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第44話 無双


 全ての準備を終えた俺はラバンの森の東部に踏み込んだ。普段は魔物の気配がそこらかしこにあるが、全くと言っていい程にその気配が全くない。

 

 (この森はエンカ率はかなり高い。なのに《索敵》にも全く反応がない。クエストの影響か? 無駄に消耗しないからいいか!)

 

 クエストに挑むに当たり、勝利する気なのは当然だろう!

だが()めるのは論外だ! それで何度も痛い目にあってるしな! このクソ【運営】なら底意地の悪い───悪辣な罠を仕掛けていても驚かん!

  安全を考えるなら、このクエストを止めるのも一つの手だろう。

 しかし、異世界へのゲートを期間限定とはいえ閉ざされるのは勘弁だ! この世界の5倍速時間は俺にとってかなり有用だ。リスクが有ろうが受けざるを得ない!


 走り続けていたら、急に開けた広場のような場所に出た。

すると<はじまりの迷宮>でオーガと戦った時と同じく声が聞こえてきた。


 『クエスト資格保持者の該当エリアへの侵入を確認。これよりフィールドクエスト≪ゴブリンの王国≫を開始します』


 クエスト開始を告げる声が響き渡ると。俺を囲むように闇が集まり、闇は次第に人型となり。気が付いたときには醜悪な顔をしたゴブリンに囲まれていた。


 現れたのはパッと見て3000を超えるゴブリンの軍勢。最奥にひときわ高い背丈に漆黒の肌。頭上には粗末な王冠を被り、頑強な鎧と禍々しいオーラを放つロングソードを持ったゴブリンがいる。


 あれがゴブリンキングだろう。早速解析をしてみる。


◆◇

〇名前 :『ジ』

〇種族 :【ゴブリンキング】種族ランク:C(MAX)

〇LV:56


〇HP :4356

〇MP :765

〇力  :1243

〇敏捷 :765

〇体力 :964

〇知力 :876

〇魔力 :437

〇運  :500


〇アクティブスキル

【剣技】・【体技】・【黒魔法LV:4】・【白魔法LV:3】


〇パッシブスキル 

【軍団統率LV:5】【眷属強化LV:5】・【腕力強化LV:2】・【忍び足LV:5】・【物理耐性LV:2】・【魔法耐性LV:1】・【繁殖LV:8】・【剣術LV:4】・【軍団強化LV:3】


〇種族特性

【指揮】・【繁殖】・【性力強化】・【小鬼王】


〇固有スキル

【眷属支配】


◆◇


 (うーん。強いっちゃ強いんだろうが。今までに見てきたのと比べると見劣りするというか、なんというか!)


 今まで喧嘩を売ってきたモンスターに比べると明らかに見劣りする。そして同ランクの魔物よりも弱い! 軍団の指揮に特化したため、逆にステータスの上昇が低い類の魔物なんだろう。 


 周りのモンスターも精々がランク3。キングのスキルで強化されているといっても、ランク4の下位くらいのステータスしかない。


 勿論、油断は禁物だが。俺のステータスって、ひょっとしておかしい?

 普通こう云う試練とかって死ぬほど苦戦するか? ありえないほど理不尽なのが恒例じゃないの?


 こんな考えが頭によぎる位には。この試練は余りにも温く感じられる。

 確かに数の暴力を否定する気は無いが、それは相手に有効なダメージを与えられる攻撃が前提にあってこそだ。俺のパッシブの効果でキング以外は俺に真面な打点さえ取れないと思う。


 ちょっと拍子抜けしたが、周辺フィールドを開放しないとファーチェス近隣のダンジョンにさえ行けない。気合を入れますかね。


◆◆


 自分で考えた通り、レンジはおかしい。普通は冒険者になってすぐにランク6に挑んだり。ランク7の出現する場所に通い詰(かよいつ)めたりしない。


 レンジ本人はキチンと考えた上での行動だろうが。端から見れば頭のおかしい変人、いや狂人とさえも言えないナニカだろう(本人は至って普通のつもりだろうが)。


 このクエストも、本来ならばジョブに就いて一週間も経っていない者。それもソロで挑むことなど自殺行為である。


 もしも違う人間がこの世界に来ていたと仮定して。

レンジと同じ日にちを過ごし、このクエストに挑んだのならば。ゴブリンキングの軍団を見た瞬間に絶望するぐらいには難易度が高い。それ以前にちょっとマトモな神経をしていれば、こんなクエストは受けない。


