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駄文集

籠の中の鳥

作者: 川柳えむ

 その日も見事な快晴だった。

 太陽を見上げては目を細めた。

 鳥を探して、僕は高い場所へと向かっていた。


 今までそこにいたはずの、鳥はどこへと消えたのだろう?

 籠に閉じ込めて、逃げられないようにしていたはずなのに。

 たしかに、昨日まで――鳥は鳴いていた。この籠の中で。

 それがあまりに煩くて、僕は耳を塞いでいた。

 鳥はそこで飾られているだけでいいんだと、囁いた。

 鳥は一瞬鳴き止んだ。そして――


 鳥は消えていた。


 鳥を捕まえていたはずだった。

 自由な鳥は、もう自由じゃなくなっていた。

 いつの間にか、僕の籠の中で寂しそうにしていた。

 そして、今になって、気付く。


 あぁ――

 僕が、その翼を奪っていたんだ。

 その鳴き声も、僕が出させていたのか――


 籠の中で鳴いていた鳥の姿を思い出す。

 どこへも飛び立てなかったはずの鳥は、ただただそこで鳴き続けていた。

 まるで、訴えかけるかのように。煩く。


 ――でも、まぁ、そう。

 お飾りの翼でも構わないけれどね。煩い鳥なんていらないよ。

 美しく、僕のために歌ってくれる鳥だけでいいんだ。


 さて、次の鳥を探しに行こう。


 僕は眼下に広がる輝く街を見下ろして笑った。


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