04
「サグアさん!わ、私、聖法をかける暇もなかったですのに、どうして…?」
イパスルは喜びと驚きが入り混じった複雑な顔でサグアを見た。
確かに、あの時、敵の攻撃はサグアにヒットしていた。
サグアは倒れたし、イパスルは聖法をかけていない。
どうして無傷で立っているのか理解が出来ない。
「奇術なんて、タネをあかせばつまらんもんさ」
サグアは懐から、鍵を取り出した。
先ほどまで綺麗な球体だったそれに、今は大きな亀裂が入っている。
そして、二人の目の前で二つに割れ、音もなく崩れ去った。
「ハンターは的確に心臓を狙っていたな。しかし、これが懐に入っていたおかげで助かった。敵のアイテムで助かるなんて皮肉なもんだな」
サグアの言葉に、イパスルは心底安心したような顔をした。
しかし、問題は山積みだ。
「命は助かったが、これで壁の向こう側に行く術はなくなってしまったな」
「この間、ルンミイさん達は帰ってきませんでした。やはり向こうでも何かあったんじゃないでしょうか?」
「考えられるな。先に進めば二人と合流できる可能性もある。先に進んでみるか」
二人はうなずき合うと、先へと歩を進めた。
「ジェネラルホーク様、侵入者は二手に別れたようです」
「ほう…。侵入者は四人だったか?何人ここまでたどり着けるかみものだな」
ジェネラルホークと呼ばれた男の尊大な笑い声が響いた。
アタシとシュウドは、気持ちが暗くならないように、不安に押しつぶされないように、務めて明るい話題を口にしながら先に進んだ。
何個目かの階段を下ると、そこは広間の様になっていて、踝くらいまで水が溜まっている。
なんか不思議な感じだ。
と、バシャバシャと音をたてながら三匹のゴブリンがこちらに向かってきた!
「いきなりかよ!!」
シュウドは水を蹴り上げて牽制すると、手近なゴブリンに回し蹴りを放つ。
蹴りは的確に喉のあたりをとらえ、ゴブリンはグエッと蛙のような声を出して倒れる。
残りの二匹はシュウドを避け、アタシの方に一直線。
左右から挟むように向かってくる。
アタシなら勝てるってか?
舐められたものね!
アタシは剣を抜くと右から来たゴブリンとの間合いを詰めて切り捨てる。
もう一匹の方に向くと、既にシュウドが仕留めた後だった。
「さすがに、ゴブリン程度では足止めにもならないか」
いきなり、声がする。
底抜けに綺麗だが、感情が感じられない表情。
底抜けに綺麗だが、感情が感じられない声。
そこには、いつの間にか一人の女性が立っていた。




