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肝試し?




 その後、ゲームセンターではしゃぐ秋葉先輩にときめきかけたので心臓を止めたり、ペットショップにいる犬や猫を見てふにゃふにゃな笑顔を浮かべる秋葉先輩にときめきかけたので心臓を止めたり、展示されているメガネをかけた知的な秋葉先輩のギャップにときめきかけたので心臓を止めたりと、平和で楽しい時間を過ごしてから帰宅した。


 机の上に買ってきたばかりの参考書を置くと、急に月曜日が期末なんだぞという現実感が押し寄せてくる。期末前の土曜日に何をしてたんだ俺は。秋葉先輩も止めてくれよ。

 そんなことを思っていると、携帯が震えメールが来たことを知らせてくれる。見ると、秋葉先輩の名前が表示されていた。先ほど帰る前に連絡先を交換したのだ。


『今日は色々つき合わせちゃってごめんね! もうすぐ期末なのに、楽しすぎてつい遊びすぎちゃった。勉強でわからないところとかがあれば、何でも教えるから、一緒に頑張ろうね!』



 天使か? 


 何か徳がありそうなので送られてきたメールを拝んでおく。なぜかわからんが期末大丈夫な気がしてきたぞ。

 とりあえずこちらこそ今日はありがとうございます的な社交辞令の返信をしてから参考書を開いた。なるほど、秋葉先輩のおすすめなだけあって、何一つ理解できないぞ。


 ぱらぱらと数ページ捲り、本を閉じる。これ以上勉強したら頭が悪くなりそうだからもうやらない。

 椅子の背もたれにぐっと凭れかかる。視界の端に涼夏の部屋が見える窓がある。


 憧れか、愛か。口の中で転がしたその言葉の答えは、未だに持ち合わせていない。

 ただ一つわかったことがある。


 俺のこの感情が憧れか愛かのどっちかであったにせよ、俺が涼夏を好きなのは間違いないのだ。名称が少し変わるだけで、俺は変わらない。

 この感情が何であったにせよ、俺が思うことは一つだけ。


 もっと涼夏を見ていたい、そしてあわよくば涼夏と仲良くなりたい。これだけである。


 アニメに出てくるツンデレを鑑賞してるみたいだなと、自分でそんなことを考えて少し笑ってしまった。

 再び携帯が震える。見ると、知己からのメールだった。


『智が期末終わったら探索するか! だってさ。どうする?』


 こいつらはまだ学校に忍び込む気でいるのか。この前断っただろ。

 適当に返信をしておく。

『お前らとは違って忙しいんだわ』


 すぐに返信が返ってきた。

『まだ生徒会の手伝いしなきゃならないの?』


 まあまあ痛い質問をしてくれる。こんなに長く生徒会の手伝いをするとは知己たちも想像していなかっただろうからな。

 どう返信しようかと迷っていると、智からメールが来た。


『生徒会長になんとか頼み込んで夜忍び込もうぜ』


 多分知己から話を聞いてこのメールを送ったんだろうが、こいつは救いようのない馬鹿だな。どうやったら秋葉先輩に「すみません、夜中の学校に忍び込んで肝試ししていいですか?」でOKが出ると思ってんだよ。

 そう返信するが、智の自信は衰えず、『俺が送る文章を生徒会長に遅れ』という旨のメールが届き、その後にかなりの長文が送られてきた。


 読んでみるが、これがまあ酷い屁理屈である。

 生徒会に人が入らないのは生徒からの信頼が足りないからだの、信頼を得るために何かしらの功績を作らなければならないだの、そのために今校内ですごく問題になっている幽霊をどうにかするべきだだの、まあ好き放題言ってくれている。本当に幽霊が出てきたらどうやって俺たちで解決するというのか。いや、まあ幽霊なんてこの世にいないんですけどね。

 これを秋葉先輩に送れと言われても、送ったら俺が嫌われそうだ。


 まあしょうがない。俺は「俺の友人がこんなバカなこと言ってるんですけど」と前置きを入れつつ、智から送られてきた文章を秋葉先輩に送った。

 ま、どうせ断られるだろ。



 数分後、メールが返ってくる。



『いいよ!』



 いいんかい。


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