 このクエストは難易度Dと謳ってあるが。軍勢と対峙するなどを考慮すれば、実質的には難易度Cクラス。『運営』の仕掛けた悪辣な初心者殺しのクエストだった。


 本来このクエストに対しての最適な対処法は。『期限を無視して失敗に終わらせペナルティーを受ける』が利口な対応だろう。


 このクエストと対峙して「ぬるい」などと言う発言が出ること自体がおかしいことに全く気付いていない。


 この現象が起きた理由は、レンジの持つゲームの価値観。『レベルを上げてステータスとPS(プレイヤースキル)で圧倒しろ』を守った結果である。


 その結果は・・・・・・・・・・・・直ぐに現れる!


◆◆


 発動した黒魔法『疾風迅雷』・『紅蓮旋風』により、有象無象共をまとめて消し飛ばしていく。その光景はまさに地獄の様相を呈している!


 一方は雷と風の暴力。触れた者を切り裂く疾風がゴブリン共をバラバラに切り刻み。雷に触れた者は焼け焦げ、感電死して真っ黒な死体の山を築く。


 もう一方は灼熱の暴力。炎の渦に呑み込まれ、死体さえ残らず果てるか。荒れ狂う炎の渦に酸素を奪われたことで、喉に手を当てるチョークサインに苦しみながら大量のゴブリンが窒息死している。

  

 その惨たらしい死にざまを見て、どちらが幸運なのかは・・・・誰にも判らないだろう!


 何も出来ずに屍を晒す同胞の姿に下位のゴブリン達は混乱に陥ってしまう。一部のゴブリンは戦列を勝手に離れ、逃げ出そうとしたところを上位種によって見せしめとばかりに殺されている。

 だが上位種が見せしめを行ってもこの混乱は完全には静まらない。


 見かねたゴブリンジェネラルやキャプテンなどの≪統率≫スキル持ちが立て直そうとしているが。逃げ惑う退路に網上に広がり、踏んだものを弾け飛ばす黒魔法『地雷蜘蛛』を仕込んでおいたので、踏み抜いたゴブリンが弾け飛び、周囲に肉片や臓物をまき散らす。


 仲間が目の前で吹き飛び、体の一部をまき散らしながら死んでいくのだ。いや、踏みどころが悪ければ影も形も残らない。誰だってそんな状態にはなりたくない、平静を保つことなど不可能と言っていい。


 今まで肩を並べていた同胞が弾け飛び、その肉片や臓物がゴブリンたちに雨のように降り注いだのをきっかけに。

 ゴブリン共が恐怖の表情で逃げ惑い、恐慌に陥った奴らから死んでいく。まさに地獄絵図が展開される。


 稀にこの地獄から抜けるにはこの地獄を生み出した張本人————俺を殺せばいい。という事に気付いて特攻を仕掛けてくる奴がいるが。俺にはゴブリン共に殺されてやる義理は無い! 射程に入ったゴブリンを一撃で首を跳ね飛ばすことで対処している。


 あっという間に千匹が殺され、二千匹ほどになった。このままではまずいと考えたのか、上位種共は部隊を分け始めた。恐らく五百匹ずつの四部隊に分けて、包囲網を作り上げ取り囲むつもりだろう。


 狙いが分かっていれば攻略法は幾らでもある。≪飛行≫で空に浮かび上がり、暗黒魔法『飢餓兇怪』と『奇奇怪怪』を発動。


 『飢餓兇怪』は精神ダメージと飢餓、混乱を付与する範囲魔法。『奇奇怪怪』は恐慌と幻惑を付与するこちらも範囲魔法。


 全体を巻き込むことも出来るが、敢えて対象を1000匹。2部隊を対象に指定して発動。その結果は見るも無残な現象が起こる。


 禍々しい漆黒の闇と紫色の気味の悪い霧がゴブリンの軍勢を包み込んだ時、新たな地獄が始まった。

 幻惑と恐慌により、隣にいるモノ(ゴブリン)を敵と勘違いして襲いだし。殺したのにも関わらず、執拗に死体蹴りを行い。

 挙句の果てにその死体を貪り始めた。下手なスプラッター映画よりも遥かにグロい光景が広がっていた。


 (以前なら吐き気を催すはずだが————この地獄を見ても何も感じない。俺も壊れてるのかもしれんな!)

