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とある魔法使いの娘の呟き 053
声を上げたのは、虚ろなままの皇子。
「うああ」
さらに声を上げ、彼の手が小箱ごとを下から叩き上げてくる。
「きゃっ」
彼の突然の行動に驚いてしまい避けることもできず、小箱と龍の髭が別々に宙を舞う。私の身体も持って行かれるが、使い魔が抱きついて支えてくれた。
「あ…あぐ」
しかし、咄嗟に私に手を伸ばした父の頭に小箱が落ち、そしてなぜか父の口の中に龍の髭が入り、飲み込まれる。
「「「あ」」」
皆の声が重なると同時に、眩い光の魔法陣が父を覆い隠す。あまりの光に耐えられず、目を閉じてしまいそうになるが、どうにか薄目で堪えることができた。
「さ、先ほどとは違う魔法陣も発動している!?でも、まだ起動させていないのに!」
薬菓子や魔法薬は、魔法陣に魔力を意図的に流さないと発動しないはず…もしかして、薬菓子ではない!?
そして、光は小さく納まって行く。




