そして、鮮血へ5
翌朝。
あの古城までにはそんなに危険な道もなく行けると教えてもらった。
道中、大した魔物も出ないとの事だ。
まして今は朝。
魔物の多くは夜行性なので、この時間なら苦もなく古城まで行けそうだ。
宿屋の主人は、何度もアタシ達が行くのを止めようとした。
恩人が死ぬのは目覚めが悪いと。
でもアタシ達だって死ぬ気はさらさら無いし、修羅場だってくぐっている。
そんな話をすると、主人が奥から箱を持ってきた。
箱の中を見ると、木製の杭が入っている。
「これは…?」
「これは、魔界樹の樹で作られた杭に特別な魔法を施したものです。ペンシーバニー王の伝説を聞いて、ペンシーバニー王はもしや吸血鬼になったのではと当たりをつけた人がいました。その人物は志半ばで病に倒れましたが、死ぬ間際にこれを自分に託されました。これは、不死身の吸血鬼に唯一対抗できるアイテムです。吸血鬼の心臓に刺せば、吸血鬼は再生できず朽ち果てるでしょう。ペンシーバニー王=吸血鬼説は誰も信じてくれませんでしたから、ずっと自分の手元にあったんですが、もしかしたら何かの役にたつかもしれません。持って行ってください」
アタシ達は有難くそれをもらうと、古城に向けて出発した。
街から古城のある丘まではすぐだったし、何もトラブルはなかった。
呆気ないくらい簡単に古城まで辿り着く。
アタシは古城の雰囲気に圧倒される。
確かに、何かありそうな雰囲気だし、これは夜に来るのはゴメンだ。
なんか白骨化した遺体が落ちてるし…嫌すぎる。
と、いきなり後ろで悲鳴がした。
振り向くと昨日の二人組がスキュラを羽交い締めにしていた。
見ると、スキュラは法術封じの手枷をされている。
やられた…!!
隙をつかれて、人質を取られてしまった。
二人組は不適に笑っている。
「なんのつもりだ?おっさんら」
シュウドが二人組を睨む。
「昨日はよくも恥をかかせてくれたな!」
二人組の一人がシュウドに近づいた。
シュウドは威嚇するように蹴りをワザと空振りする。
「お前、人質取られてるの忘れるなよ?」
羽交い締めにされてるスキュラがウッと小さく声を漏らす。
それを聞いてチッと舌打ちすると、シュウドは体の力を抜いた。
「へっ!」
男は鼻で笑うとシュウドを殴り倒した。
受け身はとったが、モロに殴られる。
その後は、もうサンドバッグ状態。
二人の男が交互にシュウドに攻撃をする。
アタシ達が少しでも動こうものなら、スキュラが締め上げられる。
お手上げ。
何もできず、シュウドがやられるのを見ているしかなかった。
どれくらい時間がたったか。
助けたい。
助けられない。
もどかしさで永遠にも感じた。
二人組は肩で息をしながらシュウドを見おろす。
二人組の足元で、シュウドは土と血で汚れ、顔を腫らし、いたるところにアザをつくり、倒れている。
それを見て満足したように笑うと、
「お前ら動くなよ!」
二人組はスキュラを羽交い締めにしたまま、古城の中に消えて行った。




