08
「まずは、お手並み拝見といこうかの」
老人が目配せすると、グールが低く唸る。
「…来るぞ!」
グールが飛びかかってくる。
「地に帰れ!!!!」
サグアは両手を突き出し、呪文を唱える。
たちまちグール達を複数の光が貫く。
しかし、グール達は止まらない。
グールには痛覚も恐怖も感情もない。
穴だらけの身体で迫ってくる。
サグアはグールの攻撃をかいくぐると、後ろから頭を掴んだ。
「まず一匹!」
グールの頭が弾け飛び、地面に倒れた。
もう一匹のグールが間髪いれずサグアに攻撃をしかける。
まともに顔を殴られ、地面を転がった。
グールは、普通の人間であれば無意識にかけているリミッターが切れている。
なので、信じられないくらい力が強い。
サグアはなんとか立ち上がったが、グールは攻撃を緩めない。
腹に拳がめり込み、頭を掴まれて壁に叩きつけられる。
視界が赤く染まる。
理由が自身の血液のせいだと気づいた時には、また顔面を殴られ地面に倒れていた。
「サグアさん!!!!」
イパスルの声に反応して、グールがイパスルに顔を向ける。
ゆっくり、グールがイパスルに近づいていく。
イパスルは聖法に特化していて、攻撃する術をほぼ持たない。
グールの攻撃を受けたら…!
サグアはフラフラと立ち上がると、石を投げてグールの気を自身に向けさせた。
「お前の相手は、俺だろう?」
短く唸り声をあげ、グールがサグアに向けて腕を振る。
それをギリギリでかわすとサグアはグールの腹に手を当てた。
「二匹目だ!」
グールの腹に大穴が空く。
グールはまだサグアに襲いかかる仕草を見せたが、地面に倒れてそのまま動かなくなった。
「サグアさん、動かないで下さい」
イパスルはサグアに駆けより、呪文を唱えた。
イパスルの聖法で、サグアの傷がふさがっていく。
「わざわざ治療の時間を与えるなんて、余裕だな?」
サグアが老人に向かって言う。
老人は愉快そうに笑った。
「怪我人の魔法士と、聖法士のお嬢ちゃんじゃ、一分もつか怪しいからの。せめてもの情けじゃ」
「言ってくれるぜ」
治療が終了し、サグアが老人に向き合う。
「治療も終わったようだし、全てをおわらせるかの」
老人は両手を強く握りしめ、体全体で力んでいる。
なんだ…?
この魔力は…?
老人の身体が一瞬光に包まれる。
思わず、目を閉じるイパスルとサグア。
光が収まり、恐る恐る目を開けると、恐ろしい姿が目に入った。




