そして、鮮血へ6
イパスルはシュウドに聖法を施す。
見た目はボコボコだが見た目ほどダメージは無かったらしく、シュウドはケロッとしている。
ホッと一安心。
しかし、本当にあの二人組は卑怯な奴らだ。
逆恨みもいいとこ。
まさかスキュラが人質にとられるなんて。
しかも法術封じの手枷をされていたから、魔物の姿にもなれない。
スキュラが心配だ。
早く後を追わないと。
シュウドは聖法が効いたらしく、腕を振りながら「あのおっさんら、次は手加減してやんねー」とつぶやいている。
よし、それじゃあ中に入るか。
アタシは古城の扉を開けた。
重い音をさせながらゆっくり扉が開く。
シュウドはさっと中に入ると周りの気配を伺う。
中はシーンと静まり返っていて物音一つしない。
埃臭くてジメジメしている。
入口の目の前に大きな階段があり、左右に部屋がる。
天井には立派なシャンデリアが下がっている。
が、もう長く使った形跡は無い。
スキュラを探すためには、一つずつ部屋を確認していくしかない。
まずは階段の右側の部屋のドアを開けた。
!!!!
ソファにゆったり腰かけている死体。
壁にもたれるように立つ死体。
まるで生活のワンシーンを切り抜いたように配置されている。
テーブルの上にはケーキと、横にはコーヒーカップ。
コーヒーカップからは湯気が立っている。
「なにこれ…?」
アタシは思わずつぶやく。
死体は、水分が完全に抜けたような、干からびたものだった。
異様な光景。
部屋を見渡してみたが、特に変わった所はなさそうだ。
…死体を除いて。
アタシ達は部屋を出ようと死体達に背を向けた。
カタッ
ん…?
何か音がした…?
耳をすますが、特に何も聞こえない。
気のせいか。
ガタッ
気のせいじゃない!
アタシは剣を抜く。
そして振り向くと、ヒッと声が出る。
さっきまでと死体達のポーズが違う。
横を見るとシュウドとサグアの顔も引きつっている。
イパスルにいたってはもう目をそらしている。
しばらく、死体との睨み合いが続く。
永遠にも感じられる。
「だぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
シュウドは我慢できずにソファの死体を蹴った。
死体はなんと、その蹴りを腕でガードする。
「みぃたぁなぁ?」
死体が立ち上がりながら言った。
壁にもたれていた死体もこちらに向き直る。
そして、イパスルの悲鳴が古城に響いた。




