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シスコン姉妹の異世界生活  作者: キリコ
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雄牛のアルくん




 姉が青っぽいアイコンをタッチすると、新しくウィンドウが開かれた。


 トップにデカデカと宝物庫、と文字が青地に白抜きで表示されている。フォントがどれとは言わないけれど全てがダサい。…


 唖然としていると、姉の指が画面を下へスクロールしていく。どうやらネットショップのサイトを模した作りらしい。左に写真があり右に商品名や説明文と必要ポイント?が記載されているようだ。


「なぁに?これ。お姉ちゃんのスキル?」

「これね、みーちゃんが幸せになるとポイントが貯まってココでお買い物出来るようになってて。昨日少し見たんだけど。日本の商品も買えるよ。凄くない?まぁ、こちらの世界の物らしきものより格段にお高いんですけども。やっぱ異世界だからかな」

「へ??日本の?どうやって持って・・・、あ、もしかして魔力で再現してるとかなのかな?なんかお姉ちゃん思ったもの出せる魔法あったよね?見た時神様みたいと思ったの思い出した」

 

 能力値とやらが強化されれば、お姉ちゃんも遜色無い物が作れちゃうんじゃないかな?スキル頼りとは言え、既に作ってる物がやばいし。


「あー、あったね。あてにしてなくて忘れてた。能力値による制限ってどの程度の物なんだろうね。行きつけのスイーツショップのケーキとか出せるのかな。要検証だね」

「えっ、・・・それ、今からするの?」

「ああ、いやしないよ。おやつの時間とかに試そうか。今やり始めたら出発するの明日になりそうだしね。まだ午前とは言え」

「そうだね!」


 申し訳ないけれど、ホッとした。今日行かなければまた延び延びになりそうな気がして。


「それでさ、このスキル初日に見つけたけど確認するの忘れてて、昨日の夜中思い出して確認してたら日本の物見つけてテンション上がってみーちゃんを起こしかけたんだよね。我ながらよく思いとどまった」

「そうだったんだ?別に起こしてくれていいんだよ?まぁでも気を遣ってくれてありがと」

「ふふ、うん。まぁ子供に睡眠は大事だからね。そう言う事だから、みーちゃんの為のショップだから何でも買っていいんだよ。何か欲しい物無い?オヤツ買い溜めしてみーちゃんのアイテムボックスにしまっておくっていうのもアリだよ」

「私?そんな急に言われても、えぇー、特に無いかなぁ。思い付かない・・・、だって今のところお姉ちゃんが何でも出してくれるし・・・、先回りして用意してくれるじゃない。何か欲しいって思う暇もないって言うか」

「なら後でおやつとか買ってみようか。コンビニスイーツ的なのとか。ちょこちょこ買ってるうちに欲しい物出てくるかも知れないしね」

「う、うん。何か分からないけど、お姉ちゃんも好きな物買ってね?」

「ありがと。まぁ既に早速買った訳なんだけども」

「そうなんだ」

「いや、もうちょっと食いついて!興味持って!」

「えっ、あ、うん、聞いていいなら聞くけど、えーと、何買ったの?」

「よくぞ聞いてくれました!じゃーん、これだよ!」


 言わされた感が否めないながらも質問すると、姉は手のひらサイズの白い箱を手の上に出した。見ろと言わんばかりに眼前へ差し出される。


「この箱は家を持ち運べる魔法のアイテムなのです!」

「へ??家をもちはこぶ???」

「あれ、お姉ちゃんのスキル一通り見たんじゃなかった?スキルの最後のあたりにあったでしょう、格納、って言う名前だったんだけど」

「あれ、そうだっけ?あの時の事ちょっと所々朧げな感じになってて。そっか、スキルなんだね。もう何でもありなんだなー」

「みーちゃんが遠い目になっちゃった」

「・・・ごめん、つい。と言うかそれだと、このお家持って行くって事?もしかしてここへはもう戻って来ないの・・・?」

「まさか!家は持って行くけど、ここへは定期的に帰って来るよ。アカシア様に経過報告がてらね。って言っても寝てるらしいから意味ないかも知れないけど。後で行く前にみーちゃんに、大樹のアカシア様に浄化かけて見てもらおうかなと考えてて、定期的に帰る時にもどうかなって。ちょっとでも意味あれば、くらいのものだけど。因みにアカシア様を、あ、木の方のね。マップにマークしてるから場所が分からなくなったりもしないから大丈夫だよ」


 直接浄化をかけるって言うのは考えて無かったかも。あの大樹自体にも浄化能力あるの感じてたし。でも確かに試してみても良いかも知れないよね!魔力ならどうせ直ぐに回復するのだし。


「なら安心だね!良かったぁ」

「やっぱりみーちゃんもここ気に入ってたんだね。私もなんだ。なーんか居心地いいんだよね、雰囲気と言うか空気感?」

「そう!何かが優しいものに包まれてる感覚?って言ったらいいのかな。それに加えて、私的にはお姉ちゃんの結界もあるし、ここより安心出来る所なんて無いと言っても過言じゃないかも。お姉ちゃんの結界、絶対的強者に守られてるって感じだし、それと相まって此処すごく心地良いのよね」

