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第八話

 ‘’サーラさん、大丈夫ですか?‘’


 遠いところから、声が聞こえる。瞼の奥から、かすかに光が感じられる。


 私は、どこにいるんだっけ?


 そう、ダリアン王子に監禁されて、ウイルスを注入されたと聞いた。


 確かに、全身が重くだるく、熱かった。


 ‘’サーラさん!しっかりしてください!目を覚まして!‘’


 私を呼びかけて、揺り動かす人がいる。


 ダリアン王子?思い直して、戻って来てくれたの、、?


「サーラさん、良かった!意識が回復した!」


 目を開けると、心配そうに見る、アニサスとリーキの顔が二重に映って見えた。


 アニサスは、嬉し涙を浮かべ、私に抱きついた。


「ああ、間に合って良かった!研究室にも部屋にもどこにもいないから、もしかしたらと思って」


「私は、牢にいたはず?ここは?」


 私は、熱い体を無理矢理起こし、辺りを見渡した。意識を失ったときと、同じ場所にいる。


「あなたたち、ここによく入り込めたわね。鍵はどうしたの?」


 頭がガンガンとドラムが鳴り響くような音で打ち鳴らさせれているようだった。頭がうまく働かない。


「サーラさん、驚かないでください。私もビックリしたんだけど、アニサスさんは、魔法を使えるんです」


 リーキは、腰をくねらせながら、目を輝かせて話す。


「?魔法?」


 私は、予想もしなかった言語に、文字通り、目を丸くした。


 魔法なんて、お話を世界のものではないの?非科学的だわ。。。


「黙っていて、ごめんなさい。私は、今の研究の前は、もともと古来の魔術の研究をしていたのです。でも、食べていけなくて、今回のワクチン開発の助手に申し出たんです」


 アニサスは、申し訳なさそうな目をして、私の手を握った。


「私が使える魔法は、様々な薬草を作ること、あと、鍵を開ける魔法も使えます。今回は、薬草を煎って、門番に嗅がせ、眠らせてから、牢の鍵を開けて忍び込みました」


 アニサスは、私の手を強く握りしめ、


「とにかく、間に合って良かったです。今回のチーストウイルスは、バースト科の豚の細胞と、サーラさんから教えられ、簡単な飲み薬を薬草から作ることができました。ウイルスを殺すことまではできませんが、一時的に弱らせ、解熱剤としての効果が期待できます」


 そう言って、薬草で作られたと思われる、瓶に入った液体を取り出して見せた。


「サーラさん、いきなりでビックリだと思うけど、大丈夫!私もビックリしたから、アニサスさんを信じて、お薬を飲んでください!!」


 リーキは、意味のよくわからない説得を熱く語る。


 私は、リーキの熱さに押され、アニサスが持っている瓶を受け取った。


 漢方薬の一種だろうか?


 科学では説明できない、相反する魔法か。でも、今は選んでいる余地はない。


 私は、薬を一気に飲み干した。苦く熱い液体が喉を通っていく。


「良かった。即効性が期待できます。熱が引いたら、ここをでましょう」


 アニサスは、ほっと安堵して、潤んだ目で私を見る。嘘を言っている目ではなかった。


 10分程すると、体から熱が引き、軽くなってくるのがわかった。


「大丈夫、熱が引いてる」


 リーキが私の額に手をあてて言った。


「行きましょう!サーラさん、歩けますか?」


 私は、体が思うように動くのがわかった。


「大丈夫そう。薬が効いてるんだわ」


 そう言いながら、立ち上がった。大丈夫だ、走ることもできそうだ。


 この薬の効果は、本物だわ!


 リーキが手を貸してくれたが、大丈夫そうだった。私が笑って断ると、私の笑顔に安心した2人は、力強く頷き、牢からの脱出に向かって小走りに駆け始めた。


読んで頂き、ありがとうございました(^^)

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