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とある魔法使いの娘の呟き 052
「…綺麗ですね」
王女は隣に腰を落とすと、私の掌に置かれた小箱を覗き込んで来る。
「…龍の髭」
父が私の後ろに立ち、そう呟いた。
「りゅうのひげ?これは、ドラゴンの髭なのですか?」
王女は振り返り、父をながら訪ねる。
「いいえ、姫様。飴細工です」
「えっ?これがキャンディーなのですか?」
父の返答を聞いて、再び小箱の中を覗き込む王女。
ん?今、小父様の隣に座る虚ろな顔をした皇子の肩が微かに動いたような?
「はい。私も見るのは、“深き森”で一度だけ。これで二回目ですが、確かに龍の髭です」
「これがお菓子なのですね」
“深き森”ですか…
まさかと思った私は、父に振り返る。
「ああ、そうだ。義父上からいただいたことのあるキャンディーだ」
私と目を合わせた父は、そう告げた。
「うあわああ」
そして、突然叫び声が上がった。