 レンジはその光景を冷え切った目で見つめている。普通なら吐き気を催す地獄の光景を、レンジの脳はただの風景として処理している。


 状態異常に掛かっていない部隊も、狂乱した同胞に、襲われ始めたため。必死になって抵抗している。俺は奴らを囲むようにアイアンウォールを展開して逃げ道を塞ぐ。


 ゴブリンの軍勢を囲むように鋼鉄の壁が生み出され、逃げ場を失ったゴブリンは狂乱した同胞と斬り結ぶが、真の敵は同胞(狂乱したゴブリン)じゃない。空中で悠然と見下ろしている(レンジ)だ。


 (大詰めだな! 大技で一気に数を減らす!)

 そう決めて魔力を練り始める。レンジの周囲に巨大な火の玉が三つと、数えきれないほどの漆黒の球体が創り出される。連中が疲労した頃合いを見計らって、それらの魔法を一気に下方へと叩きつけた。 すかさず追加で魔法を発動。俺の周囲に渦巻くような炎の塊が生み出され、炎の渦は次第に竜の姿を象っていく。


 頭上に落ちてきたにエクスプロージョン、アイアンブレットはゴブリン共の大半を爆散させ、挽肉にしていく。運よくその暴虐から逃れた虫の息のゴブリン共を、強大な炎の竜を創り出す黒魔法『火炎竜』によって焼き尽くした。

 この魔法(『火炎竜』)は自分の意志である程度は動かせるので、大変重宝している。


 炎の竜はまるで意志を持ったように動き回り、ゴブリンの部隊を飲み込んでいく。竜が通り過ぎた後には焼け焦げた道と、ゴブリン共の焼死体が残るのみだ。


 外から見れば弱者を一方的に嬲っている悪魔だろう。しかし、それがどうした? もしもこのクエストが出てすぐ、楽観的な思考でこの場所に足を踏み入れていたら、立場は完全に逆になっていただろう。


 ある程度の対処は出来ても、いずれは数の暴力に押され。体力と魔力が尽きたらゴブリンジェネラルなどの精鋭かゴブリンキング自らの手で殺されていた。


 今こうしていられるのは、リスクを承知で危険地帯に行き。死ぬ気でレベルを上げていたからに過ぎない(実際に何度も死にかけた)。—―――それだけのことである。


 ◆


 ゲームでの話だが、レンジにはこのような経験はいくらでもある。例を挙げると。

VRMMOの悪名高き【グレイシャルエイジ・サバイバル】通称『冬瓜』。


 最初は穏やかだが、一定期間が過ぎると襲ってくる地獄の寒波。地面は凍り付き、殴りつけるような吹雪が吹き荒れる。生き残るにはわずかな温暖期に如何な手段を用いても食料をため込み。拠点と武器を作り、迫りくる猛獣に備える。—―――と此処までならまだ可愛いものだ。


 このゲームのキモは大規模拠点に落下してくる戦略物資をいかに死守するかで決まるといっていい。

ビーコン(投下された物資)は群れ成す猛獣から拠点を防衛しないと開かない。拠点防衛が成功したとしても、今度は生き残った者たちの物資の分配で大抵揉める。その後は殺し合いに発展するのが常だ。


 『限りある物資を仲良く分けましょう』という事にはならない。まさしく人類の縮図を見ているかのような。人の欲望と醜さを露呈させるゲームだ。


 このゲームのクソな点は、一定周期ごとにある条件下でランダムに起こる超大規模災害だ。

この超大規模災害が起きる条件は、拠点やプレイヤーの文明レベルが規定値に達するほど高確率で起こる。それを防ぐためには、プレイヤー同士で拠点の潰し合い・殺し合いを行うしかない。


