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第14話 ジョブの選択



 【ジョブ】については事前に調べておいたので概要は大まかに解っている。


〇【ジョブは】下級・上級職があり。上級の方がレベルアップした時の成長の幅が大きい。

〇ひとつのジョブレベルの上限は下級が50・上級が100。

〇上級職は条件があり、その条件を満たさなければ就く事が出来ない。

〇ジョブは最大で10個まで就く事が出来る。カンストで最大500。

〇スキルはジョブに就いてレベルを上げるか、そのジョブで特定の条件を満たすことで習得できる。

〇ジョブに就くとそのジョブの上限まで行かないと新たにジョブを選択できない。


 (選ぶジョブによっては万能型でも特化型にでもなれるが、取り敢えずひとつめのジョブは大事だ!!)


 【叡智】に俺のリクエストをリスト化するように頼んだので、すでに候補は絞られていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 (『戦士』・「『盗賊』・『冒険家』・『探索者』・『闘士』この中から選ぼう)


 (本当は『魔術師』や『呪術師』も迷ったがすでに魔法スキルは『インプ』を選択したことで獲得している。進化すれば魔法スキルは手に入る確率は高いはず。・・・・・結局、どんなゲームでも俺は最後はやっぱり物理攻撃型か高機動型に行きつくんだよな~。・・・・・・・脳キン思考だと。ほっとけや!)


 (戦闘なら『戦士』か『闘士』。環境に適応するなら『冒険家』。探索なら『盗賊』か『探索者』だがここは『闘士』にしよう。『戦士』も捨てがたいが「」『闘士』のほうが補正が掛かる武器が多いようだし応用範囲が広そうだ。その後に『探索者』か『盗賊』を取る方向で行こう。選択時に上級職がもし出てたらその時に考えよう)


 クリスタルに触れると出てくる、リストの中から『闘士』を選択。


 ステータスカードを確認してもやはりスキルは増えていなかった。レベルを上げるしかないようだ。


 (しかし、【種族】・【ジョブ】・【スキル】と明らかに設定を盛りすぎだ。まるで無理やり違うゲームを、一つにまとめたような違和感を感じるのは気のせいか? ・・・・・・ッハ! 死んだらを終わりの現実で、こんな無茶苦茶やらせるような【運営】だ。・・・・・あの悪名高き【冬瓜】のクソ運営よりクソな運営に出くわすなんざ。俺のゲーム歴で最悪な出会いだぜ、まったくよー!!)


 悪態を突きつつも。ダンジョン探索前の最後の確認を声に出しながら行うことにした。


 「武器は爺さんが登山用に購入していてた。サバイバルナイフ2丁(新品)と目を保護するためのゴーグル。服は動きやすいジーパンと長袖にジャケット。けがした時の絆創膏と血止剤。時間を忘れるといけないので3時間ごとにタイマーをセットした時計。大まかな地図を作成するための紙とペン。携帯は衝撃で壊れるといけないから・・・・・ここに置いていくか。・・・・・・・よし、こんなところかな?」


 必要と思ったものは一纏めにして、動きを阻害しない程度に持って行くつもりだ。


 (思いつく限りの準備はしたはずだ。まずはB一階を様子見しつつ、可能であれば探索とレベル上げ。昨日、遭遇したことからダンジョン外でもランク2の魔物が出てくるんだ。チュートリアルといえどボスは最低でもランク3以上と想定すべきだ。・・・・・・・強く見積もって想定より、弱い分には全然かまわないことだしな)


 敵を舐めて痛い目に合う位ならまだ良いが、油断したり舐めてかかって死ぬのは御免だ。だから敵は敢えて過大に評価するぐらいでちょうどいい。俺は自殺志願者じゃないからなっ!!!


 (ランク3:戦闘系のジョブについて合計レベル50以上が推奨のライン。ランク4:戦闘系のジョブで合計レベル100~150以上を推奨。

 このテキストを信じるなら。仮にボスに挑むとして、少なくとも種族を進化まで持っていくのとファーストジョブのカンスト・・・・・・・を目標にするか!)


