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4.18 ベテラン

昨日の協議会前に新聞の申込書を用意してSKさん宅へ。ところが、

「どういう理由でわしなんや?わしは学会家族に入らんでもちゃんと家族はおる」

とどういうわけかすごい剣幕、これはまずい。おととい贈呈新聞を入れといたのがまずかったか。


「いえいえそういうことではなくて兄さんも入院ということだったらと思い・・・」

「宗教には全く興味ないからもうええわ」

と言って扉を閉められた。残念、外は大雨。くそっ、申込書を握りつぶす。


協議会も折伏が行き詰って湿っぽい雰囲気。本部長はさっさと帰った。

O支部副婦人部長がそっとささやく、

「Kさんストレスが相当溜まってるみたいカラオケ行きましょ」

「わし千円しかもってへん」

「みな私のおごりや行こ、行くもんおらへんから」


外は土砂降り、店は貸し切りになった。3人でやけくそに歌いまくった。

そして今日。挽回すべく下のA君宅へ、

「法華経興味ないか?」

「ない」

「新聞1か月取ってくれ」

「NO」

取り付く島もなくとぼとぼと北へ向かう。


うれしいことにI宅、いつもチラシがたまっていたのにきれいになってる。

なのに人の住んでる気配はやはりない。さらにガードを越えて北へ。

H宅へ着いた。超ベテランの元地区部長だ。


「16年前の事件のことを伺いに来ました」

奥さん「まあ、あがってあがって」

Hさん「Tはほんまに大変やったんやほんとのことはわししか知らん」

「ほんとのこと?」

H「あいつはわしが地区部長の時折伏責任者でB長やった」

「大役ですやん」

H「そうや。8世帯折伏してU副会長をこの家にお迎えして大結集やった」

奥「新聞にも載ったしなあ」

「すごいじゃないですか」

H「そうや、教学もすごくて誰も太刀打ちでけへんかった」

「それがなんでまた」

H「酒癖が悪うて酔うと必ず幹部を呼べと叫ぶんやあちこち怒鳴り散らしてなあ」

「それが命取りに」

H「回覧板の件で包丁を持ち出し事件になった。大した傷じゃなかったのに」

「それまでに何度も?」

H「ああ何度なだめて止めさせたことか。これはわししか知らんことじゃ」

「そうですか、そしていまは?」

H「脳こうそくで倒れて今は呂律も回らん。しかも酒は一滴も飲めん身体に」

「そうだったんですか、もう襲われる心配は?」

H「それはもう全くない!歩くだけで精一杯でもう気力もないわ80過ぎやで」

「それを聞いて安心しました、来たかいがありました。おおきに」


大先輩、本当にありがとうございました!





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