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シスコン姉妹の異世界生活  作者: キリコ
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領城へ


「で? どうするつもりだったんだ? 既に静まったみたいだが」

「どうと言うか、拡声できる魔法とかを使って、ただ誠意を持ってご挨拶したらどうかと思っただけで・・・」

「ははっ!」

「な、なぜ笑うのお兄様! ひどいわ」

「すまない。相変わらず真面目だなと思っただけだよ。機嫌をなおして」


 拗ねた顔かわい。頬にキスしちゃお。はー早速役得だね! ちょっと赤くなって睨まれたけど怖くないよごめんね! むしろかわいい!


「番ならこれくらい当然だよね?」


 からかい半分、耳元でこそっと囁く。妹はハッとした後、数度瞬きをし、やけに神妙に頷いた。あれ? なんだ? 何か分からないけれど嫌な予感、というか、何か失敗した気がする。今、何かを間違った。


 何? 何だろう? 私は何を失敗した? 自分でも分からない謎の焦りに、先程までの高揚感は吹き飛んだ。


 妹を見るも頬の赤みは消え、仮面の様に微笑んでいる。何だこれ? 私は何をしてしまったんだ? 



「二人とも、お待たせしてしてしまってごめんなさい。皆さんにご挨拶でもと思ったのだけれど、落ち着かれたみたいね。もう入れるのかしら?」

「は、はい。門は開きましたのでいつでも入れます」

「それなら行きましょうか。貴方方も疲れているでしょう? お兄様、お城まで運んであげては如何かしら」


 私が一人焦っている間に話が進んでいる。いや、聞いてはいたけれどそれどころでは無かったと言うか。まだ解決してないんだけど、妹のお願いを聞き逃すわけにはいかない。


「そうだな。お前がそう言うなら城まで運んでやろう。壊れた車もあるしな。誰か先導しろ」

「畏まりました」

「お心遣いありがとうございます!」


 二人は背後へアイコンタクトをとり、数人と一緒に紅玉のが、西洋のドラゴンと馬の間の子の様な動物にサッと跨る。先導は紅玉の方がするのか。私の雲から降り、数歩進む。


「赤のフィリッポス様と白のエウメネス様のご帰還である! 道を空けよ!」


 部下の一人が声を上げると、人が犇めいていた門の向こうがさっとひらけた。なんだこれ。この子達の次期族長の肩書きってそんな権力あんの?


 部族?も幾つかある風だったし、子供と家臣だけで出掛けさせるくらいだから、そこまでとは思ってなかったな。だから何って事は無いんだけどさ。


 と言うかそんな事よりみーちゃんだ。さっき何か分からないけど、私は確実に何かをしくじった。人の機微には疎くは無いはずなのに、分からない。何故。


「では参りましょう。宜しいですか?」



 番だと匂わせるのがそんなに嫌だったのか? でもそれは違うと本人が申告してくれたよな? あの時に嘘は無かったと感じたし。くそ、なんだよ。


「・・・兄様、もう、お兄様!」

「お。な、何だい」

「何だいって、この子が行きましょうって言ってるのに、聞いてなかったわね?」

「ああ、すまない。行こうか」


 紅玉の方へ視線をやると、頷き門へ進み出した。私待ちだったらしい。ごめんよ。





 考え事は一旦横に置いて、こちらも雲を一般男性の頭上くらいまで浮かせ、後をついていく。門を通る時に結界の何かを感じるかと思ったが、特にこれと言ったものは兆しはなかった。門の下だけ結界が遮断されているのだろうか。


 門へを潜ると縦横にかなり余裕のある、かなり広い通路が続いていた。見えていたのは広場ではなく通路だったらしい。両壁際には人々が犇めいているが、異様に静かだ。跪いている人も居て少し驚いた。余計な魔力漏らしてないよな?



 上から見ていた時は分からなかったが、通路の長さを鑑みるに、城壁は中々の厚さがあるらしい。通路には、人々を背に庇う感じで兵士が等間隔で立っている。想像していたより厳重だ。それとも私達がそれ程警戒されているだけか? ・・・違うな。これ、人々が私達に突っ込んでこない様にしているのか。


 常歩程の速度で進んでいるため暇なので、マップを開く。と、思ったよりMPが吸われた。他人の結界内だからだろうか? 広さはそこそこと言ったところか。当然だが森よりは断然小さい。とは言ってもそれなりの規模の市町村程度はあるだろう。一つの国家に近い形態かもと推測していたが其れには小さいくらいだが。


 このコロニーはほとんど正円形らしい。マップで道は分かれど建物の目的は一切分からない。当たり前だけれど。


 それでも子供達が領城と言っていた所の推測はついた。おそらくこの円の中心のここだ。何故ならそこに、こちらにきてから初めて見るオレンジ色の点が居るからだ。これがきっと領主様とやらではないか?





 ぼーっと考えていると、突然周囲がザワつくのを感じた。サッと目を巡らせると、民衆が高揚したように手を振っている。何だこれ。パレードかよ。かと言って紅玉のと翡翠のが何かしているでもない。凱旋パレードみたいな解釈でいいのか?


 妹に問いかけようと目をやると、私の腕の中にちょこんと収まったまま扇から目元だけ覗かせ、お偉方よろしく手を小さく振っていた。お前か!


「何故手を?」

「あ、あの、小さな子が手を振ってくれたのが見えたの。元気いっぱいで可愛らくして、つい振り返してしまったのよ。そうしたら、他の皆さんが・・・」


 他の人々も便乗して手を振り始めた為、やめられなくなったと言うところか。 


 困った様に眉を下げ、恥ずかしがりつつも、何処となく嬉しそう。そう言う事ならかまわない。ここの民に拒絶されず、初めての事に戸惑いつつも喜んでいるのが分かる。良かった。こういった事もこの子に必要な事かも知れない。もしかしたら自尊心の回復に一役かってくれるのではないか? 



 そう思うと、この子を不審に思わずに笑顔で手を振ってくれている人々へ、少し好感をもった。ここの人々がこの子を愛してくれるなら、定期的に戻って来ても良いかもしれない。


 視線を前方に戻そうとして、翡翠の子が妹と民を交互に見て羨ましそうにしているのを目の端に捉えてしまった。もしかしてお前ものみーちゃんのファンサ欲しいの? 子供なのに我慢して偉いなお前。・・・よし、私も欲しいし、私達も後でしてもらおうな。


 静かに決意している間に、そろそろ通路が終わりそうだ。先に少しひらけた半円形の広場が見えて来た。とは言っても、私達が通るためのものか十メートル程の道幅を空けて、ここも両脇に人が犇めいている。また彼ら警察(仮)の方々が頑張ってくれているようだ。お手数おかけしますね。


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