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グレイドック

お久しぶりです。

 緊迫した声のもとへ飛んでいくと、そこには三人の少年少女が大木を背に、グレイドックの群れにそれぞれの武器を向けている姿があった。


(あれ・・・?あの子達って確か・・・)


 少し離れた木の上から見下ろしつつ、見覚えのある少年達を前に誰だったかを思い出そうとしていると、一匹のグレイドックが動いた。


「・・・っと、こんなことしてる場合じゃ無さそう」


 俺は右手を、親指を立てて人差し指を伸ばした、所謂ピストルの形にし、木の上から剣を構えている少年へ飛びかかったグレイドックに照準を合わせて魔法を使った。


「『ライトニング・ピアース』」


 俺の呟きと同時に、人差し指から細い一条の雷が迸り、約340m/sの速さでグレイウルフのこめかみを貫いた。


「「「ふぁっ!?」」」


 突然飛来した雷に、少年達はなんとも間の抜けた声を出して驚いた。


「大丈夫?」


 そこへ、ピョイっと木の上から飛び降りる。一応、森の中なのでスカートみたいなヒラヒラした服ではなく、短パンを履いている。藪とか虫は、結界魔法で何とかなるし。


「あ、あんたは・・・」

「・・・少し怪我はしてますけど、大丈夫そうですね。カーマさん、クーヤさん、メヒーノさん」


 彼らの前に出て、名前を思い出せた。俺の一年先輩の冒険者で、何度か俺の所に診察しに来てたやんちゃ坊主達だ。

 剣を持った赤いつんつん頭のカーマ・セインヌ君。槍を持った黒髪の地味顔男子のクーヤ・ブーモクーヤ。そして、彼らの世代の紅一点。桃色の髪のツインテ弓使い、メヒーノ・タオサちゃん。

 ミリアナさん曰く、若手にしてはまぁまぁな腕前の冒険者らしい。


「君は確か・・・」

「癒し手の・・・フィール、さん?」


 クーヤ君とメヒーノちゃんがそれぞれ呟いたので、俺も「はい、そうですよ」と、にっこり微笑んで答えた。

 ()()()()()()()()()()()()


「っ!?危ない!!」


 そんな隙だらけの俺の背中に向けて、残りのグレイドック達は一斉に飛びかかって牙を向いた。そして、


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「「「・・・え?」」」

「設置型火魔法『フレイムピラー・トラップ』。一応、私のオリジナルです」


 炎の柱が消え去り、残った黒焦げのグレイドックの亡骸の山を見つつ、俺は呟くように自慢した。


 ・・・なお、自慢した相手のカーマ君達はポカーンと阿呆面を晒していた。もう少し反応してくれてもいいのよ?





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「助けてくれてありがとう!!」

「もう駄目かと思ってた・・・」

「キューシにイッショーを得たわ!!」


 森を抜けて、一緒に村に帰った途端、一気にお礼を言われた。因みにカーマ君、クーヤ君、メヒーノちゃんの順だ。メヒーノちゃん、お前、言葉のアクセントが少しおかしいぞ?


「いえいえ、これでも私も冒険者になりましたから。冒険者は助け合いですよ」


 俺は猫を被りつつ、そうにこやかに答えた。


 なお、その後カーマ君達のお母様達からお礼として御馳走になった。とても美味しかったです。

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