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第50話 ダンジョン初攻略


 ボスを倒し、下の階層で探索を開始して15時間が経過した。現在は31階でスキルの検証と鍛錬を行っている。


 スキルの適用範囲を明確にして弱点を洗い出す。地味だがこういったことを怠ると、後で泣きを見る。そうした経験は、ゲームでのことだが・・・何度もあった。


 武器スキルもお陰で大分強くなった。そして【聖騎士】は70レベルに達した。このダンジョンで一日近く戦い続けても30レベルも上がらなかった。やはり低ランクモンスターをチマチマと狩っていても、レベリングの効率は悪い。


 多少のリスク込みでも高難度の狩場に行く方が効率的だろう。探索も並行しているので、恐らく今日中に最下層まで行けるはずだ。


(明日は休息を取りがてら母への見舞い。明後日には異世界でおっちゃんから装備を受け取る。そんで異世界のDランクダンジョンに潜ってこちらと比較検証)

 取り敢えず方針を定ておく。


(このダンジョンのレベルなら他の連中が最下層に来る日もそう遠くは無いだろう。追いつかれないように、俺も今以上にレベルを上げて自力の上昇。スキル・魔法の研鑽に励むべきだな!)

 アドヴァンテージを確保しておくため、更なる研鑽を積む事を決意する!

 

 今後の予定を大まかにだが立てたレンジは。鍛錬を切り上げ階段を下り、更なる下層に足を進めた。


 ◆◆


 レンジの勘違いを訂正しよう。

「この程度のダンジョン」・・・・・この言葉自体がすでに誤りである。

このダンジョンが簡単に感じるのはレンジのステータスと戦闘技術が並外れているからに過ぎない。


 もし地球で今のレンジのレベルに追いつくだけでも、速い者で・・・・・一年は掛かるだろう。才能あるモノの開花した能力次第・・・・と付け加えるが! それは現在触れる必要が無いモノだ。今のレンジに追いつくには、普通ならそれぐらいの時間は必要だ!


 その理由をいくつか挙げるなら、まずはジョブに関する情報の不足。異世界で上級職の情報を購入し、【叡智】で事前に学習していたレンジとこの地球では・・・・・ジョブに対する理解と研鑽が違う。


 そして、レベリングするにあたっての環境の違い。周辺のフィールドにレベリングできる異世界と違って。こちらで安定したレベリングをしたければ—————モンスターとコンスタントに遭遇できる場所はダンジョンしかない。低レベルの者が、高難度ダンジョンでレベリングを行うなど自殺行為。ならば行先はDランクダンジョンしかないが。すでにある程度の法治国家は出現したダンジョンの入り口を封鎖している為、一般人などは立ち入り禁止だ。どちらも到底現実的ではない。


 仮に同じ環境が地球にあったとして、レンジと同じような真似が出来るとは限らない。普通の人間がレンジと同じ方法でレベリングしていたら、良くてPTSD───下手したら廃人だろう。


 これは決して大袈裟でも冗談でもない! 命の危険の中、大量の魔物に囲まれる恐怖。殺されるかも知れない恐怖は・・・・・それだけでもマトモな神経や精神では耐えられない。


 戦争から帰還した兵士が日常に戻り。夜に魘されているのを起こした家族を、敵兵と勘違いして殺し掛けた話は地球ではあまりにも有名だ! それ程までに命のやり取りは精神を蝕む!

 それなのに、進んでそんな場所に行くなど、控えめに言っても頭がおかしいのだ。


 ましてや魔法やスキルをシステム通り漠然と使うだけじゃなく、システムを理解し改良するなど、異世界であっても熟練者のみが扱える高等技術である。


 間違ってもこのシステムに触れて、一か月も経たない人間が出来ることでは無いのだ。


 この国でダンジョンをクリアできる人材が育つには・・・・・早くても1年以上は掛かるだろう。


 ◆◆


 さてさて、目の前にありますのは34階の大扉。恐らくはこれが最後のボス戦だろう。

 今更恐れるものは何もない。躊躇いもせずに扉に触れて中に入った。


 扉の奥はだだっ広い広間になっていた! 最奥に銀色の光沢を帯びた一対の翼。なぜか背中にロケットブースターのような、バックパックを背負った悪魔像が一体。周りには鈍い黒光りを放つゴーレムが5体。


