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第22話 報酬の確認と情報整理



 地球で初めてダンジョンを攻略した男。志波蓮二は少しの間、新たな情報量の多さと重さにプルプルと。まるで生まれたての小鹿のように震えていた。

 しかし、悩んでもしょうがない、と無理やり切り替えて報酬の確認をすることにした。


 傷は癒えたが、精神的な疲労がキツい! だがゲーマーの性か報酬を確認するべく立ち上がる。


 「取り敢えず、この辺の異界化は止められたはずだ。俺が今後、よっぽどのヘマをしない限り。このダンジョンのことは隠し通せるはずだ」


 異界化によって、モンスターが出現しやすくなる不安材料が消えたことを口に出して、気を落ち着かせる。

 まぁ異世界転移って特大の爆弾情報により、表面上さえも取り繕えているかは怪しいところだが。


 ひと先ず、ちょっとした所用を済ませてから。情報の整理に入った。


 「異世界のことは広間から行けるって言ってたし。概要なんかはテキストを参考にするか。じゃあ、とりあえずはステータスの確認からだな!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


〇名前 :志波 蓮二

〇種族 :ベビーサタン・種族ランク:F・100/100%

〇ジョブ:飛翔剣士  LV:50(合計LV:100) 


〇HP :3385

〇MP :1635

〇力  :1135

〇敏捷 :1350

〇体力 :1135

〇知力 :863

〇魔力 :780

〇運  :100


〇アクティブスキル

【黒魔法LV:3】・【魔力障壁LV:3】・【瞬間装備変更LV:2】

【剣技:乱れ突き・連続切り・受け流し・一閃】・【体技:縮地・正拳突き・剛脚・霞の間】

【盾技:石壁・挑発】


〇パッシブスキル 

【索敵LV:3】・【逃げ足LV:4】・【魔力操作LV:3】・【詠唱速度上昇LV3】

【剣術LV:4】・【気配遮断LV:3】・【体術LV:3】・【並列起動LV:4】

【毒耐性LV:2】・【麻痺耐性LV:2】・【恐怖耐性LV:1】・【装飾品装備数+1】


〇種族特性

【浮遊LV:3】・【小悪魔の毒爪牙】・【偽装LV:4】・【悪意感知LV:3】・【光属性被ダメージ倍加】・【聖属性被ダメージ倍加】・【暗視LV:3】・【擬態LV:3】


〇固有スキル

【智者の解析眼LV:2】【進化の系統樹】【万能言語対応】


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 (種族の進化までどれだけ掛かるのか、わからないのは痛かったが。分かるようになったのは助かるな。恐らく【智者の解析眼】のおかげだろう。【叡智】みたいな補助機能が無い分。詳しく解析できるってとこだろうな!)


 補助機能が無いのは痛いが、ステータスやスキルを見れるようになったのはデカい!


 (ステータスにスキルも一気に上がった。今まで遭遇したモンスターのレベルなら、あのボスオーガでもない限りは大丈夫だろう)


 今の強さならオーク百匹に襲われても対処出来る。この地球で最低限の安全を確保できたことに、思わず頬が弛んでしまう!

 だが厄介なことに強化したことで問題点も出てくる。


 (これからは【叡智】に聞いて「ハイ終わり」なんて楽は出来ねぇ。自分で仮説を立てて実証していくしかねぇな!)


 改めて【叡智】君の便利さを実感しつつ。検証はゲーマーならライフワークだと納得させ、報酬の確認に入る。


まずは、【魔玉】からだな。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

〇【魔玉】


錬金術により魔法を込めた魔石を武器・防具に組み込むことで、スキルを付与することが出来る。

ただし、錬金術師の能力が不足している場合は魔玉を無駄にするだけでなく、付与した装備の品質が劣化したり、デバフのスキルが付与されることもある。


魔石の欠片も、同じランクの欠片を錬金術師に持っていけば、完全な魔玉にしてもらえる。


またモンスターは魔石を体内に取り込むことで、多種多様な進化を遂げるともいわれている。

そのことから、魔石はそのモンスターの遺伝子の一部との説がある。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 (この魔石を食べれば、進化先に影響があるってことかな? それに装備にスキルを付与出来るのは魅力的だ。でも、やはりというかリスクがあるのか!)