 超大規模災害が起きたら今までため込んだ物資は全ておじゃん。このゲームは大自然の厳しさを教えてくれると同時に。プレイヤー間(人間の)殺し合い(醜悪さ)推奨しているのだ(教えてくれるのだ)

 簡単に言えば弱肉強食(この世の真理)。奪われたくなければ奪う側に回るしかない。

殺し殺されまた殺しまた殺され尽くし、その心理を心身にいやって程叩き込まれている。相手を殺す力を持ち————相手も自分を殺しうる力を持つ状況で、手を抜く事は即座に自身の死に繋がる事を知り尽くしているのだ!

 

 今回もそれと同じこと。やるべきことをしっかりと認識して、奢らず焦らず目標達成のために

やるべきことを行った結果がこの余裕だ。

 もしレンジが弱ければ立場は完全に逆転していた。恥じ入る事は何ひとつない!


 因みに『冬瓜』と名付けられたのは。氷河期と冬を掛け。(実際には冬どころのヤバさじゃないが)幾つもある島の形が、瓜、西瓜、南瓜の形に酷似していたので。

 誰が最初に読んだか『冬瓜』と蔑称されるようになった。付け加えるならオンラインサービスは既に停止している。余りのシビアさと鬼畜さに悪評が立ち、新規が寄り付かなくなったのが大きな理由だ。


 同じ会社(メーカー)で大ヒットして、今も人気のゲームもあるが。これは割愛しよう。


 ◆


 ・・・何やら盛大に話がそれたが、気にせず行こう。


 さてさて、クエストは大詰めを迎えている。御自慢の部隊を殲滅されて焦ったのか、奥でふんぞり返っていたキングと側近らしき4人が武器を構えてこちらに進んできた。


「ククッ。重役出勤じゃないか! 手下がいなくなったんで慌てて出て来たか? 間抜け共が!」


 通じないだろうが、盛大な煽りを入れてやる。


 「グガ。イダイナルオウタルワレヲグロウスルカ? ワイショウナヒトゾクフゼイガ、ズニノルナッ!!」


 「お? 言葉が話せんのか? 偉大なる王さんとやら。臣下のいない裸の王様の間違いだろ? 誇張も度が過ぎると見苦しいぜ?」

 煽れるときに盛大に煽るのがレンジ流だ。そもそも、ふんぞり返って余裕ぶってるからこの状況だ。テメーの見積もりの甘さを人の性にすんなや!


 「ゆ、ユ、ユルサヌ。ワレヲぐロウすルカ~。ユけ、ものドも」

 沸点低すぎだろ! どこかの悪代官のようなセリフを吐くと部下共が一斉に色めき立つ。


 ふん。王の号令でゴブリン・ロイヤルナイト。ゴブリンマジシャン・ゴブリンプリースト。ゴブリン・アサシンが向かってきたな。あの陣形は?


 先頭に立って切り込んできたロイヤルナイトと切り結ぶと。プリーストが弱体の付与魔法をマジシャンが黒魔法『轟火』を放ってきた。アサシンが見当たらないと思ったら、イキナリ影から現れて首の急所を狙ってきた。中々の連携だ、褒めてやるぜ!もっとも・・・・。


 斬り結んだ敵の剣に体技『疾風拳』をぶつけて弾き飛ばし、付与魔法は吸魔で剣に吸収し、返す刀でアサシンを斬り付けた。傷は浅いが剣に吸収させた弱体化が効いたのか。動きが一気に悪くなった。

 向かってくる轟火はより上位の黒魔法『轟炎』で撃退したが、元々が上位の魔法だったのに加え魔力の差がありすぎるので、『轟炎』とぶつかって拮抗するどころか、マジシャンまで飲み込み一瞬で消し飛ばした。


 マジシャンが一撃でやられて動揺したプリーストに剣技『飛連斬』。飛ぶ連撃を与えて細切れにするが、威力が強すぎたのか後ろにいたアサシンまで切り裂いてしまった。

 その光景にロイヤルナイトは怯んだ様に動揺を見せたが、すぐに立て直した。


 縮地の進化版『疾駆残歩』で間合いを詰めると。身体の内部から破壊する『発勁』で動きを崩し空中で連続して蹴りを放つ『猛鷲脚』によって首をへし折り止めを刺した。

 ・・・・・・俺には通じないけどな!