 ◆◆

 〇名前 :『試作悪魔像NO.423』

 〇種族 :試作ミスリル合金ガーゴイル改良型・種族ランク・D

 LV:49

 

 〇HP :8797

 〇MP :1398

 〇力  :1578

 〇敏捷 :136

 〇体力 :∞

 〇知力 :567

 〇魔力 :0

 〇運  :456


 〇アクティブスキル

・【試製レーザー砲】・【振動防御】・【遠近対応型多目的攻防武装 トイボックス】


 〇パッシブスキル 

・【魔法耐性LV:5】・【物理耐性LV:5】・【全状態異常無効】・【弾薬製造LV:5】



 〇種族特性

・【飛行LV:4】・【自動魔力精製機関】・【人工知能】


 〇固有スキル

【不動鉄壁】


 ◆◆


(なんとも癖のあるステータスだ! それに防御力を上げる固有スキルか?)


 〇『不動鉄壁』


 不動を条件として発動するスキル。発動中は物理防御力が3倍となる。


(要するに動かなきゃ超固いってことね。しかし、一気にSFみたいなスキルが出て来たな? それに比べてアイアンゴーレムは平均ステータス800~1000の雑魚だ。スキルも一切無いし、どういうことだ?)

 以前に見たゴーレムもスキルが無かったので、ゴーレム系統はステータスが高い代わりにスキルが無いかもしれないな。


 こちらに押し寄せるゴーレムに対し、黒魔法『泥沼』で地面を泥上に陥没させ足止めを図り、暗黒魔法『腐蝕餓鬼界』を発動する。


 暗黒魔法『腐蝕餓鬼界』は一見小さなピンポン玉を相手の周囲に飛び回らせるだけの地味そうに見える魔法だが、その効果は恐ろしい。


 このピンポン玉は相手の体に入ると急速に膨張し、相手を内側から急速に腐らせる。腐らせた後も半径10メートル以内の相手に襲い掛かり、接触した物を連鎖的に腐らせる。


 効果の終了は、相手を腐食させた後の60秒以内に発動範囲内で敵がいなくなるか、俺の魔力供給が尽きた場合に解除される。

 

 暗黒魔法は呪術の発展だけあって凶悪な効果の物が多い。

それゆえに使用法を間違えると自分にも害をなすようなので注意が必要だ。


 ゴーレムは泥沼となった地面から抜け出そうと藻掻くが、自重の重さからドンドンと沈み込んでいく。身動きの取れなくなった所にピンポン玉が体内へと溶け込むように潜り込み、鋼鉄の身体を内側から腐らせ、頑強な肉体は崩れ落ちていく!

 

 5分にも満たぬ間に5体のゴーレムは瞬く間に腐り果て、跡形も無く崩れ落ちてしまった。

 レンジはその様子を機械のような無機質な目で確認している。効果の範囲や腐食時間を検証しているのだろう!


 ・・・


 ゴーレムが崩れ落ちたのを確認し、次いでガーゴイルに一撃を加えるべく向き直る。だがガーゴイルは、こちらに向けて大口を開けていた。口には光が収束し、光を放っている。


(っ!? ヤバイ!)

 その危機感がレンジを救うことになった。


 咄嗟にその場所から飛び退くと、俺のいた場所を一条の光線が薙ぎ払った。


轟音を響かせた着弾点に目を向けると俺のいた地点が綺麗に抉れていた。


(恐らくは光──レーザーだな。発射されてから避けるのは無理だ! だがタメが有るなら対処は出来るはずだ!)

 光を躱すのは不可能だ! だが予備動作があり、発射までにタイムラグがあるなら対応は可能だ!


