シグウェル防衛戦 その4
オーガの襲撃までの時間は、メイとルカはより内情を探るための探査。
セイラは騎士達と連携の確認と訓練を行っていた。
俺はフレアストーンを買い集めて、フレアコアを量産。トライからヘキサまでの火力強化版も十分な数を用意した。
オーガも脅威だが、ゴブリンも200匹を超える数が集まっている。千人ほどの民兵で迎え撃つ形になるが、多くの民兵は戦闘経験もない人々だ。槍の握り方から指導が行われている。
狩猟を行う人々は、臨時の弓兵としてある程度の活躍は期待されるが、数は少ない。
「やっぱり冒険者がキーになりそうだな」
マーカスを通じて連絡は回してもらった。時差の関係もあって、何人が集まれるかまでは不明だ。
最低でもあの場にいた6人は来て欲しいのだが、どうなるかはわからない。
一応、ネットで告知を出してみたが、日本人ユーザー自体が少くなっているので期待は薄い。
金曜日の講義から帰ると、そのままフレアコアの作成を続けて、ある程度のところでメイも引き上げさせる。
ルカは独自の判断で動いてくれるだろう。
土曜日は午前中から警戒が必要なので、金曜の夜は早めに落ちる事にした。
決戦の土曜日。
長時間のログインに備えてしっかり目にご飯を食べる。他にもおにぎりや飲み物を近くに置いて、ALFの世界へと向かった。
すっかりと慣れた我が家。
「おはよう、姉様」
「おはよう、メイ」
メイが迎えてくれる。ウィステリアも今日は戦力の1人だ。戦装束に着替えさせ、槍を持たせている。民兵の側でゴブリンの対応をさせる予定だ。
「貴方達の代わりは居ないんだから、無理はしないでね」
「わかってる、です」
「了解、マスター」
家を出て他の街からの転送先になっている広場へ。街の非戦闘員達も戦に備えて炊き出しや治療の準備を行っていた。
そんな中に武装した一団が待ち構えていた。
「銀の姫プリスティン・ケイ! 不肖アレックス、配下5名を連れて参戦に参りました」
「誰が配下だ」
「マジでかわいいじゃん」
マーカスショップで顔を合わせた6人の他にも10名を超える参加者が集まってくれていた。
総勢20名になった冒険者部隊は、迎撃軍の主力となってくれるだろう。
「みなさん、ありがとうごさいます」
深々と頭を下げる。
「我ら銀の剣となりて、悪鬼を切り裂いてみせましょう!」
アレックスを筆頭に、皆それぞれに武器を掲げ、鬨の声を上げる。
そこに一匹のコウモリがやってきた。手を差し出すとそこに止まって声を届けてきた。
「ケイ、まずいかもしれん。最後の野営地にはオーガが3匹いた。体格的にもボス格以上だ」
「こちらも冒険者達が20人集まってくれてます。負けませんよ」
「なるほど、それは心強いな。野営本部で待っている」
言伝を終えると、コウモリは飛び去った。
「皆さん、前線に移動します。メイ」
一つ頷いたメイが大型の狐へと姿を変える。よく考えると銀のドレスのままだった。
いつものように跨がるわけにもいかず、横がけに腰掛けて穀倉地帯へと向かった。
物見櫓から少し街側の位置に設営された野営本部。大きめのテントと、門番代わりに隊長二人が立っていた。
「ご苦労さまです、錬金術師殿」
「ええっと、アレックスさんとデレクさん。エルズさん、マキャンさん、エドワードさん、ロイドさん、中へ」
マーカスショップにいた6人にも会議に顔を出してもらう事にした。
中では机の上に地図を広げ、伯爵とその息子たち。それとルカが頭を突き合わせていた。
「おお、諸君らが手を貸してくれる冒険者殿達か」
いち早く顔を上げた伯爵が、俺の背後にいるアレックス達を歓迎した。
「頭数は揃ったな。何とか形にはなりそうだ」
続けて頭を上げたルカは何故か偉そうだ。
「早速、作戦を詰める。こっちへ来い」
ここで反発しても仕方ないので、従うことにした。




