06
「オラァ!!
喰らえやぁああああああ!!」
「ギィィィィィン」と、金属同士のぶつかる音と共に振動が部屋に拡がる。
「グギギ」
ニヤリと、そのトカゲ面が笑ったように歪んだ。
ここは地下十五層。
ザンジはメッサーと共に二人でダンジョンに潜り、敵の群れに遭遇した。
二足歩行のトカゲ、リザードマンの群れは六匹いた。内、五匹は倒したのだが、どうにも一匹だけが倒せない。
「こいつ硬過ぎだろ!?」
普通のリザードマンに比べたら色が濃く、ほぼ黒色をしている。
とにかく表面の鱗が硬く、メッサーの両手剣がことごとく弾かれてしまう。
「まいった、ボウガンも弾かれるよ」
「旦那役に立たねぇ~!」
「ぐがっ!」
リザードマンの手斧がメッサーの胸に叩きこまれる。
しかし……
「効くかボケェ!!」
「ぐげっ!?」
メッサーの心臓も肺も動いてはいない。
リザードマンも攻撃は効かず、メッサーも生半可な攻撃では止まらない。
「オラァ!!」
「フンッ!」
リザードマンは片手でメッサーの剣を掴んでしまった。
「マジかよ……
欲しいんなら、くれてやるよ!!」
次の瞬間、メッサーが頭突きをリザードマンに喰らわせる。
「!?」
「おらぁ!!」
続けてリザードマンの肩を掴んで、右手で顔面を殴りつける。
リザードマンは一瞬怯んだが、手斧を放り出してメッサーと向かい合い、なんと同じように殴りだした。
「ぐがぁ!」
「オラァ!!」
「ぐぶぅ!」
「ゲッヘ……」
「ええー……何これ……」
ザンジは困っていた。
通常、勝てないなら足止めでもして逃げる。
メッサーは熱くなり過ぎる、死体なのに。
「ぐ?」
メッサーの両腕はボロボロになってしまった。ところがメッサーはニヤニヤと笑う。
リザードマンには死体にしか見えない。
そのはずなのに、なぜか笑っていると理解出来てしまって背筋がぞぉっと冷たくなる。
「ぶっぐぁあああああ…ぁああ……!!」
メッサーは幽鬼の如く組み付くと、リザードマンの喉笛に咬みついた。
もちろん硬い鱗に傷を付ける事は出来ず、逆にメッサーの歯がミシミシと音を立てる。
息が出来ない。
リザードマンは両腕の爪を立ててメッサーの背中を掻き毟るが、さすがにそれで相手の行動を止める事は出来無い。
五分後、窒息死したリザードマンとボロボロになったメッサーがいた。
「おつかれー」
「お疲れじゃねぇよ!」
「一応修復出来るからって無茶し過ぎだろメッサー」
「旦那が魔法使える奴使わないからだろうが!!」
「えーでも、魔法使いって魔力使うから、魔石たくさん使っちゃうんだよね」
ザンジの使う術式は、ダンジョンに漂う魔力とザンジの魔力を使って死体を動かしていて、前衛なら三人は自分で賄える。
魔法使いとなると、魔法に使う分を別にザンジか魔石かで補充しないといけなくなる。
「そうは言っても、結局俺の体も直すのに魔力使っちまうじゃんか?」
「なんだよねー」
メッサーのボロボロの体に魔力を注ぎ込む。
すると、傷が修復され元の状態に戻っていく。
本来ならゴーレムの造形や一時しのぎの土壁に使うような魔法で、生身には到底使えないし、魔力で形を作るので気を抜くとボロボロと崩れる。
メッサーの体は、ほぼ魔力で出来た物質と置き換わっている。
現世への強い執着や未練が無いと、今頃は形が保てずに崩れ去ってしまう事だろう。
「じゃあ生きてる冒険者雇うかパーティーでも組んだらいいんじゃねーの?」
「うーん……」
「いいけどさー、こっからどうすんの?」
「さすがにこの階層のボスだったと思うんで、進める所まで進もうと思う」
「おっ、いいねー」
二人はダンジョンを進むと頑丈なドアがあり、入ると開けた場所に出た。
部屋のようになっており、入口と似たような出口がある。
「旦那、この部屋を出ると湿地みたいな場所みたいだぜ?」
「あーだからリザードマンが多い……」
「旦那……」
「トプン」
「トプン」
先程倒した黒色のリザードマンが少なくても十体以上湿地の池から顔を出した。




