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第16話 最初の種族進化


〇<始まりの迷宮・第9層>  【闘士】志波蓮二



 現在は向かってくるモンスターの群れを全て倒したところで、ちょうど本日の探索終了を決めていた午前零時を知らせるアラームが鳴った。

 ちょうどキリがいいので、まだこちらに向かってくる後続の魔物に背を向けて逃走を開始した。


 必要以上に魔物と戦ってリスクを犯す必要は無い。

気持ちが切れかけたのにソロで無茶をする気は全くない。

 どうしても必要なら無理も無茶もするだろうが!


 (つーか。やっぱり5層から、ランク2のモンスターが出てきやがった。おまけに7層からは、攻撃を喰らうと毒状態にする【ポイズンスライム】に弱いが小さいので【索敵】にもなかなか引っかからない【麻痺子蜘蛛(まひこぐも)】。

 毒状態になると体がフラつくうえ怠くなる。麻痺状態は体が震え普段通りに動くのが難しくなる。

 最初の内は途中で手に入れた毒と麻痺直しポーションで対応してたが、喰らい続けて手持ちが無くなりそうになる寸前で種族特性に【毒耐性】と【麻痺耐性】が出なきゃ袋叩きにあって死んでたぞ!?

 ・・・何がチュートリアルだよダボが!?これは現実だぞ!

耐性レベルを上げるのに、その状態異常を食らい続けるシステムなら(もし存在するなら)運営に怒鳴り込む奴が後を絶たないぞ!)


 ゲームなら当たり前の仕様だが、これが現実だとダルいは怠いは体にキツいはで文句をブー垂れそうになる。


 (正直。一体ずつならそこまで怖くねぇが、お馴染みの【ホワイトウルフ(イヌ)】や【オーク(ブタ)】との混戦の中で不意を打たれるとヤバい。

 片方に対処しようとすると、もう片方が疎かになる。

やはり、ダンジョンはパーティーやクランのような多人数で攻略することが前提の様だな。・・・・・俺のようにソロで攻略するつもりの方が、頭がおかしいかもしれん・・・・・・・)


 実際にソロで攻略を目論むレンジの思考はおかしいが、ゲームでもソロが基本のため、徒党を組む発想には至らない。

 至ってもこのダンジョンについて話せないので結局はソロで挑むしかないが!


 (まぁしかし、攻略方法が確立できた以上。今までと違い、もはや問題はない。

 このダンジョンが攻略できれば、俺が他のダンジョンを積極的に攻略する必要性はほとんどなくなる。

 山のような魔石に素材を手に入れたところで、売り捌く伝手や機関が存在しない以上、全く旨味がない。

 今でさえドロップアイテムを持て余しているってのに・・・・まったくもって割に合わないことこの上ない。

 それに今まで手に入れた装備は、地球でもその気になれば似たようなものを手に入れられるものばかりだ。

 ・・・・・・・今でさえ装備に関してはギリギリ使えるレベル、てゆーか。ロングソードもちょこちょこ手に入れてるが、

これで3本使い潰していて現在使っているので4本目。

 ゲームのように、マジックアイテムや魔法の装備を生産できるとんでも技術者は地球にはおそらくいないはずだ。

 生産系ジョブが選択できるようになれば、作製出来るようになるかもしれんが、まだまだ先の話だろうさ!

 それよりも、いずれ出現する強力なダンジョンに潜って探索を続ければその手の装備が入手できるかもしれん。

 しかし、それでは手段と目的が完全に入れ替わっている。ゲームであれば嬉々としながら目的の物を手に入れるまで潜り続けるだろうがね)


 俺がこの迷宮に潜っているのは装備を手に入れるためじゃない。あくまでも調査と最低限の強さを確保するためだ。


 (しかし、【叡智】に質問した時にあったあのアイテムだけは、できれば欲しいところだが。・・・いや、あまりにもそれはリスクが高すぎるな。もう忘れようきっと・・うん、大丈夫だ)


 そう言い聞かせて頭を振って切り替えると、出口までの道順を思い出す。


(地上への道順は完璧に覚えている。俺は興味がないことはまるで覚えられないが、逆に興味があること。やりたいと思ったことなら手間や努力は惜しまないタイプだと自己分析している。

 命が掛かってんだから、必死になるのは当たり前か!じゃあ帰るとするかね!!)


