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一人百物語 2

笑い声

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/20


弟の友人の早川君の話。

早川君は風呂から上がろうと、浴室のドアノブに手をかけた。

するとドアの向こうで誰かがノブを回しているように、早川君の手の中でノブがひとりでにガチャガチャと動き、

「ははははは!」

と若い男の声がした。

早川君はワンルームマンションに一人暮らしである。

びっくりしてノブから手を離した。

浴室のドアはサッシ枠に曇りガラスがはめ込まれている作りだが、曇りガラスの向こうに人影は無かった。

早川君がもう一度ノブに手をかけようとすると、またもノブはひとりでに、ガチャガチャとより大きな音をたてて回り

「ひゃーっはっはっはっ!」

とはやしたてる様な笑い声がして、同時にガツンガツンと二度、拳で殴られた様な音とともにドアが揺れた。

暑いくらいに温まっていた身体に、ゾッと鳥肌が立った。

しばらくして恐る恐る浴室から顔を出すと、やはり誰もいなかった。


部屋の窓もドアも、ちゃんと施錠されたままだった。





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