そして、鮮血へ15
人形はケラケラ笑い、またサグアに向かっていく。
サグアは牽制とばかりに炎の矢を放つ。
軽々よける人形。
フェイントだ。
人形がよけた先に一気に間合いを詰め、魔力を纏わせた拳で人形を殴り飛ばした。
壁にぶつかり、人形が床に落ちる。
終わりだ!!
すかさず炎の束を放つサグア。
人形は炎に包まれ、やがて床には焼け焦げた人形が残った。
人形は声すらあげず、ピクリとも動かない。
おかしい。
あっさり終わりすぎだ。
逃がした…のか?
何かがあの人形を操っていただけだったのか?
シュウドがイパスルに聖法をかけてもらっている。
その間に、サグアは部屋の中に入った。
部屋を見回してみる。
特別珍しい物はなさそうだが。
ん?
人形の破片の下になにかある。
サグアは破片をどかした。
サグアの目が何かを捉え、止まる。
それは、小さな肖像画だった。
少女が微笑んでいる肖像画。
これは、誰の肖像画なのだろうか。
ペンシーバニーの一族の誰かだろうが。
サグアがアタシを呼ぶ。
行ってみると、そこには可愛らしい少女の描かれた肖像画があった。
引きこまれそうな魅力を持った絵。
笑顔がまぶしい。
まだ、汚れをまったく知らない笑顔。
アソボ?
ん?
今なにか聞こえた?
横のサグアは気にした様子が無い。
気のせいか。
アタシは部屋をぐるっと見まわして絵に目を戻した。
その瞬間、ヒッと声が出る。
肖像画の少女の顔が。
あんなにまぶしい笑顔だったのが、今は目に怒りをたたえ、口をみにくく歪めている。
「…サグア…」
「?どうかしたかルンミイ?」
サグアはこの絵の変化に気づいていないようだ。
ア・ソ・ボ・?
また声がする。
アタシは無意識に後ろに後ずさった。
その瞬間だった。
肖像画の手が絵の中から伸び、アタシの腕を掴む。
アタシはその腕を振り払う間も無く絵の中に引きこまれた。
引きこまれる瞬間、サグアが異変に気づきアタシを止めようとしたが、遅かった。
絵の表面に当たった瞬間にヌルッとした感触があった以外は痛みや衝撃もなかった。
ただただ、引っ張られ動いている感触。
やがて意識が遠のいていく。
気づくと、アタシは床に倒れていた。




