第1話
★★★★★★★★★★★
「おはようございます、スピカちゃん!!」
彼女は、幼馴染みであり、親友の如月心紅。綺麗な金髪のツインテールに左目の眼帯、癖である敬語が特徴の女の子。
「おはよう、心紅。」
明るい金髪に目がしばしばしつつも、挨拶を返す。
「聞いてください、スピカちゃん!
昨日、お父様がわたしのケーキ間違えて食べちゃったんですよー!」
心紅は、人形っていう種類の亜人。
彼女の両親は人形師で、結構有名らしい。
心紅は人間に最も近い形で人の心を持っているし、自分の意思で動ける珍しい人形なんだって。でも、心紅が人形なのは小一の時からずっと友達だったし、あまり気にしたことがない。
「あれじゃない、食べられたくないなら名前書いとけ的なやつ。」
と私はたまーに漫画とかで見かけるあれを口に出してみた。
「もう!スピカちゃん、古いですよ!ケーキだから名前も書けませんし!」
あ、怒られた。古いかなぁ…。確かに、名前は書けないかも。なら、どうすれば……って、なんで私はこんな事を真剣に考えてるんだろう。
「まぁまぁ、とにかく学校行かなきゃじゃない?遅刻するよ?」
「そうですね!」
行きましょう、スピカちゃん!と、手を引かれ学校に向かう。いつも通りの日常になんだか心がふわふわする。