悪霊の鏡16
長い長い夢を見た。
まだ子供の頃の夢。
この世に、悪なんてものがあるのが信じられなかった。
少し大きくなった。
あの夏の日。
仲の良かった友達と川で遊んでいた。
田舎だったから何もなかったけど、自然だけは沢山あった故郷の村。
「ルンミイちゃん!」
振り向くと、女の子が立っている。
そう、一番のお友達。
その子の目から、涙が流れる。
「どうしたの?」
アタシが問いかけても、何も答えてくれない。
やがて、透明だった涙が赤く染まる。
「ルンミイちゃん…」
その子の身体が、まるで早送りのように朽ちていく。
「どうして?!何でなの?!」
アタシはその子を抱きしめようとした。
フッとその子の姿が消える。
あたりを見回すと、そこには地獄のような景色が広がっていた。
魔物が暴れまわり、村は壊滅していた。
あたりが赤い。
それは、燃えさかる家屋の色。
そして、血の色。
老若男女、人間も動物達も、息絶えて地面に転がっている。
アタシは膝が震えて動けなかった。
突然、後ろから声がする。
「ルンミイ…逃げろ…」
お父さん!?
声が出ない。
「ルンミイ…」
スーッと体が浮く感覚。
「…さん」
グルグルと周辺の景色が回る。
「ルンミイさん!」
耳にイパスルの声が飛び込んできた。
アタシが目を開けると、周りにはイパスル、スキュラ、少し離れた壁際にシュウドとサグアが見えた。
ここは…?
ずいぶんと豪華なベッドだ。
「おめー、少しダイエットしろ。重かったぞ?運ぶの」
ニヤニヤ笑いながらシュウドが言う。
な、なんて失礼な奴…!
「ルンミイさん、心配しましたよ…」
スキュラが心底安心した声で言った。
あれから、三日三晩、アタシは眠りっぱなしだったらしい。
その間に、ローマン王は無事、城に戻られたそうだ。
その三日の間、ローマン王は都の中を走り回ったらしい。
魔物に乗っ取られた不甲斐なさを謝罪して回ったそうだ。
やはり、ローマン王は優しい方だ。
ガチャッ
事の経過を聞いていると、ドアが開いた。
そこには、心配そうな顔をしたローマン王が立っていた。




