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第53話 4度目の進化


 お見舞いも無事に済ませ! 今は自宅への帰路についている。歩きながらも常に、これからのことを考えている。主に母の病の進行状況についてだが!


(表面上は元気そうに見えたが・・・・主治医によると、良いときは普段通り。悪いと起き上がることさえできないようだ)  

 説明によれば、病状の前例さえないから。詳しくは判らないそうだ。まぁ魔素なんて訳分からんモンが原因だし、無理もないと嘆息する。


(容体が悪化しているのは間違いないだろう。再度解析で調べたところこの病気は進行に関しては個人差があるようで早ければ数か月で死に至るようだし。遅ければ2~3年は大丈夫のようだ)

 だが、最悪の事態を想定するべきだ。

 

(俺の勘だが病気の進行が速いと思う。期限は長く見積もっても半年以下と見ておくべきだろう!)

 一刻も速い治療をする必要がある! と決意を新たにするが、先ほどの───病院での母とのやりとりを思い出し、つい苦笑してしまった。


 帰り際に『いい加減、彼女くらい連れてきなさい』と揶揄われたので、つい見栄を張って。『今度連れてくる!』と返してしまった。無論のことだが、そんな予定も相手も余裕さえも無い。母の事だから俺の嘘などお見通しだろうけどな!


(だがあのニヤニヤした顔を驚かせてやりたいな!)

 あの顔は『アンタに彼女なんて出来るの?』って大書してあったからな。綺麗な女性を連れて行ってビックリさせてやりたいのは本心だ!・・・・相手がいないけど!


 一瞬、クレアが脳裏に浮かんだが。直ぐに頭を振って追い出した。母の見舞いに行きたいと言っていたことから。クレアなら頼めば付き添ってくれるだろう。だが母を騙すようなものだし。何よりもクレアに失礼だと思ったからだ。


 ◆


 足早に帰路につくと、携帯アプリのニュースサイトから記事が挙がってきていた。その内容は『アルプスに突如出現したダンジョンの調査に向かっていた調査隊と、護衛に当たっていた機械化部隊が全滅! いったい何があったのか?』既に知っていた情報なので無視した。


(国防軍は失態を隠しきれなかったようだな! まぁ調査員は民間人・・・・・隠すにも限界があったんだろう!)

 それだけ思い、他のニュースに目を落とす。


 『日本のみならず、世界中でダンジョンが出現』。『人類滅亡の前触れか?』など民衆の不安を煽るようなニュースが立て続けに挙がって来ていた。


 問題はダンジョンが出現したことじゃない・・・・そんなことはとっくに判っている。俺の関心はダンジョンを攻略した国が、有るか無いか・・・・だ! もっとも、それは意味の無い考えだがな。


(仮にダンジョンを攻略できても俺ならば隠しておくがね。もしも大国に知られたら。情報提供だの共同調査だの名目を付けて、こちらのアドバンテージを搾り取るに決まってるんだ!)

 ・・・・・ということだ! 公表するにしても。国家ならば、もっと時機を考えるはずだ。


(個人ならば判らないがな!)

 俺という前例がある。個人でいないとは、言い切れない! 個人の考えなんぞ、読めるはずもない!


(公表はダンジョンから得られる利を確立してから行うのがベストの筈だ! まぁお偉いさんたちの詰まらん見栄で、利を捨てるなんてことに成らなきゃいいがね)

 国やら軍やら大きくなると、しがらみや面倒が増える。馬鹿な真似をしないとは限らない!


(ま、知ったこっちゃないが。人はヒト。我はワレだ)

 俺には関係ないし、興味さえ無い! 勝手にすりゃいいのさ! そう断じて切り替える。


 政治や国家運営はそれに携わるモノ達が責を負うべきだ。こっちは税金を払ってるんだ。国民としての義務は果たしている。


(まぁ法が整備されてないだけで、人の道理に背いてはいるがね!)

 内心で人の悪い笑みを浮かべる。だがそう考えるのも、仕方が無いかも知れない!


(異世界の通貨を幾ら持っていたところで、脱税にはならんからな。たとえダンジョンで手に入れた宝石や、インゴットを売り捌くだけで。下手したらかなりの大金になる。だが別に換金してないから問題無し)

 法に触れないだけで、結構なあくどい事をやってるのだ。法整備されれば多少は考えるかも知れない。『ダンジョンで手に入れた品は。全て一度、国に納めること。その後で査定を行い、適切な金額を支払う物とする!』とかな。  

 

 もっとも、そんな馬鹿馬鹿しい法に従うほど。志波蓮司という人間は素直でも従順でもないだろうが!


 ◆


(さて、帰って進化と装備の受け取りだ。どんな装備が出来てるか楽しみだな!)

