そして、鮮血へ11
二階へあがると、サグアは音がした方へ歩みを進めた。
気配を殺しながら。
ゆっくりと。
そして、あるドアの前に来ると、中で何かが動く音が聞こえた。
あの二人組か?
確かに、二つ気配はするが…
サグアが中の様子を伺っていると、突然ドアが開いた。
ドアの前に立つサグアを見て二人組が虚ろな目をサグアに向ける。
死人のような、光のない目。
口をだらしなく開き、身体から力が抜けているような体勢。
おかしい。
さっきまでの二人と感じがまるで違う。
何があった?
身構える間もなく、男の一人がサグアに襲いかかって来た。
サグアの首を掴むと壁に叩きつける。
「ぐあっ!」
そのまま、壁に押し付けられるように首を絞められる。
これは…人間の力じゃない。
地面から足が浮く。
爪が皮膚に食い込む。
足で押し返そうにも人値を超えた力になす術もない。
・・・やるしかないか。
サグアは男の腕を掴む。
パァン
破裂音と共に男の右腕が吹き飛ぶ。
本体から離れてなお、首を掴む手を外して地面に投げ捨てる。
同時に足に魔力を纏わせ男の腹に押すような蹴りを放つ。
距離をとるためだ。
右腕を失った男は勢いで地面に転がったが、ゆっくり起き上がった。
痛がる素振りすら見せず、相変わらず虚ろな目でサグアを見る。
その目には怒りも恐怖も何もない。
感情が一切感じられない。
まるでただの硝子玉のよう。
右腕を失った男が再度サグアに近づき左腕を振る。
攻撃とも言えないような、ただ腕を振る動き。
サグアは身体の前で両腕をクロスしガードしようとしたが、その凄まじい力にサグアの身体は浮き、後ろに飛んだ。
どうなってるんだ…?!
サグアは素早く呪文を唱え、両掌を前に突き出す。
炎の矢が複数、右腕を失った男を捉える。
今度は失敗しない。
常にもう一人の男も意識にいれている。
もう一人の男はドアの所から一歩も動かず、二人の格闘に虚ろな目を向けている。
身体に穴を開けてもまだ動く右腕を失った男に今度はサグアから近づき、魔力を纏わせて顔面を殴る。
右腕を失った男が体勢を崩した所で頭を掴んだ。
「悪く思うなよ」
男の頭が弾け飛び、男はやっと活動を停止した。
サグアは、もう一人の男を目で探した。
いない・・・?
さっきまで、つい一瞬前までドアの所から動いていなかったのに?
ゾクッ
サグアは後ろに気配を感じて振り向く。
同時に男の拳がサグアに襲いかかった。




