4.4. Oさん
Y本部長と1棟入り口で8時に待ち合わせ。すぐにOさん宅へ向かう。
ピンポーン、出ない。さらに2回ピーンポーン。
「裏へまわって見ましょうか?」
すると室内には明かりがついている。
「もう一回押してあかなんだら諦めましょ」
表に戻り再度ピーンポーン。すると、人の動く気配。
二人顔を見合わせ微笑む、これぞお題目のありがたみだ。
「酒飲んで眠り込んでた」
「ほんとすんません。この間聞き忘れたこと三つ聞いたらすぐ帰ります」
「なんやな?」
「一つなんで宇多野はあかんの?二つ保護でも居れるはず?三つ実家は喜んで受け入れか?」
すると嫌な顔一つせずすぐ答えてくれた。
「太秦にしか専門の先生いてへん。保護もろうたら仕事ができずわしの生活費がでえへん。
実家は土地田んぼはあるが病院がないのが問題や」
「なるほどようわかりました。次の日曜元議員が座談会に来はりますが・・・?」
「あ、その日仕事やこの間平日に休んだから」
「わかりましたじゃゆっくり休んでください。また来ます」
と言って出た。玄関先。屈託のない気さくさがこの人の最大の魅力だ。
なんとか家の中で勤行ができればと祈るのみだ。さあ次の戦いだ。
Y本部長は顔を見合わせ微笑みながら言った、
「やはりお題目ですね。よう会えました。よかったです」