 何だかんだ言っても、やはり進化するのは楽しいのだ。テンションを上げながら、歩く速度を速めた。

 

 家に着くと玄関の戸締りをして、すぐに地下に降りた。出かけている間も、クレアは俺がマニュアル作成した魔力操作の練習をしていたようだ。


 俺はステータスカードをタップして進化先を表示する。


 ◆◆

 〇アークデーモン・ジーニアス・・・種族ランク・B+

 〇デーモン・キャッスル・・・・・・種族ランク・B+

 〇ベルセルク・デーモン・・・・・・種族ランク・A-

 〇最高位吸血鬼・・・・・・・・・・種族ランク・B

 〇デーモン・キャバリエ・・・・・・種族ランク・B

 〇デビルドラゴン・・・・・・・・・種族ランク・B


(一気にA-が出て来たな?どれも強そうな名前だ。どれどれ下から確認してみよう)


 〇デビルドラゴン

 種族ランク・B


 悪魔の因子を取り込み、攻撃に特化したドラゴン。攻撃魔法に肉弾戦と、どちらも高い能力を備えている上に再生能力もあるので持久力も高い。性格は凶悪かつ残虐でドラゴンの中でも忌嫌われている。


 〇デーモン・キャバリエ

 種族ランク・B


 魔王直属のエリート悪魔騎士。全ての能力が高く隙が無い。これと言って秀でたステータスは無いが、逆に言えばそれが特徴ともいえる。魔法と武器等に対しても適性が高く、安定した実力を持っている。


 〇最高位吸血鬼

 種族ランク・B


 吸血衝動を克服し。日光に対しても、体の動きが多少鈍る程度で済むほどの耐性を得た最高位の吸血鬼。 体を霧状にしたり、闇を操る。獣を使役するなど、非常に多彩な能力を持つ。

特に闇夜では心臓に杭を突き刺すか、魔蔵と云われる特殊な臓器と心臓を同時に破壊されない限りは何度でも蘇るほどの不死性を持つ。


 〇ベルセルク・デーモン

 種族ランク・A-


 あらゆる生命を殺しその血を浴び続けたことにより、理性を失い殺戮の化身となった悪魔。狂気と殺戮衝動に支配されているので、非常に危険な存在。悪魔の中でも呪われた種とされ、進化した場合には処刑対象となっている。魔法と理性を失った代わりに得たステータスは脅威の一言。討伐に乗り出した悪魔の軍隊を壊滅させたという逸話もある。


 〇デーモン・キャッスル

 種族ランク・B+


 動く事は出来ないが、圧倒的な巨体と堅固な体を持つ悪魔の城。生物の骸を体内に取り込むことで、生物を創り出すことが出来る。もしも、デーモン・キャッスルに生物の骸を供給する協力者がいたら、圧倒的な軍勢と強固な城による難攻不落の城塞となるだろう。


 〇アークデーモン・ジーニアス

 種族ランク・B+


 上級悪魔・アークデーモンの異常変異個体。通常のアークデーモンの上位種である。チャンピオン・ワイズマン両方の特性を兼ね備えている。近接・魔法共に隙が無い強力な悪魔。真に恐るべきは魔王クラスからしか使えない『時天魔法』を扱えることだろう。嘘か誠か、スキルを開発することが出来たともいわれている。この個体が現れたこと自体が過去に一度しかないため。今後の進化先を知るものは誰もいない。



(今回はどれも捨てがたい魅力があるな。デビルドラゴンとキャバリエはBランクだし取り敢えずは除こう)

 少しでもランクが高い方が今後に有利だ。当然ともいえる選択だろう!


(今回、一番ランクの高いA-でも魔法と理性を失うのはキツイ。ベルセルク・デーモンも除外だな)

 進化後にデメリットを負う可能性が高い進化先も除外する。


(となると。最高位吸血鬼。デーモン・キャッスル。アークデーモン・ジーニアスから選ぶわけだが、どれにしようか迷うな!)


(最高位吸血鬼は陽の光という弱点はあるが、夜間の不死身っぷりは弱点を補っている。トリッキーな能力も悪くない)

 吸血鬼は高位になるとゲームでも強キャラなのが定番だ。アリと言っちゃアリだろう。


(デーモン・キャッスルの生物を産み出す能力なんざ、ラノベでもお馴染みのチート能力だ。ゲームなら俺の趣味的に、これ一択だろう。ただこれは現実で、動けないのがネックなんだよな。実際、俺が進化したらどうなるかわからんが・・・・・万が一動けなかったら詰む)


 この進化というシステムは中身が変わるだけで、ガワ————外見の変化はほとんどない。精々が興奮すると耳や尻尾が生えたり、意図的に翼を出せるくらいだ。普通に動けるかもしれないが、もし動けなかったら最悪だ。


(アークデーモン・ジーニアスは万能型。魔法と近接のどちらもイケるのは汎用性が高い。更に、時間と空間を司る時天魔法習得は途轍もなく魅力だ)

