佐渡の宝と武田の滅亡
加賀 末森城
私の元に上杉家から使者が来ていた。
内政と上杉征伐の準備、上杉を包囲するべく、最上、蘆名などに使者を出し、第六天魔王に服属するように説得、上杉、武田、北條を除く東国の大名は第六天魔王に服属。
上杉、武田、北條は孤立してしまった。
周りが全て敵になった上杉は堪らず、使者を私の元に出してきた。
相手は樋口与六兼続。
私は『無駄な戦を無くすのは良い。
景勝殿が臣下の礼を取り、第六天魔王の元に上洛する必要がある。
早く上洛すれば越後、佐渡の本領安堵は認められる。
その際の口添えはしよう。
だが、武田や北條がそれまでに滅ひだら、もはや不可能に近い。
もう一つは不識庵が保護した』
兼続は『説得してみます。将軍家は』
私は『不憫だが、時代の流れと言うしかない、もはや将軍家への人心は離れている
彼の方や周りは理解したくないか、認めたくないのだ。
現実を見せてやるしかないだろう。
それと、何度となく不識庵は関東遠征を行なった際、関東の民を奴隷として連れ帰ったとか。』
兼続『それは』
私は『止められよ、関東菅領としてどうかと思うやり方。これからは景勝殿がどのようにやって行くか、不識庵のようにやって行くことは無理。
ならば、越後、佐渡を開発し、民のための政治を行なっていくしかない。
私から兼続殿に助言と言っても貴殿には分かっているはずだ。
越後は青蘇、金、銀、銅がある。
これらを使い、越後平野の開墾、治水などの開発に使い、住む民の為に使うようになされ。
攫ってきた関東の民を使うように。
金や食糧を十分に与え、ある程度の目処がついたら、関東に戻しなされ。
財源がないと考えがちだが、財源はある。
佐渡に財源の元がある。
探しなされ。』
兼続『それは』
私は答えなかった。『私も欲しいのだがな』
と心の中で呟いた。
兼続は信政の考えを聴いて、越後に持ち帰り吟味することになった。
外交と内政と新しい産業開発を行ない、第六天魔王への報告を行なっていた。
水軍を作って、脇坂安治を司令官にし、日本海の治安を守るようにしながら、探索を命じた。
案の定、現代でも揉めた島をこの時代であっさり制圧した。
海洋資源獲得を目指す、基地兼港を作っておいた。
しばらくして越後いた将軍家は北に逃れたと言う噂が流れた。
寒い地方へ逃れ、再興すると言うが、もはや、再興など不可能だろう。
程なく、私の元にやってきた上杉景勝、樋口兼続を伴い、上洛し、安土で第六天魔王に謁見した。
第六天魔王『大儀であった、景勝、越後、佐渡、北信濃と上野の一部の本領安堵、認めよう、励め。
いずれ関東遠征の際は頼む』
景勝は平伏し、了承した。
景勝と兼続が第六天魔王の謁見の間から離れる際、第六天魔王が私を呼び止めた。
上杉を外交で平伏させたことを褒め、『朝廷から信政、お主に従三位中納言、加賀、越中、能登守、北陸探題に命じると言ってきた。
』
私は『父、長政を差し置いては』
『大丈夫だ、長政にもお主の任官承諾を得ているし、越前、若狭守と他にも官位があるため、大丈夫だ』と。
私には断ることはできなかった。
安土 第六天魔王
越後の上杉が降った。
あとは甲斐と関東、時期が来た。
上杉、狸に備前守、信政、權六らに命じるか。
織田の東方遠征が始まった。
命が届き、北陸道経由から北信濃の海津城、高遠城を通り、中山道を進む軍と合流し、甲斐へと入る予定でわ父、長政が総大将となり、私や景勝が副将。
軍師に兼続。
大軍ゆえ、海津城、高遠城はあっさり陥落。
砥石の真田は降伏。
北信濃の武田方は潰れた。
しばらくして、甲斐に侵入、武田家は戦国大名としては滅亡した。
勝頼や信廉は自害。
四名臣はすでに病死しており、有能な人材はすでにいなかった。
私は野に隠れた武田家の一族や家臣を密かに探して、匿い、加賀、能登、越中に連れ帰った。
家臣の数がまだまだ少ないためだ。
信玄の九男信貞、十男信清、何人かの信玄の娘に依田信審、保科正光、内藤昌月、馬場信頼、高坂、山県の一族などと言った武将を。
。
狸に武田家の遺臣が仕える数は少なく、軍備の強化に繋がらなかった。
ただ一人、木曽義昌が仕えたが、どういう訳か妻に逃げられたらしいと言う話を聞いて失笑したが、その妻が私の元にやってきて、『夫の不実に呆れました。
信政殿の元に密かに多くの武田の遺臣を匿い、家臣として登用すると聴きました。
何卒、我が子にも』
私は厄介な荷物をと思ったが、幼い子を抱えているので仕方なく、匿うのと、自身の子の側に仕えるように手配しておいた。
木曽に気づかれないようにすることを忘れなかった。
武田を滅ぼした勢いで北條を討伐すべしと言う話が出たが、私は『兵糧や軍需物資が武田攻めまでしかないこと、北條に再度使者を送り、様子を見てはどうだろうか。
地に足をつけて戦うべし』と。
元親殿が『私も信政殿の意見に同感だ。
また、何も戦わない訳ではない。
調略を仕掛ける。
そう、北條の忍び集団、風魔の頭領、風魔小太郎に。
忍びの身分は低い、それが理由だ。』
第六天魔王は頷き、『良かろう。
士分に取り立て、頭領級は直臣として織田が取り立てる。』
この意見が通り、北條攻めは延期となった。
元親殿から『兼続殿に佐渡の宝を教えたらしいな、欲しかったのに』
私も『欲しかった、兼続殿次第です。
見つけられなかったら、我らで分け合うとしますかな。』
不気味な笑みを浮かべた。