 本来なら即座に食べるとこだが、あのアナウンスの言葉を信じるなら、【迷宮街ファーチェス】。異世界の街があるってことだ。

正直、地球じゃどうしようもないドロップアイテムも、そこまで持っていけば価値があるかもしれん。とりあえず、この魔玉の扱いは保留にしておこう。次はこの凶悪な鬼顔の仮面だ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

〇【悪鬼の狂面】


凶悪な鬼の顔を模した仮面。装備することで腕力が上昇し、痛みに対しての耐性を獲得する。

またHPが半分以下になった時。任意で『狂化』のスキルが発動できる。

狂化中は筋力と敏捷が倍加するが、被ダメージも倍加する。


アイテムランク:6級

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・『狂化』はともかく。スキルもあるし使えることは間違いないな。うん!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

〇【改竄の指輪】


自身のステータスカード及びステータスを改竄することが出来る。

改竄したい箇所に指で触れた後に念じることで、数値や種族等を改竄出来る。

しかし、高レベルの看破や解析。マジックアイテムに対しては効果がない。


アイテムランク:6級


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 (これはかなり使えるな! 地球でステータスカードが普及したら。身分証明代わりにステータスカードを提示する、みたいなことになる可能性はかなり高い。

 俺の今のステータスは現時点でかなり高いはず。このステータスがバレたら絶対に追及が及ぶだろうしな!)


 この予感は正しい。もし現時点でもレンジの力が知られたら、どの陣営もレンジを引き入れようとするだろう。

 例え、それが人道に反することや。非合法な手段に手を染めようとも!


 探索必需品一式は、骨折などまでなら直せる高位のポーション。基本状態異常を回復するポーションが入っていた。

 中でも使えそうなのが、【隠蔽機能付き瞬間組み立てテント】という舌を噛みそうな名前のテントだ。読んで字のごとく一瞬で組み上がるテントらしい。


 【偽装機能付きアイテムボックス】はアイテムランクが7級になり容量が500㎏になっていた。正直これが一番助かりそうだ。アイテムを売却する施設が見つかっても、あの山のような素材を持って何往復もしなくてすむ。


お次は固有スキルの確認をすると、このよう変化していた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

〇【智者の解析眼】


対象のレベル・ジョブ・ステータス・スキルを視る。

アイテムの効果や原材料の解析なども幅広く行うことが出来る。

一定レベルの隠蔽や偽装等も暴き出す。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

〇【進化の系統樹】


現在の進化系統の選択肢を広げる。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

〇【万能言語対応】


あらゆる言語に対応し、会話することが出来る。

また文字や文章を書くと、設定した言語に自動で変換される。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 (【進化の系統樹】はようわからんが、他は使えるなんてレベルのシロモノじゃねぇな。うまく立ち回ればかなり有利に進める。問題はこのスキルが他人に知られると不味い事だな。こういう時こそあれの出番だ!)


 【改竄の指輪】を装備してステータスカードに触れ、種族やステータスの数値を改竄していき。初期値に改竄していく。


 (異世界はどうだか知らんが、地球にいきなり高レベルの解析持ちが現れるとは思えん。だが用心するに越したことはないな。 仮にこの隠蔽を見破る奴がいたら開き直るとしよう。偽装がLV:4になったから、このダンジョンの入り口も隠せるようになったしな・・・・うん。)


 バレたら殺す、などといった手段は現代社会に置いて軽々しく実行できない。だがバレた時の対応は考えておくべきだ! そう自分を納得させた。



 さて、いよいよこの最後の報酬【■■■】クレアについてだ。


 ダンジョン攻略と同時に、この大広間に転移した俺の隣で知らぬ間に横になっていたので。着ていたジャケットを上にかけておいた。その他の報酬の確認も終わったので、改めてマジマジと観察してみる。


 その女性は、かなり特徴のある外見をしていた。


 (この長い耳に褐色の肌。腰まである長い銀髪。豊満な胸にスレンダーな肢体。御伽噺やファンタジーの定番【ダークエルフ】という種族か? 最初の種族選定で調べたから知識だけはあるが。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

〇【ダークエルフ】


はるか太古。世界樹を守護するために存在していたとされる種族。

褐色の肌に長い耳を持ち。男女ともに見目麗しく。非常に優れた容姿をしている。

魔法。特に精霊魔法の才に優れ。弓を得意とする。また一部ではあるが、使い魔を使役することにも優れた資質を示した。

種族的には非力な傾向があるため。全身甲冑や両手斧などの重装備を扱うことは苦手である。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 テキストにある、見目麗しいの言葉通り。この女性は絶世の美女と言っていい。

 着飾って街を歩けば100人中100人が振り返るだろう。それほどの美女だ!

 この女性を嫌う奴は、特殊な性癖の持ち主か。重度の女嫌いくらいしか思い浮かばない。


 男ならこんな美女と一度は閨を共にしたいと考えるだろう。

其れは其れとしてこの女性にはある問題が存在する!


 彼女は明らかに異世界人だ。当然、戸籍も無いから身元証明もできん。もし街をフラフラされて、警察から職質でもされたら一発でアウトだ! もし目覚めたとしても、街に連れていくのは正直リスクが高すぎだ。


 この女性は目立ちすぎる! 街を歩けば男はほっとかないだろうし。夜中に目的もなく彷徨っていたら、警察も職質位はするはずだ!