 今度はコチラの番。反撃すべく距離を詰めようとするが、今度はガーゴイルを設置した台座の左右に砲身がせり上がり。合計12門の砲身から一斉に銃弾が殺到した。

 それもただの銃ではなく、回転式重機関砲───俗にガトリング砲と呼ばれる代物が、レンジを捉えている!


(ガトリングってふざけんじゃねぇぞ。ファンタジーゲーから急にSFゲーに飛ばされた気分だぜ!)

 場違いなことを考えている内に砲身が回転し。弾丸を吐き出してくる!


 殺意を持って放たれる弾丸に対し、結界を周囲に複数展開。更に高速回転させることで弾丸を弾こうとする。


 弾丸に対して角度を付けることで衝撃を分散。更には高速回転した結界が弾丸を弾き飛ばすが、動きを止められ。この場に縫い付けられてしまった。弾幕が止む気配は一向に訪れない。


(ざけんなよ! 一体いつまで続くんだよ! クソッタレ!)

 悪態を付いたところで弾幕が止むはずもなし! ただジッと耐えるしかない。


 弾幕が止んだと思ったら、今度はパイルバンカーのような物騒なモンが俺に向けられてるじゃないですか?


(殺意高すぎだろ? しかも明らかにモンスターと武装のレベルが釣り合ってない)

 レンジの驚愕は無理もない。ランク四や五程度の攻撃なら防ぐのは難しくない。なのに一方的に攻撃されているのだから!


『ジェット・ストリーム・パイル』

 

 技名発生と同時に打ち出された、大型の杭が高速回転して俺の展開した結界を砕きながら迫ってくる。それに対してアイアンウォールを5重起動。分厚い鋼鉄の壁が杭を止めようと立ちはだかるが、まるで紙のように貫通しながらぶち破り、俺の体に大穴を開けた。


「ガハッ! く、・・・そったれ~」

 あまりの激痛で、意識が遠のくが。ここでの気絶は死と同義だ! 歯を食いしばり、何とか意識を繋ぎ止める。


 神聖魔法『天使の微笑み』で痛みを麻痺させ。『高速再生』で抉られた部位を再生させる。すぐさま欠損部位が再生されるが、その間もガトリング砲の連射が襲いかかり。俺をこの場に縫い付けている。破壊された結界を再構築してまた耐え忍ぶ。


 最初は弾丸程度のダメージは無視できると思っていたが、バラまかれた弾丸を解析した結果。それは悪手だと考えて回避か防御する方針に切り替えた。


 ◆◆

 〇対魔の弾丸


 一発ごとに固定ダメージを与える弾丸。魔物、特に悪魔や妖怪に対しては通常固定ダメージの3倍ダメージを与える。


(クソがっっ! メタ対策はプレイヤーの特権だろうがよ? つーかこれがボスとかふざけてんのか? ここまでこれたとしてもコイツに皆殺しにされるぞ!)

 怒り頭でそう考えるのは無理もないだろう。


 このガーゴイルはステータスこそ大したことないが、性能───武装の性能が異常なほど高い。それを加味すれば、ランク七相当の強さだ。Dランクダンジョンで出現していいボスじゃない。ゲームなら明らかな調整ミスで通報ものだ。


 それでもレンジの戦意は落ちていない! ここで躓いているようじゃAランクダンジョンの探索など、夢のまた夢だからだ!


(こっちもやられっぱなしじゃねぇ。あのレーザーやパイルバンカーは恐らく連発出来ない。排熱なんかのクールタイムが長いと考えるべきだ)

 そうじゃなきゃ、とっくに連発されてレンジはズタボロになっているはずだ。

 

(連射してこないのは俺を嵌める可能性もあるが、もしそうだとしても・・・・このままじゃジリ貧だ! どっかで勝負に出ないと嬲り殺しされるだけだ!)


