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F!くえすとっ!  作者: あひる亭桃羽
ニシノ村の秘宝
3/55

03

壁を抜けると、目の前に悲惨な光景が広がっていた。

地面には、無数の白骨死体が折り重なっていた。

その中で二匹のゴブリンが、地面に転がる人間のものと思わしき白骨死体から骨を拾い、自身の口に入れている。

まるで、綺麗に味わい尽くすかの如く。

横にはまだ人相がわかりそうな死体も横たわっている。


まだ、子供のようだ。

まだ、年端もいかない子供のようだ。


アタシはカッと頭に血がのぼり、持っていた玉を投げつけた。

ゴブリンの頭を変形させて砕け散る玉。

一匹はそれで倒れ、もう一匹がアタシを見た。

口からだらしなくヨダレを垂らしながら、ゴブリンがアタシに近づいてくる。

アタシは無言で剣を抜いた。

「シャァァァアァァアァァァァ!!!!」

飛びかかってくるゴブリンを避けもせず、剣を前に突き出す。

頭を串刺し。

きっと、今のアタシは悪鬼も裸足で逃げ出すような顔をしているだろうな。

まだピクピク動いているゴブリンを地面に叩きつけると、その頭を踏み抜いた。

怒りが、止まらない。

アタシにそんな力があれば、今なら視線だけでモンスターを殺せるかもしれない。

さらに剣を突き刺そうとした時、後ろから腕を掴まれた。

「荒れてるじゃねーか」

シュウドだ。

アタシはその声を聞いて、冷静さを取り戻す。

剣についたゴブリンの血を振り払うと、鞘に戻した。

事の顛末を話すと、シュウドも嫌な顔をする。

「そりゃ、しょうがねぇな。俺だってきっと同じ行動を取った。しかし、鍵が無くなっちまったって事は、サグア達と合流するための道を探さなきゃだな」

バカだなんだと罵られると思いきや、珍しく優しい。

まぁ、それくらいシュウドも嫌な気持ちになったってことか。

先に続く道はあるので、どこかで道がつながっているかもしれない。

とにかく、鍵がない今のアタシにはこの壁は抜けられない。

「サグア達に事情を説明してまた戻ってくる。ここを動くなよ?」

シュウドは壁に消えた。

と、思ったらすぐに戻ってきた。

「早かったね?」

「奴らがいねぇんだ」

慌てて先を急いだのか?

いや、サグアとイパスルのしっかり者コンビだ。

そんな迂闊な事をするとは思えない。

何かあったのか…?

「こうなったら仕方がねぇ。先に進んでみようぜ」

アタシとシュウドは、釈然としない気持ちのまま先に進む事にした。




一方、サグアとイパスル。

「どうしたものかな」

鍵は一つしかない。

手をつなぎながらとかなら二人で一つの鍵で済むかと考えたが、そうはいかないらしい。

向こうの様子がまったくわからない上、どちらか一人がこの場に残るのはリスキーすぎる。

「でも、シュウドさんが向こうに行きましたから。滅多な事はありませんよ」

イパスルが、わざとらしい明るい声で言った。

「そうだな」

確かに、戦力的には問題ない。

あとは、どうやって合流するか。

むろん奴らは鍵を持っているのだから、何もなければ帰ってくるだろう。

やっぱり、ここで待つのが得策か。

サグアは鍵を懐に入れ、辺りを見回した。

ケイコウゴケの薄明かり。


その薄暗い先で、何かが動いた気がした。


「イパスル!」

サグアは咄嗟にイパスルを背にかばう。

その瞬間、サグアの胸に何かが刺さった。

ドッという擬音が、聞こえた気がした。

魔力で出来た矢のようだ。

壁にもたれかかりながら、ズルズルと倒れるサグア。

「サグアさん!」

聖法をかけようとしたが、敵からの第二撃が放たれたため、それを避ける。

薄明かりの先から現れたのはハンターだった。


ハンターはゴブリンなどと同じ二足歩行の人型のモンスター。

微力ながら魔法が使え、知恵もまわる。

物陰などから獲物を仕留めるため、ハンターと名がついた。


ハンターはまっすぐにイパスルに近づいてくる。

真っ向から戦っても勝てると判断したのだろう。

イパスルは腰に装備していたナイフを抜いた。

聖法士は肉弾戦は不得手だ。

でも、やるしかない!

ハンターもその手には短剣を握っている。

ふと、ハンターがニヤリと笑った気がした。

くる!

イパスルが身構えると同時に、ハンターの剣撃が襲う。

受けるだけで精一杯で反撃する暇もない。

あっという間に隅に追いやられる。

ナイフで短剣を受けているが、明らかに力負けしている。

ま、負ける…!!!!


その時、ハンターの頭が弾け飛び、頭をなくした身体は膝から地面に倒れた。

「!!!!」

イパスルは声も出ない。

さっき倒れたサグアが立っていた。


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