 (正直。【叡智】の説明にあった進化の基準についてはさっぱりわからん。しかし、テキストを見るに最初の進化まではそう時間はかからんようだ。・・・・・・あやふやなものに頼っても仕方がない。とりあえずジョブのレベル上げを主眼におくべきだな)


 ちなみに『進化』の条件を聞いたときの答えがこれだ。


Q1:『進化』するにはどうしたらいいのか?

A1:経験を蓄積し、現在の種族の上限まで到達すれば可能です。種族名の横にMAXと出ると成長限界に達したことになり、それ以上の進化はしません。限界には個人差があります。

ちなみに、最下級の種族なら、進化までにそれほど時間はかからないでしょう。


 (要するに経験を蓄積。それまでに行ってきたことが結果として『進化』先に現れる。

才能のあるやつはどこまでも高ランクを狙えるが、早々に限界に達して打ち止めの奴もいるってことだろ?)


 このテキストを見た時の俺の表情は、苦虫を噛み潰したような苦り切った顔だっただろう。

その理由は至極単純なものだ。


 (あからさまに不平等・不公平なシステムだ。現実が不平等・不公平で、才能や生まれに左右されるのは仕方がない・・・・・。が、ゲームってのは基本。課金なんかの要素を除けば平等だ。

 上手い奴やランキングに入ってる奴は、ほとんどがそれなり以上の時間を仮想世界につぎ込むことで、()()に名を連ねている・・・・・・・・プロゲーマーのトップ層なんかは仕事や大会以外のほとんどの時間とプライベートを犠牲にしてシステムや技能の検証に勤しんでいるらしいしな!!)


 俺は少し昔に、知り合いのプロゲーマーから「プロを目指す気は無いか?」と聞かれたことがある。

 その時の俺は即座にノーと答えた。確かに一昔前と違い、プロゲーマーは立派な職業だ。

 2010年代、eスポーツの普及に伴い、プロゲーマーという職業は確立した。

当初はゲームをやっているだけの楽な職種と勘違いしている輩も多かったが(今でもそう勘違いしている者は一定数いる)。雑誌やメディアなどでプロゲーマーの生活などが取り上げられると、その過酷さに多くの人が息を呑んだ。


 プロゲーマーは半ばタレントのような側面もあるが、主戦場は賞金の掛かった大規模な大会だ。

当然参加者はそのゲームを熟知し、やり込んだ猛者ばかり。

 その中で頂点を獲ろうと思ったら当たり前のことだが、並大抵の努力じゃすまない。

確かにトップ層は下手なスポーツ選手よりも稼ぎはある・・・・が、そこに至るまでにどれだけの努力と時間を費やさなければならないのか。

 努力と時間を費やしても、花開くどころか芽さえ出ずに挫折して消えていく方が圧倒的に多い。

まぁこれは勝負事の職業では全て同じかもしれないが、これがプロの現実だ。

 

 マスコミはそういった暗黒面を報道せず、華やかな一面しか報道しないので。プロゲーマーはゲーム三昧で楽して稼いでいる運がイイだけの世間知らずお坊ちゃん(お嬢ちゃん)と見る者は残念なことに未だに存在する。


 俺がプロを目指す気が全く湧かないのは「ゲ-ムは楽しむための物で、苦しむためにやる物じゃない!」という自論が根幹にあるからだろう。

 勿論のことだが、俺にはプロを目指す人を貶す気も、馬鹿にする気も一切ない。

自分で決めた事なら、いちいち他人が口を挟むべきじゃないからな。

 もし龍太や知り合いがプロを目指すなら、応援はするが「四六時中ゲーム三昧で大変だぞ?」くらいは言ってあげるかもしれんがね。

 


 (どんなもんでもトップクラスを狙うには、何らかの代償が必要になってくる。しかし、このシステムは努力などをあからさまに否定してる。・・・・・「君の限界はここまでですよwww」とあからさまに選別・区別を目的としているようにさえ思える)


 「ふぅ~~~~」


 つい考え込んでしまったが、このシステムに遊ばれている(おちょくられている)俺があれこれ考えても仕方がない。深読みするのは俺の悪い癖だ。


 『アイツ』のように何も考えず突っ込む方が、時にはいい結果を生むことがある。


 懐かしい顔を思い出して微笑を浮かべながらも、頭は戦闘モードに切り替える。

こうして俺はジョブと種族を選択し、初めての迷宮探索へと第一歩を踏み出した。

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