将来の布石
美濃の国 岐阜城
第六天魔王の城。
まだ安土に城は出来てはいないが、建築計画は立てられてるらしい。
史実ではあの痴愚が焼いたが。
やはり小谷は廃して長浜当たりに城を築く。
琵琶湖に面して、摂津や京に行きやすく、北国との交通の要衝だから。
ともあれ、第六天魔王に謁見しよう。
母や妹たちと共に、謁見した。
第六天魔王の側には丹羽長秀と滝川一益がいた。
鬼柴田、佐々は岩村城
明智、細川は丹波攻め計画
摂津は佐久間など。
播磨には猿、犬。
が派遣されている。
二人は飛騨攻めを考えているらしい。
第六天魔王『長秀、一益、飛騨攻めに関してはそれで行く、だが、あまり時間をかけるな、越後の龍が出てきたら、まずいからの』
二人は頷き、第六天魔王の間から離れて行った。
第六天魔王は母や私、妹たちを見て、『よく来た、ゆっくりして行け。
それと、会わせたい者がいる』
しばらくして、目通りを許された一人の子供が入って来た、歳の頃は茶々と変わらないか。
『三村備中守元親が一子、勝法師丸と申します、始めて御意を得ます、浅井様には』
私は顔色を変え、第六天魔王『あの三村の長男だ、もうじきに元服だがな、宮松丸と秀包はどうした。』
彼は『墨俣まで行ってます』
第六天魔王『仕方のない連中だな、来いと言ってたのに。』
第六天魔王は三人とも気に入っているようだ。
私は『始めまして、勝法師丸殿、本当は備中守に会ってみたかったが、浅井備前守長政が長子、信政です。』
勝法師丸は流石に緊張しているようだ。
市『あの方の』
第六天魔王『何だ、会ったことがあるのか?。そうか、長篠後にか』
市『信政は若狭にいたため、代わりに私が立会いました。』
第六天魔王は頷き、『互いに歳も近いから、会わせたかった。
市は残れ、後は下がって遊ぶなり、話をするなり、好きにせよ』
別の部屋に信政達は下がって行った。
市『兄上、私達にあの子を会わせた理由は何でしょうか』
第六天魔王『市、お前はもう分かっていると思うが』
市は頷き、『なるほどそういうことですか』
第六天魔王『反応を見たかった、茶々や初、江らのな、信政は元親に興味があるみたいだったがな』
茶々は少し見下した表情をして、信政、初や江は興味深い表情をしていた。
別室では信政は勝法師丸と話をしていたが、茶々が乱入していた。
茶々『備中守殿は何ゆえ、商人の真似事をしているのか、余りに』
勝法師丸『生き残るため、備中や伯耆に住む民、百姓を戦火から守るためやってきたこと、国を治める大名としては当然のことをしているだけ、確かに見下す者もいるが、では、どうしたら良いのか、教えて欲しい、非難出来るのは容易いけど、茶々殿が考えられていることをやったら、滅びていたよ、恐らく』
茶々は苦々しい表情を浮かべ、答えられなかった。
信政『茶々の負けだ。国や民のことを考えていかねばならないのが、我々の立場、私情で動かすのは愚を犯す。
祖父がどうなったか、考えよ』
茶々は憤然として席を立ち、部屋から出て行ってしまった。
初『申し訳ありません、姉が失礼なことを』
勝法師丸『慣れてますから』
信政『誰かに言われたのかな』
勝法師丸は答えなかった。
信政は答えられない存在を悟った。
【信忠様は言わない、次男か三男だろう、愚かな、第六天魔王すら注目しているのだ】
勝法師丸は初や江と遊んでいる、遊び道具を見たが、どう見ても、現代のトランプや花札、オセロのようだ。
信政【転生者だろう、元親殿は】
しばらくして信政も混ざり、市も部屋に入ってきた。
市『茶々は?』
勝法師丸『申し訳ありません、少し』
信政『言い争いをしてしまいまして、茶々が負けて、部屋から出て行ってしまいまして』
市『あら、あの子は我が強いから、仕方ない』
市は初や江が仲良く遊んで貰っていたのを見て安心していた。
初は気に入ったのか、その後、眼を盗んで会う時間を作るようになるのは別の話である。
信政はその後、第六天魔王に呼ばれた。
『毛利いや三村と長宗我部が婚姻を結んだようだ。』
信政『九州を攻めやすくなりました。
東は守りに徹してはいかがでしょうか』
第六天魔王『なるほど、博多や豊後、筑前、筑後などを得るか、悪くない、とりあえず、儂に従うかどうかの書状を出そう、反応を見よう、信政は出陣せよと言いたいが、阿呆の公方と丹波や別所の監視を頼む、不穏ゆえな』
信政は頷いた。
『ところでどうだった、会ったのであろう』
信政『はい、茶々が言い負かされましたが、
初や江とは仲良く遊んでました。
初は気になったようで』
第六天魔王は笑い、『分かった』
既に嫁ぎ先は決まっていたと言っていい。




