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とある魔法使いの娘の呟き 020
「お、俺を無視するとは、いい度胸だな!」
一方、どす黒い殺気にも似た視線を、私の父に向ける帝国の皇子様は、話に加わろうと思っても何の話をしているのか理解できなのでしょう。
それが余計に彼を苛立たせているのか、周りに生徒たちが寄り付かず、大部分が距離を置いて立ち尽くしている。
『今度のお菓子は、何が良いですか?』
『そうですね…果物を使った物も捨て難いですが…』
そんな周りをよそに、父たちは皇子を端にも掛けず、談笑を続けています。
父よ、一応教員なのだから、周りの生徒のことも考えて欲しいというのは、私の我儘でしょうか…
「俺の理解できる言葉で話さぬかぁ!」
さらに不機嫌に声を荒げる皇子様。
まあ、理解できないでしょうね。あれは、この大陸はおろか、この世界に存在しない言語。もし、話すことができるのならば、それは母方の親戚か関係者くらいでしょう。
なぜ、王女様が話せるかといえば、私と一緒に覚えたから。他の人は話せない私たちだけの秘密の言語というのに夢中になったのはいい思い出です。
さて、お昼休みも有限なので、私もそろそろお昼を頂きますか。




