初の祝言と出会い
加賀 末森城
私は九州遠征の計画や準備を一氏から聞いた。
まあ、負けることはない、大友、島津、龍造寺に使者は行ったが、島津、龍造寺は第六天魔王に服するようだが、大友は無視している、立花道雪、高橋紹運など良識派は孤立している大友宗麟を説得しようとしているが、田原親賢が反対し、宗麟も親賢の甘言に惑わされ、いずれ大友は滅亡するだろう。
もう一つ報告が入り、立花道雪が病気になり、高橋紹運は南へ島津氏との対応に入っている。
立花道雪の娘婿であり、高橋紹運の次男、立花統虎こと宗茂が妻の誾千代と共に、備中の三村を訪ね、第六天魔王との謁見を要請してきたと言う。
私は『恐らく、滅亡する大友の枝葉を残せるようにして第六天魔王に働きかけるのだろう』
一氏は『では』
私は『立花道雪が亡くなれば、九州遠征が始まるだろう』
しばらくして立花道雪が亡くなり、第六天魔王は大友征伐を号令した。
一年かかるか、かからないかで大友征伐は終わり、西国は戦後処理に明け暮れた。
大友の旧領はほとんど第六天魔王の領土になり、信忠様や氏郷らが入り、統治が始まったようだ。
何年かしたら、九州は戦後復興出来るだろう。
私も負けじと国力を増強している。
新しい産業開発を行い、私が統治してから6年、運営が軌道に乗り始めた。
一向宗の匂いは亡くなった。
そんな中、北近江から茶々が余計なことをしてしまい、初の縁談を横から邪魔をする騒動が起こった。
私は事の次第を聴いて、頭を抱えたし、督や茜も呆れていた。
仕方なく、安土に向かい、骨を折らざるを得なくなった。
安土城 第六天魔王
市と信政が来て、秀親との縁談についておかしな方向に行ってしまったようだ。
儂もあの三姉妹の内、一人を娶せるように考えていた。
長政、市、信政やキンカンらから報告を受けてもいた。
どうやら茶々が拗らせたようだ。
初を呼び寄せた同時に、三村が今回の事で謝りに来た。
儂は茶々に『茶々、お前がしゃしゃり出て来なければ、初が喜んで備中に行く筈だった。
こんな馬鹿げた騒動にはならなかった。
茶々、お前の縁談については、儂が勝手に選ばせて貰うから覚悟しておけ。』
茶々は俯き、了承した。
謹慎を申し付けてから、秀親と初の祝言を挙げさせた。
同上 下屋敷
私は深夜、三村備中守元親殿と会った。
互いの素性と転生者であることを確認した。
彼も私も、猿や狸の側室を娶ったり、私の正室についてもあり得ない話になっていることも、未来を変えたから将来どう変わるのか、
わからないとも零しながらも、面白いし、やり直しがきくだろう。
未来の知識を生かしながら、この時代を生きていく、とも。
彼から、加賀、能登、越中の統治についての助言や伯耆、因幡から加賀、能登の交易についてなど話し合った。
また、東方遠征で協力することも。
話が尽きることはなかった。
彼は、東方遠征の先陣を受けたと言う。
私は、上杉、武田、北條以外の大名達に誘降させ、周りを固めてから討伐に動く、動く前に使者は出す。
上洛してくれれば、助けるようにする。
この方針で行くことになった。
同上 三村備中守元親
まさか、同じ時代から転生していたとは、思わなかった。
浅井信政、いや万福丸、本来なら猿に田楽刺にされたが、避けるべく動いた。
祖父の追放、朝倉滅亡、人材登用、産業開発、国力の充実、手取川の対軍神用の陣城、加賀、能登、越中の経略、十年計画による統治。
加賀、能登、越中の産業は前倒しして行なっている。
あの三ヶ国で約百万石はある。
羨ましい限りだが、まあ良い、人それぞれ、器量があるし、環境の違いもある。
妻の竜子が、信政のことを私に似ていると言っていたが、考え方や性格が似ているのだろう。
めし、私がいなければ、近江出身の人材に軍師は信政殿に仕えて、天下を狙うだろうな。
あれだけの大器なら、第六天魔王が後継に選ぶ可能性もあったかどうかだが。
あり得たかもしれないだろうか。
長政殿が亡くなれば、信政殿が継ぐ。
北近江、若狭、越前、加賀、能登、越中、開発しているから約二百万石以上の石高。
上手く、あの三姉妹を上手く政略結婚させれば、十分天下を狙える位置だ。
私なら、上杉、毛利、辺りに話を持っていくがな。
他に言えることは猿、狸が天下を狙うのははっきり言って不可能だ、むしろ潰されるだろう。
初の祝言が終わって、両者は備中、加賀に戻って行った。




