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民の王  作者: 秋月 清恵
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第1章 王子の始まり

魔法の大国 ルスマヒア王国。この国は、森や湖が多く、自然が豊かで野生の動物たちも多く生息している。そうして、人と動物たちが寄り添いながら暮らしている。そして、民たちは皆魔法を操ることができた。だが近年は、強い魔法を操る者は見られていなかった。そのため、今一番強い魔力を持つと言われている王が、強い魔力の子を授かることを、皆が待ち望んでいた。

そして、皆が待ちに待った男の子が産まれた。その肌は、とても白く、髪は絹のように滑らかなブロンド。そして、何よりも目を引いたのは、太陽を宿したような真っ赤な瞳と、赤い光に包まれるほどの強い魔力だった。それは、

その男の子は_________ラティファと名付けられ、その赤い瞳から「太陽の子」と謳われた。パラルギエン家は、代々自然の名を授かる。ラティファはかつてこの国を作り上げた初代王 “エストレアス・ソル・パラルギエン・ルスマヒアと同じ赤い瞳から、ソル(太陽)の名を受け継いだ。

ラティファが生まれたことはすぐに国中に知らされ、民たちは祝杯を挙げた。だが、ラティファが強い魔力を持っていることは、ほんの一部の人間にしか知らされなかった。魔法とは、本来少しの体内魔力を呪文や、魔法陣によって肥大化させ使うもの。呪文や、魔法陣も、鍛錬を経て使えるようになるものなのだ。

しかし、ラティファは生まれた瞬間から、体を光で覆うほどの魔力を作り出すことができた。それが外に知れれば、もし自分たちに何かあった時、ラティファの魔法を利用しようとする者が現れるかもしれない。王と王妃は恐れた。王と王妃は幼いラティファに何度も何度も言い聞かせた。

そしてラティファが4歳になった時。

「ラティファ、愛しい我が子。あなたはいつかきっと素晴らしい魔法使いになるでしょう。」

王妃は不思議そうにこちらを見上げるラティファの頭を撫で、王は言葉を続ける。

「けれど、お前の力は、決して私たち以外に知られてはいけないよ。」

王は、ラティファを抱き上げおでこにキスをする。すると、ラティファは意味がわからず、

「?どうして?お父様とお母様は、ラティファの魔法が、お嫌いなのですか?」

涙目で王と王妃を見つめた。

「違いますよ。あなたを愛しているから言っているのです。だから、どうか約束して。」

「私たちと約束してくれ。絶対に誰にも魔法を見せないと」

優しく自分を見つめる両親を見て、ラティファは満面の笑みを浮かべた。

「わかりました!ラティファは約束守れます!」

王はラティファへ人前では一定以上の魔法は使えないように、制御魔法をかけた。

そして、ルスマヒア王国に伝わる親愛と約束の証の儀式をする。王とラティファは向かい合って互いにおでこを付け、手を繋ぎ誓いの言葉を交わす。

「ルスマヒアの国に誓う」

「親愛と約束の誓いを交わさん」

「いついかなる時もこの誓い違うことなかれ」

そうして、王とラティファの約束は立てられた。

この約束が破られることはなく、ラティファの魔法のことは隠されたまま、ラティファはすくすくと育った。

ラティファ小さな頃から、街へ出ることが好きだった。王たちに何度もお願いし、5歳から護衛付きでの街への外出が許された。ラティファは、それはもう大はしゃぎした。

護衛には、パラルギエン家に代々仕えているマールラント家のノアがついている。ノアは、ラティファのお気に入りの人物で、16歳ながら魔術・剣術ともに国内でもトップレベルを誇っている。いつも優しく穏やかなノアにラティファはべったりだった。ノアも、純粋で明るいラティファを弟のように可愛がっていた。



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