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とある魔法使いの娘の呟き 030
『大丈夫。私がここにいます。大丈夫』
それは、とても手間のかかる妹分で、私のとても大事な友達の声。
『いたいの、いたいのとんでゆけ。いたいの、いたいのとんでゆけ』
そして、大好きだった母が教えてくれたお呪い。
『…それは、怪我をした時のお呪いよ』
お転婆な私や王女が、軽い怪我をすると、治癒魔法を掛ける代わりに母が唱えてくれるお呪い。
『…そうだったかしら』
『ええ』
気づけば、調子の悪いはずの王女が私の頭を抱き抱え、私をあやす様に頭を撫でている。
『でも、治まったでしょう?』
悪戯っぽく笑う彼女の顔に、強張った私の体の力が抜け、乱れた魔力と感情が嘘のように消えていく。
「お嬢様!!」
そして、私の使い魔が血相を変えて、“私の影”から現れたのを見て、私は意識を手放した。




