05
「怪しい登場だな」
シュウドは警戒しながら女性を睨みつける。
アタシも隙を見せないように剣を構えた。
「ここに来てしまった事を後悔するがいい」
相変わらず、感情の無い声で女性が言う。
「ぬかせ!!!!」
シュウドは一気に女性との間合いを詰めると、得意の蹴りを放った。
しかしそれは片手でかわされ、反対にシュウドが吹っ飛ばされる。
それと入れ代わりで今度はアタシが剣を振る。
かわされそうになったところで突きに転じる。
フェイント。
女性はそれも避けたものの、頬に一筋、赤い傷がついた。
「抵抗しなければ楽に死ねたものを。後悔しろ。ニンゲンども!」
女性の姿がみるみる変わっていく。
上半身は、確かに美しい女性なのだ。
しかし、下半身は魚。
そして上半身と下半身のつなぎ目には六頭の犬の上半身がはえている。
なんだこの化け物!!!!
「我が名はスキュラ。絶望に打ち震えながら死ね!」
スキュラはシュウドの首を掴むと軽々と持ち上げる。
「ガハッ!」
苦しそうにもがくシュウド。
「シュウドを!離せ!」
シュウドを掴んでいる腕を切り落とそうとすると、スキュラはアタシにシュウドを投げつけた。
アタシはシュウドを受け止めきれず二人でもつれるように倒れる。
素早く起き上がるシュウド。
「化け物が!」
シュウドの突きや蹴りの猛攻を受けながら、スキュラは笑っている。
鋭い猛攻が、一つとして決定打が入っていない。
軽くあしらわれている。
攻撃と攻撃の合間、スキュラはシュウドの胸に手を当てた。
ドンッと空気が震え、シュウドが吹っ飛ぶ。
「ぐおっ!シャ、シャレになんねーぞ」
「ニンゲンごときが、我に勝とうなど片腹痛い」
今度はアタシの番だ!
剣を握り直し、スキュラとの間合いを図る。
「だぁぁぁぁぁ!」
アタシの剣撃を軽々かわし、スキュラは軽く腕を振る。
「!!!!」
アタシの身体を激痛が襲う。
二撃、三撃と激痛が続く。
攻撃が見えない!
四撃目を受けたとき、アタシは腹を抑えて片膝をついた。
スキュラに髪の毛を掴まれる。
…今だ!!!!
アタシは下から犬の上半身の一つを突き上げた。
赤いものがほとばしる。
胴体を斬りつける。
手応えあり!!
一旦間合いを取った。
しかし袈裟懸けについた傷は、みるみるふさがっていく。
そういえば、さっきの頬の傷も消えてる。
なんだこのデタラメな能力は!
戦いながら、しかし勝てる気がまったくしない。
まるで…
まるで、一番始めにいたヤマジンのようだ。
ん?
まさか、このスキュラも…?
アタシは素早くシュウドに耳打ちすると、スキュラに向けて剣を構える。
「ほう?まだ戦うつもりか」
アタシはスキュラに真っ向から剣を振る。
スキュラはいとも簡単に、当たり前のように剣をよける。
アタシは攻撃の手を緩めない。
連続して攻撃をしかける。
ずっと防戦一方だったスキュラが、アタシの一瞬の隙をついてアタシの首を掴んだ。
「そろそろ終わりだな」
アタシの身体が宙に浮く。
「がっ…はっ…」
首を掴む手に、少しづつ力が入っていく。
死ぬ…?
「終わりはテメーだ化け物」
スキュラの、アタシを掴む力が緩む。
「き、貴様!な、なにを…!!!!」
急にアタシは首を離され、尻餅をつく。
素早く間合いを取り、スキュラを見た。
頭を抑え、苦悶の表情を浮かべている。
「がぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁあ!!!!!」
一瞬、目も開けてられないような光を身体全体から放つ。
光が収まり、うっすらと目を開けると、シュウドがとても綺麗な女性をお姫様抱っこしていた。
え?
一体なにがおきたの??