 (広間に転移してそれなりの時間が経つが、目覚めるような気配は皆無だ。恐らくあの声の言っていたジョブと記憶の消去が原因だと思う! このまま床に寝せておくのも気分的に良くない。ベッドをアイテムボックスに収納してこの広間に持ってくるか)


 ベッドを取りに行こうと母屋に向かうべく歩き出す。 


 (街中で使うわけにはいかないが、これもかなり便利だよな。こいつが世間に普及したら引越業者が潰れるなwww)


 確かにアイテムボックスは地球に有ったら便利を通り越してチートの領域だろう! アホなことを考えつつも、上の客間からベットを持ってくる。


 アイテムボックスに入れて持ち運んだため5分も掛からずに運ぶことが出来た。


 眠っている美女、クレア嬢をベッドまで持ち上げた際に、女性特有の甘い匂いにクラっと来たが。頭を振って煩悩を追い出し、そっと寝かした。続けて掛け布団被せて傍から離れる。


 胸が規則正く上下しているので、死んでいないことは確かだ!

恐らく直ぐに目覚めるはずだ。


 目が覚めた時にお腹が減っているといけないので。買い込んでおいた食料と水を近くに置いておく。起きた時に、お腹が減っていたら可哀想だし。食べ物を求めてフラフラされても困る!


 まだ昼前だがボスとの戦闘は疲れた。異世界のテキストを確認して一休みした後に。警察行って事情聴取を済ませてこよう。行かないと花蓮にネチネチ嫌みを言われそうだし、休み明けに行くのも面倒だ。面倒ごとはサッサと終わらせるに限る!


 異世界の情報を得るべく、迷宮の入口に向かって歩を進めた。


 <はじまりの迷宮>の入り口だった場所に着くと。下に降りる階段が無くなり、代わりに複雑な魔法陣が描いてあった。

 テキストなどは見当たらなかったので、魔法陣に触れろってことだろう。


 さっそく触れてみると、頭にこの世界の概要が流れ込んできた。説明が余りにも長ったらしかったので要約すると。


1・この魔方陣から行けるのは異世界である。

2・その世界にも人や街。ダンジョンがある。

3・時間の流れが異なり、あちらは5倍の速度で時間が経過する。

4・異世界から地球に戻るには、街や村の中心にある【セーブポイント】から3キロ以内で180秒以上、非接触状態でいるとログアウトのテロップが出現するのでそれをタップする。


 あまりのゲーム要素満載に、心が揺れるどころか呆れ返ってくる。


 だが、5倍時間加速は使える。異世界もすべてが危険地帯ってわけではないだろうし、会社が終わった後にレベリングは正直シンドイ。だが、18時に帰宅して早朝8時までの14時間を5倍するなら異世界時間で3日弱。かなり有用にレベリングが・・・・・。


 そこまで考えた時、俺は気付いた。自分が考えが余りにも甘く、都合が良いことに。そして自分の考え通りに物事が進むはずがない、儘ならない現実のことを。


 (ここまで上手くいってたから、調子に乗りすぎていたな。これまでは全て運・・・・とまでは言わんが、運に助けられた面はかなりある。


 其れは確かだろう! レンジに武術の心得がなければ、オークの襲撃事件でとっくに死んでいたはずだ!


 異世界に関しても見立てが甘すぎだ。仮に魔王がいて滅ぶ寸前。みたいなパターンは十分ある・・・・・・・ゲームと違って、死んだら終わりだ。このことを忘れていたわけじゃないが、きっと何とかなる、と楽観視していた面はあるな・・・・・)


 人生に限らず、成功の秘訣は調子に乗らないことだ!


 俺は確かにソロでチュートリアルダンジョンをクリアした。しかし、それはあくまでも基本(チュートリアル)だ。


 【叡智】から聞いた時に、ダンジョンは最低でもDランクからで上はSランクまで在るらしい。

 もっと上のランクも教えて貰えなかったが、存在すること自体は匂わせていた。


 仮にDランクのダンジョンに挑むにしても、軽い気持ちで行ったら直ぐに心が折れるだろう。

 この数日間は本当にいろいろとありすぎた。一旦、体と心を休めよう!


 (少し休んでから警察行って事情聴取を受けて、それからゆっくりとしようかね)

 

 今後の予定を考えながら。俺大広間を出て地上へと上がっていった。


 疲労が溜まっていたらしく、セットしたタイマーが鳴るまでグッスリと眠り続けた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


【■■■■■■■■■■】


 しかし、そうは問屋が卸すほどに世界は甘くも優しくもなかった。


 今までのレンジは確かに覚悟を決めてダンジョン攻略を行っていたが、それは果たして本当の覚悟だったのだろうか?


 レンジが覚悟を決めなくてはならない時は、そう遠からず迫っている。


自分の命だけでなく、他人の命を預かることまでも含めた、真の覚悟を持つことになる日は近い!!

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