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キラキラどろぼう

作者: 吉高 都司
掲載日:2025/12/14

 世の中のあらゆるキラキラが盗まれた。


 水面に光るキラキラ、

 宝石のキラキラ、

 お月様のキラキラ、

 お星さまのキラキラ、

 あの子の瞳のキラキラ、

 鏡の中のキラキラ、


 世の中のキラキラが無くなったので、

 真っ黒な水面におさかなさんは、水の中が暗くなって困ってしまいました。



 私は、世の中のありとあらゆるキラキラを盗んでいる。

 例えば、君のお母さんのネックレスのキラキラ。

 たとえば、朝、目覚めた時の朝日のキラキラ。

 たとえば、歯を磨くとき蛇口から出る水のキラキラ。

 例えば、学校で友達と会って、お話しした時友達の笑顔のキラキラ。


 なぜ泥棒になったか?だって?

 ある日、私が町を散歩していたら。

 女の子が、泣いていた。

 どうしたの?

 と、聞くと、キラキラを失くしたと言うではないか。

 そこで私は、一緒に探すことにした。

 ありとあらゆるところを、探し回った。

 でも全く見つからなかった。

 そうだ、私のキラキラを差し出すと笑顔が戻った。


 その時こう思った。


 それこそ、私が探し求めていたキラキラ。

 私は、その時の彼女の笑顔を見れるなら、何をしてもいいと。

 だから、この世界中のキラキラを集めて、彼女に本当のキラキラを私に向けて欲しいと思った。


 ただそれだけ。


 私には、これまでいっぱい、いっぱいお金や、車や、高級品や土地や、建物や、おおよそ手に入らないものは無かった。


 ただ、唯一手に入らなかったもの。

 それは本当のキラキラ。


 そのキラキラを見つけた時の、私の喜びようと言ったら、本当に手に入れたものすべてを投げうってでも、それを手に入れたかった。


 彼女のキラキラさえあれば、私は何も要らない。



 それから、全ての財産をつぎ込んで、世の中のキラキラを搔き集めた。


 いっぱい集めて、彼女に見せるんだ。

 全然足りない、彼女はもっともっと欲しいはずだ、私が全世界のキラキラを集めてやる。


 と。


 でも財産は無くなり、キラキラを手に入れる方法は無くなった。

 そこで、盗むことにした。

 盗んで、彼女のキラキラな笑顔を見る為。

 ありとあらゆるキラキラを盗んでは。

 持って帰った。


 人々はいいました。

 海辺での、魚の鱗のキラキラを盗んでは、魚はキラキラが無いと泳げません。

 キラキラが無くなって困っている人が居るよ。

 僕のお母さんのキラキラも無くなって困っているよ。

 車や、飛行機や、キラキラ光る信号が無ければ、動かす事も出来ない。


 でも。

 返す訳にはいかない、私はあの子の笑顔が見たいのだから。



 いっぱいいっぱいあつめたぞ。

 気に入ったかい、もうこれで、あなたを悲しませるものは無い。

 君の周りはキラキラで埋め尽くしたからな。


 彼女の周りには泥棒が勝手に置いていったキラキラが溢れていました。

 でも、ちっともうれしくありません。



 彼女の笑顔が消えて行きました。


 彼女はちっともうれしくはありませんでした、何故な友達の笑顔のキラキラや、

 愛犬ポチのお散歩する時の嬉しそうなキラキラも無くなったのです。

 パパの大きな笑顔のキラキラ。

 ママの微笑みのキラキラも無くなったからです。


 パパやママのキラキラが無くなった事で、明日の希望が無くなってしまったからです。

 学校のみんなや。

 お友達からもいつも遊んでいるあの子。

 みんなの笑顔のキラキラも盗られてしまったからです。



 キラキラ泥棒は、彼女の笑顔が消えていくのがとても悲しくなりました。

 キラキラが無くなった事で、世の中が真っ暗になったからです。


 悲しみの涙で悲しいキラキラが流れていました。


 彼女は、泥棒に言いました。

 ここにあるキラキラはいらない。

 みんなの持っているキラキラが、本物のキラキラ。

 それを見て、私も笑顔になるからキラキラなのです。


 あなたが集めた、他人のキラキラを盗んだキラキラなんか、キラキラじゃない。

 返してきてください、でなければ二度と来ないでください。


 泥棒はいいました。

 ぼくはあなたの為に集めてきたのに。


 彼女はいいました。

 いいえ、それはあなた、自分自身のためだと気づかないのですか。


 それを聞いてどろぼうは泣きました、オイオイと。

 そして、一つ一つ拾い上げキラキラの持ち主に返し出しました。


 そうすると、世界中のみんなはキラキラを取り戻し元の生活に戻りました。


 泥棒は寂しくなりました、せっかく彼女の為に集めたキラキラで、彼女に嫌われたのではないか、と。


 全てのキラキラを返し終わり彼女の元に行くと

 またねと言ってくれました。

 彼女の笑顔はキラキラしていました。

 そのキラキラを見た日から。


 泥棒はその日から泥棒で無くなりました。


 キラキラを作る人になろうと思ったのです。

 そう決心し、彼女にバイバイと言って別れました。

 その帰り道、泥棒の、いえ、もう泥棒ではありません、彼の心にキラキラが溢れていました。


 今度彼女に会う時は両手いっぱいの自分で作ったキラキラを抱えて会いに行こう、と。


 そう心に誓ったキラキラが、彼の胸に溢れていました。 了


前回に続き、今回も童話を綴ってみました。拙作に目を通していただき、誠にありがとうございます。それだけで大変ありがたい事と思っております。

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