世界史
〇1990年代に地球の急速な寒冷化に始まる超異常気象によって世界各地で災害が発生する。各国は今までのデータが全く役に立たない急速な事態の変化に対応が出来ず。食糧不足などの深刻な被害が発生する。
〇中国の食糧不足は特に深刻であり。食い扶持を減らせると考えた中国政府も半ば黙認したため、国境を超えてロシアに亡命する国民が急増する。ロシアは不法入国者を厳しく取り締まるが、中国政府はロシア政府の非人道的な振る舞いを激しく非難する。
しかし、ロシア政府は不法入国者に対して適切な行動をしただけに過ぎないと反論。逆に国際法を平然と破り、半ばその行為を黙認した中国政府を国際会議の場で激しく非難したことで両国の関係は著しく悪化する(露中冷戦)。
〇両国の関係が冷え込んだのを皮切りに、他国でも両国に与する国家間の関係が悪化。中東では内戦が勃発し、欧州でも両国への対応の違いを巡り同盟間の関係が悪化する。
〇2000年に中国・ロシア間で戦争が発生。それを機に世界各国で局地戦が発生する。その火種は世界中に飛び火して、巻き込まれない国、無関係でいられる国が無いほどの戦争へと発展する。
大戦こそは5年ほどで終了したが、その後も偶発的な戦闘が途切れることなく発生。落ち着いたのは5年後と軍事関係者がこぞって判断したことから。大戦は十年の間、続いたという認識が一般的である(後に第3次世界大戦。またの呼び名を世界十年戦争)。
これほどの大戦でありながら核戦争に発展しなかったのは、日本の物理学者で核研究の世界的権威でもある御子柴博士が中性子の自由運動を阻害する事で、核分裂を抑制する核兵器無効装置を開発した功績が大きい。この装置の悪用を恐れた御子柴博士は、全ての研究データを破棄して自害。
装置自体は十年で停止するように設定されていたことから。御子柴博士は大戦の終結時間を予想していたと思われている。また装置の基幹部分は現在の技術でも解析・再現は疎か、原料さえも判っていない事から。御子柴博士にまつわるオカルト説は科学者のみならず、一般でも有名である。荒唐無稽な話だと、彼は宇宙人や異世界人などと根も葉もない説がある(博士の遺体が突如消失した一件も広く知れ渡り、オカルト説を裏付けた)。
貴重な研究データを抹消したことから。御子柴博士を技術の進歩を隠蔽した愚か者と断ずる者もいるが、世界を核戦争の脅威から守った科学者の鑑と称える声が圧倒的に大きい。
〇2020年代。アメリカはカナダとメキシコと南米の一部を併合。<アメリカ大合衆国>を樹立する(ユニオン・ステイツ)。
それに続くように、ロシアはウクライナ・ベラルーシを併合。神聖ロシア連邦を樹立する。しかし、内部より無理やり他国を併合した国家に神聖という名を付けることに対して、不満の声が続出したことから<新制ロシア連邦>と改めた。一般的には<新ロ>と呼称されることが多い。
中国は朝鮮半島、ベトナムを併合して<大亜細亜連合>を形成するが。中国が主体になっている国名に対しての反発を抑える為(最終的にはアジア全てを併合する野心を込めて)<統一中華連合>を樹立するに至る(超亜細亜連合という意見もあったが否決された)。
欧州も大国が形成される脅威に抗うため、過去の遺恨を抑え込み。戦前は東EUと西EUに分裂していたのを再統合して<東西EU>を形成するに至る。
その他にも大国の脅威に抗うために、同盟を樹立させた連合国は多数に上る。しかし、習慣や文化の違いから対立などが多いのが現状である。
南米は大戦の主戦場となる場合が多かったために、国としての体裁を保てなくなる。事実上、地方レベルでの小国が乱立している。そのため武装ゲリラや反政府主義者が暗躍する危険地帯となり果てている(現在の南米の治安は世界の<五大危険地帯>に挙げられるほど悪化している)。
アフリカの国家は大戦の猛威に晒された結果。多くの国家が事実上消滅。地方政府レベルの自治区を形成して辛うじて無事だった都市周辺の治安を維持しているとされているが、内部の情報を遮断しているために、詳細は不明(事実上アフリカは巻き込まれただけで、大戦の被害者とされる見方が強い。その為か世界の国家に不信感を抱いている者が多い)。
大戦前にアメリカ軍が総撤退したため、自衛隊しか戦力を保持していなかった日本は国家総動員法を発令。強制徴兵を行うことで自衛隊を母体とした【国防軍】を形成。経済力を低下させてまで兵器を開発、量産し、何とか大戦を生き残る(小競り合いこそあったが、主戦場にならなかった事も大きかった)。
属国の誹りを受け他国から嘲笑されても忠実なパートナーであろうとした日本を、自国の都合で見捨てた事によって、戦後の反米感情は最悪と言っていい状態だった。現在では表面上は落ち着いているが、大戦経験者は未だにアメリカを毛嫌いする者が多いのが実情である。<新制ロシア連邦>や<統一中華連合>といった野心のある国家が周辺にいるため。恥知らずにも大戦終了後に、条約を一方的に破棄した謝罪すらなく同盟を持ち掛けてきた<ユニオン・ステイツ>に対する反感を抑え込み、再度の同盟を結んだのはこの二大国が周辺にあったからだと言われている。
2030年代。日本の領海内の対馬に謎の武装勢力が強襲を仕掛けた。住民は全員殺害される戦後最悪の大惨事となった(後に【対馬事変】と呼称される)。撃退に動いた国防軍も、将官と幕僚を殺されたことで敗走するに至った。しかし、国防軍の今井少尉が生き残った兵力を集め、機知に富んだ作戦でによって武装勢力を殲滅。
武装勢力の練度と保有していた装備から武装勢力の正体は<新制ロシア連邦>との見方は日本人の常識。だが<新制ロシア連邦>は日本の非難に対して、事実無根の言い掛かりとして一蹴している。
国際情勢の悪化を恐れた日本は無念の涙をのんだが、翌年に<新制ロシア連邦>内で新型インフルエンザが大流行。対応に失敗したことで、世界中に広がりパンデミックとなる。それに伴い各国は新ロを非難したことにより、日本の溜飲が多少だが下がる。
これを機に領海内にある島に、要塞や駐留軍を設置して自国の防衛強化に努めた(周辺国家に余計な緊張を持たせないために、最低限の防衛設備しか配備していなかったのが裏目に立た結果なので。政府や軍部を非難する声は大きい)。
中東はインド、ペルシャなどと同盟を組み、中東連合を設立。だが<統一中華連合>はインドに圧力をかけ内側から崩そうと画策しているが、現在のところ上手くいっていない。
オーストラリアは大戦中は半ば放置されていた事によって無傷で大戦を乗り切れることが出来た。しかし、世界の混乱を余所に我関せずを貫いたことによって被害を受けた各国からは非難の声が大きく、難民を受け入れざるを得なかった。現在は難民二世と現地人の問題が浮き彫りになって来ていて一触即発の状態が続いている。




