06
女性は意識はあるようだ。
だが、目の焦点が合っていないというか、ボーッとしている。
「…良い加減、自分で立ってくれねぇかな?」
その問いかけに、女性はハッと反応する。
「す、すみませんでした!」
女性は自身の足で立ち、もう一度頭を下げた。
「ルンミイの読み通りだったぜ。やっぱし刺さってた」
シュウドが羽根をヒラヒラさせる。
「貴女に一体何があったの?」
「私の名前はスキュラ。妖精族です。ある日、私の村に『ジェネラルホーク』と名乗る男がやって来ました。初めは、気の良い冒険者のような振る舞いでした。しかし…」
スキュラは身震いをする。
「まるで悪夢でした。一夜にして、私の村は壊滅しました。私は隠れ、逃げようとした所を捕まりました。その後の事は覚えていません」
自身がモンスターとして戦った記憶などはないらしい。
その方がいいかもね。
もしかしたら、スキュラに殺された冒険者だっているのかもしれない。
「お二方とも、お怪我をなさっています」
スキュラはアタシとシュウドに掌を向けた。
傷が癒えていく。
「おめー、聖法使えんのか?」
「妖精族は戦う事が苦手な種族。その代わり質の高い聖法を使えます」
スキュラはニコッと笑った。
とても可愛らしい笑顔。
表情がない時は、凍りつくような美人さんに見えたが、今はむしろ女の子に見える。
年はアタシより下に見えるけど…妖精族は長命の種族だって聞くからな。
いくつくらいなんだろう。
そんな事を考えながら身体を確認してみると、どうやら傷はすっかり癒えているようだ。
そんなヘビーな怪我はしてなかったしね。
さて、この娘をどうしよう。
まさかここに置き去りにするわけにもいかない。
この先には、何が待ってるかわからない。
かと言って、今のところ来た道を戻って外に出る術もない。
「シュウド、どうしよう?」
「どうしようもなにも、一緒に行くしかねーべ」
「そうだよね…ただ、もしまた強いモンスターが出た時、スキュラの身まで守れるか…」
「私ならば大丈夫です。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、聖法が使えます。ですから外までご一緒させて下さい」
スキュラは深々と頭を下げた。
ま、一緒に行くしか選択肢はないよね。
「じゃあ、短い間かもしれないけど、よろしくね」
アタシとスキュラは握手をする。
「そうと決まれば先を急ごうぜ!サグア達も心配だ」
アタシ達は先に進み出した。
「ジェネラルホーク様。あの妖精族、スキュラと申しましたか?奴の術が解かれました」
「思っていたよりやるな。これはこちらもそれなりの準備をせねばならぬやもしれん」
「私めがまいりましょうか?」
「そうだな…。ならば奴らの片割れの方に向かえ。そちらはある程度の法術をつかうようだ」
「かしこまりました」
ジェネラルホークの前からスッと気配が消える。
「やはり、骨のある相手は愉快だ。どこまで頑張れるかな」
ジェネラルホークはさも愉快そうに笑った。




