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伯爵からの新たな依頼

「いらっしゃいましたか、錬金術師殿。伯爵様がお呼びです」

 我が家に訪ねてくる人は限られている。平時は錬金術目当ての客もいたのだが、店番をしてくれるウィステリアがいないので、休業中だ。

 そういう意味でもウィステリアには早く復活して欲しい。

 また何か問題ができたのだろうか。セイラが行った食料革命が新たな経済変動を起こしているのかも知れない。

「はい、それでは向かいます」

 メイとセイラを伴って伯爵の屋敷へと向かった。



 執務室へと通されて、伯爵の出迎えを受けたがその顔には疲労が見られる。

「よくぞおいで下さった。まあ、お掛けになって下さい」

 伯爵に勧められるまま、応接用のテーブルにつく。執事が卒なく飲み物を出してくれた。

 伯爵もそれに口を付けてから切り出した。

「実のところ戦後処理がまだまだ残っておりまして、なかなか領内の事に手が回っておりません。妙に城下が賑わって、活気は出ているのですが……」

「そ、それについてはこちらからも言っておかないと駄目な事が」

 セイラを促し、酒場に料理法を伝えた事を報告させた。

「なるほど、調理法を……しかし、それでここまで活気が出るものなのですなぁ」

「戦後で少しふさぎがちだったのも影響はあるかと思います」

「原因がわからず困惑しておりましたが、そういうことなら歓迎です。確かに領民も不安があったでしょうから、それを払拭して頂けたのは助かりました」

 伯爵は改めて頭を下げてきた。地位は高いはずなのに、全く偉ぶる様子もない。


「さて本題は別でしてな」

 伯爵が話を仕切り直した。

 戦後処理を行う上で、大事な事柄が抜け落ちていたのだ。

 そもそも何故、大掛かりなオーガの侵攻があったのか?

 オーガは魔物とは言え、それなりの知性を持ち、ある程度の組織だった行動を行う。

 軍団規模の侵攻自体は珍しくは無いらしいが、狙われるには相応の理由があるはずだ。


「我が領はそれなりに警備も巡回しておったし、奴らのテリトリーを侵すような事もしていない。今回の侵攻は寝耳に水だったのだ」

「なるほど」

「現状は騎士団が半壊していて、民間兵団を組織したがまだ育生途上。そもそも騎士は偵察には向いていない。狩人から有志を募るとう手もあるが……」

「まあ冒険者の方が本職ですね」

「事あるごとにあなた方に頼るのも情けないのだが、オーガの軍勢がどこから来たのか、何故起こったのか、その辺を調べて貰えないだろうか」

 そもそまプレイヤーにクエストを発注するのがお仕事。恐縮されると、こっちの方が申し訳なくなる。

「ええ、報酬さえいただけるなら、調査を行います」

「そうか。先日よりの活況で税収も増えている。報酬は弾ませてもらう」

 今までも十分過ぎるほど貰っているのに大丈夫だろうか。



「オーガの軍勢の調査か」

「頑張る、です」

 主力は半獣人とも言えるメイとなるだろう。戦闘力で言うなら俺よりも強くなっている。

「もちろん、1人に任せる事はないよ。行くなら皆でだな」

「当然ね」

 セイラとメイは確定として、パーティの単位は基本4人。もう一人、できたらヒーラーが欲しいところだな。


 一応、先日の防衛戦で知り合った20人にもデレクをはじめ、ヒーラーも何人かいるが、それぞれにパーティを組んでいるだろうし引き抜くわけにもいかない。

 ホムンクルスに猫又の法師丸、ハトがヒーラーとして存在している。

 そういえばハトの名前を決めてなかったな。昔読んだ話の勇敢なハトの名前をもらって、アルノーにしておこう。ステータスを呼び出して、名前の変更を行う。

「くるっぽー」

「改めてよろしく、アルノー」

「ああ、ハトくんか。でもヒーラーとしては、弱いよね」

 ホムンクルスの小獣カテゴリにある法師丸達は、体力の回復はできるものの状態異常の回復や防御魔法までは使えない。

 メイのように人化まで行えれば変わるのかも知れないが、ウィステリアの件もあるし安易には戦闘に連れて行けない。

 ホムンクルスは死亡時に復活できるかが不明なのだ。ウィステリアもまだ以前の人格で復活するかはわからない。

「ちゃんとしたヒーラーを探さないとね」

 ただヒーラー職は基本的に人数が少ない。募集を掛けて見つかるものだろうか?

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