 腹を決めてリスクを受け入れると。反撃の準備を開始する。


 飛ぶ斬撃を連続して放つ、剣技『飛連斬』を牽制がてら放つが避ける気配すらない。直撃はしたが、傷ひとつ出来ない。斬擊の着弾寸前に体がブレていたような気がする。恐らくアレは


 ◆◆

 〇振動防御


 全身を高速振動させることでダメージを減衰させ、接触部位を削り取る攻防一体のスキル。


(クソがっ! まじで隙がねぇ。あの背中のバックパックをぶち壊そうにも死角がねぇ。像が置いてある台座は回転してるし、武装の射程範囲はこの部屋全体だ・・・・・逃げ場所もねぇぞ!)


 打開策を探していると、またもや背面のバックパックが開き。

今度は大型の鎌。所謂『デスサイズ』が宙に浮かびながら横回転して向かってきた。


(つーか、その運動エネルギーはどうやって辻褄をあわせてんだよ!)


 《飛行》で空を飛ぶことによって鎌を回避したことは良いが。今度は空へと砲身を向けてばら撒かれる弾丸の歓迎から逃げ回ることになる。


 レンジは普段空を飛ばない。全方位から狙われるので対処が面倒だからだ(難しいからともいうが!)。

 しかし、ここはボスしかいないので普段は使わない飛行スキルを解禁して勝負を仕掛けた。


 アイアンブレットを改良した『集束爆弾』。大きな鋼鉄の容器の中心に魔力爆弾を配置し。容器の隙間に鋭角化した鉄の弾を詰め込んだ・・・・オリジナル魔法だ。


(結界の維持と並行して魔法を組み立てるのは・・・・想像以上に難しいな! 今後の課題がまた増えたぜ!)


 だが危機にこそ集中力が増すのが、志波蓮二という人間だ。

この危機的状況───、一歩間違えただけで命が危ぶまれる状況で、まるで焦らず魔法の構築を進めている。


 準備は整った。被弾を覚悟で魔力糸を気付かれないように伸ばし、ガーゴイルの背後にまで届かせた。


 此処までの攻防で既に大量のMPを消費し、決して余裕があるわけではないが『集束爆弾』にMPを注いでいく。その威力は上級魔法職の奥義に匹敵する!


 高位の魔法は基礎威力も高いため、低位の魔法と比較して一気にMP消費量が増大する。そして発動に対しても精密な魔力操作を必要とする。(システムに従いただ発動させるだけなら簡単だが範囲や威力。さらには改良を加えたければ研鑽が必要不可欠となる)


 魔力の構築が終わりMPも注ぎ込んだ瞬間。ガーゴイルの背後に10メートルはある円柱が出現する。その中心は真っ赤に赤熱し、今にも爆発しそうなほど高熱を放っている。


 ガーゴイルは異変に気付いたようで、台座を回転して背後を振り返るが・・・・・今更遅い。

 円柱の中に仕込んだ爆弾が起爆する。そして内部に詰め込まれた鉄弾を全方位にばら撒く。


 俺にも当然だが鉄弾が襲ってくるので結界で防ぐが。それを貫通して俺の肉体を抉ってきた。激痛が走り、全身から出血するがそれに構わず『暴風』で爆発の余韻──煙を吹き飛ばし、一気に急降下してガーゴイルに迫った。


 ガーゴイルはバックパックが破壊され。所々破損しているが、まだ健在だった。接近するレンジに気付いたのか、破壊される前に展開したであろうパイルバンカーを構えている。だが距離を開ければ同じ事の繰り返しだ。構わず急降下を続ける。


 ガーゴイルも迎え撃つ気だろう! クールタイムが終了したのか、口内レーザーをこちらに向け。更にはパイルバンカーの発射準備をしている・・・・・上等だ!


 俺に向けてレーザーを放ってくるが。俺は敢えて回避せずに直撃を喰らう。本当のレーザ————光を回避することは不可能に近い。だが、このレーザーは発射までのタイムラグがある。それでも完全回避は難しいが、脳と心臓の急所を避けるぐらいならば十分に可能だ。レーザーは真っ直ぐにしか進めないのだから!


 ガーゴイルの口から発射された一条の光が俺を貫く! 