 縮地の速さと残像で敵を惑わす『疾駆残歩』。鎧の上からでも衝撃を伝えて内部にダメージを与える中国拳法でお馴染みの『発勁』。飛び上がり空中で4連続の脚撃を加える『猛鷲脚』。『猛鷲脚』は兎も角。他はかなり応用が利きあらゆる場面で使える技だ。


 さて、いよいよ真打の登場。皆さん盛大な拍手で迎えましょ~。


 「じンジョウなる。いッキウチをショもウすル」

 この言葉は王としての矜持だろう。既に自分に勝ち目がない事は知っているはずだ。コイツは軍団指揮特化型。ステータスはそこまで高くない!


 背負ったバックラーを捨てて、剣を抜き放つとそう宣言してきた。面白いならばこちらも乗ってやろうじゃないか。


 「冒険者、志波蓮二。その一騎打ち、承知致した」

 シレンではない、俺の本当の名で名乗りを上げ。黒曜鉄の長剣を抜き放つ。


 「「いざ、尋常に・・・・・・・勝負」」


 魔法を使えばたちどころに決着が付くだろう。しかし、敢えて使わない。ゴブリンキングもそのつもりだろう。使えば俺も即座に魔法を解禁すればいいだけ。純粋な剣技だけで戦う。

 

 冒険者をやってれば人を殺すこともあるだろう。その為にも対人戦闘に慣れておくことは必須だ。

コイツは屑かと思ったが、中々に気骨がある・・・魔物だけどな。

 ならば相応の対応してやるのが礼儀だろう。


 剣技『閃光穿』を放てば、『閃光』で対応してくる。フェイントを用いた攻撃を織り交ぜても、それに食らいついてくる。ステータスは俺が圧倒しているのに見事なもんだ。


 この事態は今後の俺にも当てはまるだろう。


 ステータスで圧倒していても、対人の技術やスキルの相性によって勝敗は簡単にひっくり返る。

対人の基本。自分の最も力を発揮できる状況を作り相手の最も力を発揮できない状況で戦う。これだけは肝に銘じておかないとな。


 剣の腕は基より、ステータスもコチラが遥かに勝っている。ゴブリンキングが喰らい付けているのはなりふり構わない捨て身だからこそ。拮抗は直に崩れる。


 キングは焦れて来たのか大振りが目立つようになってきた。振り下ろされる相手の攻撃に合わせて『流水華』を発動し、攻撃を受け流したと同時に攻めに転じ相手の腹部を突き刺した。


 「クガぎ、まダだ」


 致命傷を負ってなお戦意を失わないゴブリンキング。死の餞として今俺に出来る最高の剣技を送ろう。


 「見事だ。これが今の俺の全力の技だ。受け取ってくれや」

 剣を正眼に構え、全身を脱力させる。そして一気に力を込めて連続して剣を振るう!


 「剣技『烈華葬送』」

 上下左右の四方向から時間差で繰り出される連続剣。そのあまりの美しさは見るものの心を捉え、魅了する!—―――この剣が見れたなら死んでもいいと思うほどに!


 「ミゴトダ! ボウケンシャ、シバレンジ!」


 ゴブリンキング・ジは全身を切り刻まれてなお、この技を見て恍惚の表情をして口角を吊り上げながら散っていった。

お読みいただきありがとうございました。


二章もあと二話で終了となります。引き続きお付き合いいただければ幸いです。



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[良い点] 面白いです 主人公が1人で切磋琢磨しつつ強くなっていくことに好感が持てます。目標も恩人を助けると言った素晴らしいものですし。 これからもソロで出来ることをやっていくことに期待してます。 …
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