そして、鮮血へ1
小高い丘に、古城がそびえたつ。
壁には蔦がはいまわり、所々が朽ちている。
きっと元はとても美しい城だったのだろう。
そんな過去を思わせるシルエット。
しかし今では見る者に『不気味』という感想しか抱かせない。
城の中を流れる、強い邪気。
魔力。
荒れ放題の部屋。
カーテンは裂け、無残にぶら下がっている。
割れている窓も多いし、かつてはパーティーなどをおこなったのであろう部屋のシャンデリアは落ち、床で散乱していた。
ジャリ
足元で音がする。
ガラスか何かでも踏んだのか。
気にしない。
沢山ある部屋を一つずつ確かめていく。
これだけの古城だ。
きっと宝物があるに違いない。
男は古城の中を歩き回る。
近くの村の老人は、この城には近づくなと言っていた。
呪われた城だから、と。
あの城に行き、帰らぬ者は数しれず、と。
そんな言葉は信じない。
何かを隠すための嘘。
今までトレージャーハンターをしてきて、そんなパターンはいくつも見てきた。
男のトレージャーハンターとしての感が告げた。
ここには何かある。
城の地下には牢があった。
繋がれたまま朽ちた白骨もみられ、流石の男もブルッと身震いをする。
その地下牢の最奥に、奇妙なものがあった。
棺桶
しかも蓋が開いている。
なかを覗くと、特に何もないようだ。
しかし、人型に窪みがあるのを見ると、確かにこの中に入っていた身体はあるのだろう。
どこにいったのか?
誰かが動かしたのか?
後ろで気配がする。
男は振り返りかけたが、それは叶わなかった。
首筋に刺すような痛み。
抵抗しようにも、凄い力でおさえられている。
だんだん力が抜ける。
意識が、遠のく。
干からびた男の死体から、己の牙を離した。
同時に手も離すと、干からびた男の死体は床に倒れバラバラになった。
銀髪、碧眼の美男。
均整のとれた身体。
黒一色の服装。
口元に垂れた血を拭う。
勝手に我が城に入るなど、命知らずな奴だ。
しかし、男の血は不味い。
美男は伸びをするような仕草をすると、棺桶に横たわった。
もうすぐ夜が明ける。
日光は大敵だ。
自ら棺桶の蓋を閉めると、後には物音ひとつしない静寂が支配した。