 直撃を受け、どてっ腹に風穴が開くが。それに構わずに距離を詰め、ガーゴイルの頭部に手を置く。


 闘気を敵の内部に送り込むことで内側から破壊する『仙気発勁衝』を叩き込む。衝撃により頭部が砕け散るが、まだガーゴイルは動けるようだ。頭を砕かれても、体を動かし。こちらに必殺のパイルバンカーを発射した。


(いい加減に壊れろよ! ポンコツがっ!)

 既に直撃に耐えるだけの体力は残っていない。だが、諦める気は更々ないぞ!

 

 結界を腕部に集中展開させ、『不動鉄塊』・『硬気功』を発動。パイルバンカーを正面から受け止めるべく全身に力を巡らせた。


 不動の姿勢で、パイルバンカーを迎え撃つ準備は整った! 俺の準備が整うのを待っていた訳では無いだろうが。準備が完了したのと、発射されたのは・・・・ほぼ同時だった!


 『ガキィッ』と硬質な物をぶつけ合うような不快な音が響き渡った。


 パイルとぶつかった結界が徐々に砕け散る。なけなしの魔力を注ぎ込んで修復を図るが・・・・所詮は焼け石に水だ。修復よりも破壊されるスピードの方が圧倒的に早い。


(ハッ! 結界が砕けたかっ! だがまだ終わっちゃいねぇ!)

 虚勢のように吼える・・・実際に虚勢だ! だが窮地こそ心の強さが明暗を────勝敗を分ける! その事を本能で理解しているのだ。


 未だに高速回転をしているパイルを両手で抑え込もうとする。スキルにより、超硬となった俺の両腕が削り取られていく。

 指はひしゃげ、複雑骨折どころじゃない! だが、パイルを押さえる指は死んでも離さない。


 衝撃波によって、俺の体が打ち据えられ体の傷がさらに開く。激痛によって意識が飛びそうになるが、歯を食いしばって意識を保つ。


(あと少しだ! もう威力の頂点は過ぎた。これを凌げば俺の勝ちだ!)

 身体に鞭を打ち込み。萎えそうな心を叱咤する! その時、心の奥から声が聞こえた。『母さんを助けるんじゃなかったのか! 甘えてんじゃねぇよ!』・・・・と。その叱咤は弱気が過ぎった俺の心を奮い立たせてくれた。


(そうだ! その通りだ! もう一度・・・・もう一度、あの笑顔を見るんだ!)

 なけなしの体力を吐き出し。パイルを抱え込むようにして威力を殺す。


 徐々に回転が弱まっていきパイルの勢いが完全に止まった時。俺の右手は完全に千切れ飛び、左手も辛うじて皮一枚で繋がっているほどのダメージを受けていた。


腕だけでコレだ、衝撃波で全身の皮膚から皮が剥がれ落ち、筋肉がむき出しになっている。正しく満身創痍と言っていい状況だが・・・・・。


(俺はまだ生きているし、勝利を諦めちゃいない)

 腕も無いし足もガクガク、MPもすっからかん。なら攻撃手段は何もない? ・・・・・いや、あるんだよ。


 俺は血塗れの頭を大きく振りかぶり、志波家先祖代々の石頭を、ガーゴイルの胴体に思いっ切り叩きつけた。


 ガーゴイルの胴体は完全に破壊され、その後は死んだように動くことはなかった。


 死闘は・・・・・ここに決着した。


 薄れゆく意識の中でアイテムボックスからポーションを取り出すと飲み干す気力も無かったので。瓶の蓋を開けて真上に放り投げた。


 紅い液体が俺の体に降りかかり、ゆっくりと傷を癒していくのを確認し、俺は意識を完全に手放した。

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[気になる点] 戦闘シーンになると一人称と三人称が入り乱れるのは意図的なのでしょうか?今の所主人公1人とセリフがない敵との戦闘なので誰視点か判らなくなる事はないのですが。でも毎回緊張感ある戦闘で楽しん…
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