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F!くえすとっ!  作者: あひる亭桃羽
ニシノ村の秘宝
8/55

08

「まずは、お手並み拝見といこうかの」

老人が目配せすると、グールが低く唸る。

「…来るぞ!」

グールが飛びかかってくる。

「地に帰れ!!!!」

サグアは両手を突き出し、呪文を唱える。

たちまちグール達を複数の光が貫く。

しかし、グール達は止まらない。

グールには痛覚も恐怖も感情もない。

穴だらけの身体で迫ってくる。

サグアはグールの攻撃をかいくぐると、後ろから頭を掴んだ。

「まず一匹!」

グールの頭が弾け飛び、地面に倒れた。

もう一匹のグールが間髪いれずサグアに攻撃をしかける。

まともに顔を殴られ、地面を転がった。


グールは、普通の人間であれば無意識にかけているリミッターが切れている。

なので、信じられないくらい力が強い。


サグアはなんとか立ち上がったが、グールは攻撃を緩めない。

腹に拳がめり込み、頭を掴まれて壁に叩きつけられる。

視界が赤く染まる。

理由が自身の血液のせいだと気づいた時には、また顔面を殴られ地面に倒れていた。

「サグアさん!!!!」

イパスルの声に反応して、グールがイパスルに顔を向ける。

ゆっくり、グールがイパスルに近づいていく。


イパスルは聖法に特化していて、攻撃する術をほぼ持たない。

グールの攻撃を受けたら…!


サグアはフラフラと立ち上がると、石を投げてグールの気を自身に向けさせた。

「お前の相手は、俺だろう?」

短く唸り声をあげ、グールがサグアに向けて腕を振る。

それをギリギリでかわすとサグアはグールの腹に手を当てた。

「二匹目だ!」

グールの腹に大穴が空く。

グールはまだサグアに襲いかかる仕草を見せたが、地面に倒れてそのまま動かなくなった。


「サグアさん、動かないで下さい」

イパスルはサグアに駆けより、呪文を唱えた。

イパスルの聖法で、サグアの傷がふさがっていく。

「わざわざ治療の時間を与えるなんて、余裕だな?」

サグアが老人に向かって言う。

老人は愉快そうに笑った。

「怪我人の魔法士と、聖法士のお嬢ちゃんじゃ、一分もつか怪しいからの。せめてもの情けじゃ」

「言ってくれるぜ」

治療が終了し、サグアが老人に向き合う。

「治療も終わったようだし、全てをおわらせるかの」

老人は両手を強く握りしめ、体全体で力んでいる。


なんだ…?

この魔力は…?


老人の身体が一瞬光に包まれる。

思わず、目を閉じるイパスルとサグア。

光が収まり、恐る恐る目を開けると、恐ろしい姿が目に入った。

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