもこれがゲームや夢の中なら。俺はダンジョンに入っただろう。


(でも現実はゲームや物語、妄想のように。何でも都合よくいくほど甘くない)


 いま確認できたことをまとめれば、確かにコレはゲームのようなシステムかも知れない。だがもしゲームだとしても、ノーコンクリアできるゲームなど今時存在しない。死んでもリスポンすればいいゲームと違って、現実で死ねば復活なんて都合の良い展開は存在しない(それを回避できるアイテムやスキルはあるかもしれないのは否定しない)。


「死の危険性もある以上、俺はそんな危ないところに入る気にはならないな」


どうしても中に入らなければならない理由がない俺にとって。ダンジョン攻略など負担でしかない。 もし怪我でもして会社を休む羽目になれば、他の社員にその分の負担がのしかかる。


「ブラック企業や嫌な奴らばかりの職場環境ならともかく。今の職場では入社当時から社長を始め、いろいろと世話になっている。 どうしてもやむを得ない事情があるならばともかく、馬鹿な真似して怪我するなんて不義理はしたくないしな」


 思い起こされるのはオヤジが口癖のように言っていた言葉の数々だ。


「ふんどし欠いても義理欠くな!」


「物事を成し遂げるにあたって一番大事なのは地位でも金でもない。何が何でも成し遂げてやる!という意志と覚悟だ」


酒が入ると、親父が事あるごとに口にしていた言葉。普段寡黙なオヤジが酒が入る口癖のように言っていたからよく憶えている。確かに女に金は魅力的だが、俺には命を賭けてまで欲っしているものではない。


なんの覚悟もない俺がダンジョンに入ったところで、魔物に追い掛け回されて命からがらベソかきながら逃げてくる光景が目に浮かぶぜ。


 だから・・・・・・・命を賭けてまでダンジョンに入る必要など俺にはないんだ。


 この時、俺はそう本心から思っていた。


しかし、このすぐ後。俺がダンジョンを攻略しなくてはならない理由が出来るなど、夢にも思っていなかった。

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