 ラノベでもお馴染みのチート能力だ。このシステム的に条件や代償があるが(そうフレーバーテキストに記載してある)、それに目を瞑っても抗いがたい魅力がある。


 ◆

 〇時天魔法


 時と空間を操る最高位魔法。嘗ては禁術とされており、習得するだけで罪に問われた。現代では禁術制限はなく。一部の強力な種か、特殊なジョブでのみ習得できる。強力ではあるが、条件が厳しかったり、クールタイムや消費MPが桁外れに大きい。


 ◆


 俺の予測だが、これを極めていけばラノベの定番である、転移のようなことが出来るんじゃないかと見ている。


(仮に使用に対して制限があっても転移能力は魅力的なんてもんじゃない。習得さえ出来ればお釣りが来るだろう。それにスキルを開発できるかもしれない能力も、充分にチートだ。ここは・・・やはりジーニアスだろうな)

 それにフレーバーテキストにデメリットが書かれていなかった事も大きい。やはり弱点やデメリットは無いならないに越したことが無い。今の所属の正当な?進化先だろうってのもあるがな!

 

 進化先をタップして進化を開始する。直ぐに漆黒の闇が俺を包み込んで俺の体を変化させていく。

少しの間をおいて、闇が消え去ったのを確認し。自分自身に解析を掛けてみた。


 ◆

 Name:志波蓮二

 種族:『アークデーモン・ジーニアス』・種族ランク:B+・0/100%

 MR:8

 JOB:【聖騎士】LV:75:合計325

 HP:62442

 MP:59192

 SP(体力):7630

 STR(筋力):9125

 AGI(敏捷):6097

 MAG(魔力):8179

 VIT(耐久力):5350

 DEX(器用):1800

 LUC(幸運):700


 〇アクティブスキル

・【黒魔法LV:8】・【結界LV:8】・【瞬間装備変更LV:5】・【暗黒魔法LV6】

・【重圧LV:5】・【ダーク・クルセイド】・【神聖魔法LV:5】・【古代魔法LV:2】

・【時天魔法LV:1】・【召喚LV:3】・【空力LV:5】


 〇パッシブスキル 

・【索敵LV:5】・【逃げ足LV:5】・【魔力操作LV:9】・【詠唱破棄】

・【気配遮断LV:6】・【並列起動LV:10】・【身体系状態異常耐性LV:3】・【奇襲】

・【精神系状態異常耐性LV:1】・【装飾品装備数+1】・【聖なる守護】・【闇の祝福】

・【聖の祝福】・【呪詛移し】・【HP回復速度上昇LV:5】・【MP回復速度上昇LV:5】



 〇武器スキル

・【昇竜連斬】・【五月雨斬り】・【臥龍点晴】・【滅魔の太刀】・【髑髏呪怨斬】・【魔剣解放】【聖剣解放】【昇龍脚】【不動鉄塊】・【羅刹腕】・【仙気功】・【幻影旋空】・【守護者の心得】【聖流旋斬】・【闘仙発勁】・【虚空疾駆】・【轟烈砲拳】・【闘気砲射】【明鏡止水】

・【静水乱華】・【百花繚乱】


 〇種族特性

・【高速飛行】・【大悪魔の呪爪牙】・【変身】・【悪意感知】・【聖属性被ダメージ倍加】

・【暗視】・【影支配】・【光学迷彩】・【高速再生】・【支配の魔眼】・【誓約書作成】・【魔核】


 〇固有スキル

・【賢者の解析眼LV:3】【進化の系統樹】【万能言語対応】【転移門】


 HP:補正・C

 MP:補正・B

 SP(体力):補正・C

 STR(筋力):補正・B

 AGI(敏捷):補正・C

 MAG(魔力):補正・B

 VIT(耐久力):補正・C

 DEX(器用):補正・H

 LUC(幸運):H

 

 ◆


(俺はどうやら賭けに勝ったらしいな)

 あるスキルを見てそれを確信し。思わずガッツポーズをしてしまった。だが、無理もないことだよ。


 ◆◆

 〇【転移門】


一度行ったことにある場所への転移門を創り出すことが出来る。一度使用すると再使用までに48時間のクールタイムが必要となる。転移門を維持するのにMPを毎秒1万消費する。異世界間の転移は出来ず、あくまでもその世界限定である。


(確かに燃費は極悪だ・・・・しかしそれに見合った性能だ)

 行ったことのある場所に行けるなら、活動範囲は一気に広がる。これは良いスキルだ!!


(準備は整った! これからはもっと積極的な行動が必要だろう!)

 進化した事により、今までよりもっと活発な行動が出来るようになった。その事実に、思わず頬も緩んでしまいニヤニヤ笑いが止められない! 


(検証はあちらに行ってからだ。そんじゃ、装備を貰いに行きますかね)

 クレアを呼んで、俺に付いてくるように頼むと二つ返事で了承してくれた。


 クレアを連れていざ行かん、異世界へ。

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