第17話 準備
〇自宅 【闘士】志波 蓮二
まだ早朝の4時だが、日ごろの習慣からか、目が覚めたのでステータスカードを確認する。
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〇名前 :志波 蓮二
〇種族 :ベビーサタン・・・種族ランク:F
〇ジョブ:闘士 LV:40 (合計LV:40)
〇HP :1405
〇MP :695
〇力 :475
〇敏捷 :465
〇体力 :480
〇知力 :182
〇魔力 :258
〇運 :29
〇アクティブスキル
【黒魔法LV:2】・【魔力障壁LV:2】・【瞬間装備変更LV:1】
【剣技LV:1】・【体技LV:1】
〇パッシブスキル
【索敵LV:2】・【逃げ足LV:3】・【魔力操作LV:2】・【詠唱速度上昇LV:2】
【剣術LV:2】・【気配遮断LV:1】・【体術LV:2】・【並列起動LV:1】
【毒耐性LV:1】・【麻痺耐性LV:1】
〇種族特性
【浮遊LV:2】・【小悪魔の毒爪牙】・【偽装LV:4】・【悪意感知LV:2】・【光属性被ダメージ倍加】・【聖属性被ダメージ倍加】・【暗視LV:3】・【擬態LV:2】
〇固有ギフト
【愚者の叡智】【無限の可能性】【多言語対応】
(上記は当ギフト所有者以外。如何なる魔術・スキルを以てしても閲覧・解析は出来ません)
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軒並み上昇したスキルとステータスを見て、気色悪い笑みを浮かべていることを自覚する。
命が掛かったダンジョン攻略で死にかけたとしても、こういったところはゲーマーの性だろう。
(目標のひとつでもあった『種族進化』はクリアした。10層へと続く階段はまだ見つけていない、が恐らくボス部屋の様なものがあると仮定して入ったら即戦闘なんてことになりかねん。
最低でも闘士のカンストはしておくべきだろう)
それにしても。と自分のステータスをマジマジと見てしまう。
その表示されているステータスの違和感がハンパないからだ。
(いくら序盤と言えど、このレベルの上昇速度は変だ。・・チュートリアル限定のボーナスバフ? それともマスクデータ?の様な代物があると考えておくべきだろう。
そうでもなければ、ここまでレベルが急に上がるのはおかしい。それにここまで順調に行きすぎだ。・・・・・いくらレア種族の異形種の恩恵だとしても。
ソロ攻略でここまで上手く進めるほど温い作りはしないはずだ。そうなると考えられるのは・・・・・)
1:ダンジョン攻略は楽勝。と思わせておいて、実はボスが超強い。
2:チュートリアル(序盤)なんだから簡単で当たり前。
3:異形種の恩恵で楽に感じるだけ?・・・実際は新規のソロ攻略など不可能。
4:クソゲーや、腐れ運営に振り回された俺がゲーム脳で考え、疑い深すぎなだけ。
俺としては1のボスが強い。という説が有力だと思うが。いくら考えても所詮は予想の域は出ん。
それに脇道にそれるのは俺の悪い癖だ。今やるべきは考察でも予想でもない。
『闘士』のカンストを目指して探索をしつつ、9層でレベリング。その後はセカンドジョブの選択とレベル上げ。
少なくとも9層までの魔物と戦って、楽勝と思えるまではレベリングするべきだ。
そこまで考えて、地下のダンジョン入口前の広間に入ると。
嫌でも目に映るものを見て思わず、顔が引きつってきた。
(あの素材や魔石の欠片なんかも、ど~にかせんとな。ラノベみたいな冒険者ギルドがあったらな~買い取ってくれるのに)
広間の隅に山と積まれた、モンスターの素材などのドロップアイテムを見て若干、現実逃避気味にそんなことを考えながらダンジョンへと進んでいった。
結果としては5時間ほどで、【闘士】はカンストまで到達できた。再度ステータスを確認してみると、【装飾品装備数+1】を習得していた。勘だけど、ジョブを最大まで上げるとスキルか魔法が修得出来るかもしれんな!