そう言って俺は地上への出口に向かって走り出した。


今まで遭遇してきたランク1のモンスターは、もはや作業のように対処できる。

 無事に入り口にまでたどり着き、門を潜ると思わずへたり込んでしまった。


 (思った通り疲労がたまっていたようだ。それにランク2のモンスターは何らかの特殊性を持っていると考えて間違いないな。仮にスキルを持っていなかったとしてもステータス特化型と考えていた方が良い。こういう慣れ初めに気を抜くのが一番危険だ。正直、【毒耐性】と【麻痺耐性】が習得できていなければかなりヤバかったのは事実だ。この幸運がいつまでも続くと思って舐めていると気が付いたら「死んでました~ww」なんて事態になりかねん)


 これはラノベやゲームと違う。油断や慢心は死に直結することを再認識して気を引き締める。


 「仮に地上でダンジョンが出現したら。ラノベやゲームと勘違いをして。【チート】だ【選ばれた存在】だと叫びながら突入して死ぬバカは恐らく出てくるだろうな。

 ダンジョンにしろ、このクソみたいなシステムにしろ。

俺の好きなデスゲームを題材にしたラノベの名言「これはゲームのような世界だが遊びじゃない!」がピッタリ嵌るような世界観だ。きちんとシステムを理解して順を追って進めていけばクリアできるようになっている・・・・かもしれないが。

 もし覚悟もなく、軽い気持ちで「ダンジョンでレベル上げだ」とか考えて重症や怪我をしたら、痛みや恐怖に耐える精神力がないと、まともにレベリングさえできないだろうからな!!」


 幸いとは思いたくないが、幼い頃の鍛錬で痛みに対する耐性はそこそこあるはずだ。


 今後、地球上で起こるであろう碌でもないことを考えていると憂鬱な気分になってきたが、政治家や官僚が過労死するだけかな?と切り替えると懐からステータスカード出して変化がないか確認する。


 すると種族のところに進化可能と表示されていた。


 (今日はもうこれ以上、探索を続ける気はない。休みは残り四日あるが、会社に復帰したら睡眠時間を削っても4~5時間を探索するのがせいぜいといったところだろう。

 ・・・・アドバンテージの確保のためにも攻略は進めるだけ進めておきたい。それに流石に今日は疲れた。

 ジョブを選択したら風呂に入って休むことにするか!)


 そう決めると、書斎の扉を閉めて階段を上がっていく。

着替えを持つと、早速風呂場に向かい。今日一日の汗と疲労を流すことにする。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 風呂から上がるとベットに飛び込み進化先を表示する。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

〇【プチデビル】・・・・・・・・・・・・・・ ランク:F

〇【グレムリン】・・・・・・・・・・・・・・・ランク:D

〇【ベビーサタン】・・・・・・・・・・・・・・ランク:F

〇【リトルデーモン・メイジ】・・・・・・・・・ランク:E


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

〇【プチデビル】

  ランク:F


ランク2モンスター。悪の道に足を踏み入れた小さな見習い悪魔。

これからどのような道を歩むかは誰にもわからない。

この悪魔の出現は不吉の前触れと謳われているため、発見されると討伐対象に上がる。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

〇【グレムリン】

  ランク:D


ランク4モンスター。近代なって確認された電気を用いて、機械を狂わせると謳われている悪魔。

その生態についてはよくわかっていない。

学者の間では。突然変異でこれからも進化する説と、これ以上進化しない説とで意見が分かれている。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

〇【ベビーサタン】

  ランク:F


ランク2モンスター。悪意や淀みのたまった場所に突然現れる子供のような外見の悪魔。

一説には『魔王』の悪意によって生み出されているのではないかと言われている。

その存在は悪寄りだが、突如として光の道を歩むこともある。

その潜在能力は未知数。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

〇【リトルデーモン・メイジ】

  ランク:E


ランク3モンスター。悪魔の中でも攻撃魔法に適性を示した存在。

その反面。肉体能力では同ランクの悪魔に比べて劣っている。

このまま進化を続ければ凄まじい魔法攻撃力を獲得するだろう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 (て、天使系への進化が無くなってやがる。どーゆーことだよ?コラっ)


 思わず悪態をついたが、無くなったモンは仕方がない、と切り替え進化先について考える。


 (ランクで言えば【グレムリン】だ。しかし、急にランクが上がりすぎなのが気になる。これで進化が打ち止めになる可能性は高いと思う)


 (【リトルデーモン・メイジ】は魔法特化型のようだ。強力な魔法が扱えるのは魅力的だが、肉体面では頼りなさそうなのがネックだ)


 (そうなると候補は【プチデビル】と【ベビーサタン】に絞られてくる。どちらも将来性はありそうだが、【ベビーサタン】の光の道が気になるところだ。これは恐らく天使寄りに進化できるって可能性のことだろ?・・・・・別に俺は悪の道を極めたいわけじゃねぇし)


 そこまで迷う必要もあるまいと【ベビーサタン】を選択する。


 『【ベビーサタン】が選択されました。これより進化を開始します』


 この声を子守唄に、無事に初日のダンジョン探索を終えて眠りについた。

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