事前の調べで、アクセサリーは最大で5個まで装備できる。が、それ以上身に着けても効果が発動しない。
アクセサリーの類があるのは既に知っていたが、装飾品枠の拡張はかなりの恩恵だ。・・・・・アクセサリーなんて一個も持ってねーけど。
そして更に探索を続けていると遂にお目当ての物を発見した。
予想通りというか、定番に忠実というべきか。10層へ続く階段にはバカでかい大扉が設置してあった。
RPGの定番と言えばその通りだが、ボス、強敵がいると考えるべきだろう。
(ここまでのモンスターランクは最大でも2までだった。恐らくはランク3以上が出てくるはずだ。
当初の予定通り。セカンドジョブに就いて最低でも30以上までレベリングしておくべきだ。流石にランク3を飛ばしていきなりランク4は無いだろう。しかし、ボスモンスター特有の強化などは想定しておくべき。ボスは実質ランク4相当と覚悟しておくべきだろうな)
(【叡智】は、ランク4は戦闘系のジョブに就いて、ある程度の経験を積んだものが対処できる。と言っていた。ある程度がよくわからんが、最低でも1職はカンストしてないと厳しい。
伸びしろを考えると上級ジョブに就きたいが・・・・いやクリスタルに触れて確認してからだ)
上級職に就く条件を知りたいが、とっかかりさえ見つからない現状。これはちょっとした愚痴だ。
もうジョブが闘士のまま戦ってもレベルは上がらない。相手にするだけ無駄なので、モンスターを無視して地上に戻り。
クリスタルに触れて就けるジョブを確認してみた。
(やはり、上級職が解放されている・・・・なんて虫のいいことはないか。物語だとこのタイミングで隠し職業や上級職が現れる、なんてのがお約束なんだが。
・・・・・・・まぁ俺は所詮はモブだ。無いもん強請りしても虚しいだけだ。セカンドジョブは【盗賊】か【冒険者】が有力だったが、今は探索系統より戦闘系だ。
魔法は種族でカバーが出来る。ならば・・・・・・これならばいけるか?)
次のボス戦に向けて俺が選んだジョブ。
どんな強敵でもきっと役に立つはずだ。
ジョブを選択し9層で午前12時までレベリングを行った。
しかし、カンストの半分より少し上の30程度にしか届かなかった。これは感覚だが、『闘士』に比べると経験値が前より少なくなっているように感じた。
ファーストジョブ限定かダンジョン起動による、期間限定での経験値上昇バフ効果でもあったんだと思う。
(これで、準備は整った。トライ&エラーができるゲームとは違って一発勝負だ。
今日はしっかりと休んで明日の一番でボスに挑もう。今のレベルとジョブ。運よく発見したアレで絶対に勝機を掴んで見せる。こんなチュートリアルなんかで死んでたまるかよ!)
俺はそう決意し、この日はぐっすりと眠りについた。
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【?????????】
〇【はじまりの迷宮】への挑戦者を確認。
〇結論:不可解。かのダンジョンを新規での攻略にあたっての推奨パーティー人数は最低で4人以上。
〇新規での一週間以内のソロ攻略の確立10%以下。該当する挑戦者のダンジョン攻略の可能性は3%以下。
〇結論:個体名【志波蓮二】によるダンジョン攻略は不可能だと思われる。
〇該当の挑戦者の死亡が確認され次第。ダンジョン周辺を強制的に異界化を推奨。
申請・・・・・・許可を受諾。
〇異界化による推定死亡者数を算出。・・・・・・・・30万人以上と推定。
〇結論:問題なし。事前準備を開始する。
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このことは誰の知らないところで、密やかに進められていた。
当人(?)以外。恐らくは誰も知らない。
明日、志波蓮二にとって最初の試練が開始される。
それがどの様な結果になるのかは・・・・・・誰にもわからない。