「ふーん?それは自分では分からないな。まぁ魔力量の関係もあるのかな。分からないけど」

「魔力量かぁ、それだけじゃない様な気もするけど・・・」


 この感覚、なんて言ったらいいんだろう。身に馴染むと言うか、相性が良かったりとかそう言うのもあるのかな?でも作業部屋にお姉ちゃんの魔力が満ちてた時は最初ピリピリしてたなぁ。あれはあれで気持ちいいんだけど。よわーい電流が流れるような、ジンジンと言うかビリビリと言うか。炭酸みたいにショワショワするし。痛いまではいかないけど、んー、語彙がないから言い表すの難しいね。


「うん、まぁそれはいいとして、コッチもみて欲しいんだよね。昨日の夜、今着てるこの直衣のうしの後に作ってみたんだけど。ちなみにほぼ魔力の塊で出来ております」


 姉の手の上には新たに、漆塗りのカッコいい牛の置き物?が現れた。持たせてもらうと、見た目より重くない。質感は・・・身近な所で言うと、家にあった輪島塗りの小物入れと似ている。かな?雄牛くんは無表情ながらもキリッとした表情で真っ直ぐに前を見据えていて凛々しくその冷静そうな目元から額にかけて蒔絵で隈取りの様な紋様が神々しく感じる。角も金色で蹄から脛にかけて燃えるような模様の装飾の金色がとてもかっこいい。


「すっごくかっこいいんだけど!お顔も素敵だし。気にした事なかったけど動物にイケメンとかあるんだね。この子がどうしたの?」

「でしょでしょ!引く者がいない乗り物もどうかなと思ってこの子に牛車引いてもらおうかなと。フリだけど。実際の飛行操作はお姉ちゃんがやるけどね」

「はーーー?こんなかっこいい子にフリとはいえ引いてもらえるなんて素敵すぎるよ!でもこの子見た目からしてどう見ても只者じゃないし、こんなの外から見たらやんごとない方が乗ってる様にしか見えないのでは」

「言うて、愛し子は大分やんごとない身分だと思うよ」


 そう言われるとそうなんだろうけど、だって、私だよ?と言う気持ちが拭えない。モブだし。複雑に思っていると、顔に出ていたのか頭を撫でられた。


「・・・コホン。じゃあ、えーとその子、牛車引かせるとか言ってたけど、大きさは何とかなるとしても、動かないんじゃ?どうやるの?」

「これ漆塗りに見えるけど実際は魔力の塊だからさ、一定の決まった動きを付与すればいけると思って。ほら、結界に隠蔽とか付けまくってるじゃん?あれの応用で体の一連の動きをイメージしてこういう動きをしろって付与したらいけたんだよね。ただ、一連の動作の繰り返しになるから最初と最後の繋がりが不自然にならない様にするのめっちゃ大変だったんだけど。しかも段々どうでもいい所までこだわりはじめてしまって。瞬きとか尻尾の動きとか。深夜テンションってやあね・・・」

「何やってるの・・・。って事は設定もう出来てるの??まさかお姉ちゃん昨日寝てないんじゃ・・・」


 心配になって思わず姉の顔を見上げるも、普段無表情な貴公子のレアな微笑みを間近で見てしまいすぐに顔を前に戻した。まずい、直撃をくらってしまった。顔が熱い気がする。一瞬だったけれどお顔にくまとかは特に無かった、と思う。たぶん。


「いや、ちゃんと寝たよ。少なくとも五時間は寝てる。時計ないから分からないかも知れないけど、私の体感ではみーちゃんこっち来てからいつも、地球で言うと20時とかには寝てるからね。下手したら19時かも。だから昨日の私もちょっと夜更かししたなって言う程度だよ」

「そうだったんだ!?全然気付いてなかった、そっか、体が子供だから眠くなるの早いんだ」

「そうだね。すごく今更だけどね」

「うぐ」


 全然気が付いてなかった。って事は私めちゃくちゃたくさん寝てるよね?子供ってこんなにたくさん寝れるんだ?遥か昔すぎて覚えてないなぁ。


 こうなると、この間までの不眠は何だったんだろうって思っちゃう。あ、でも、こっちにきてからは、寝る時にお姉ちゃんの体温を感じながら寝てるから、寝付きがいいのはそれもあるのかも知れない。それにお姉ちゃんの魔力で私ごと覆ってくるんだもん。結界とは違う感覚、繭みたいな?朝には消えてるけど、・・・とにかく安心感がすごいの。


「まぁそれはいいとして。んじゃ早速出発しますかね」

「うん!」

「じゃあ牛くんに牛車をセットしてくるよ」

「まって、私も行く!」

「はいはい」


 動きにくい裾と奮闘しながらも、立ち上がり屈んで今にも前の口から降りようとする姉に腕をのばすと、軽い動作で抱き上げられる。予備動作もなく。姉の筋力はどうなっているのだろうか?抱きついた感じは細身だと思うのに。けれど全体的に硬くなった気がする。それが少し寂しいと思うのに、抱き上げられると嬉しかったり前より少し恥ずかしくもあって、自分がよく分からない。


「そう言えば、牛さんにお名前つけないの?」


 牛の置き物へ、何か綺麗な紅い紐をくくりつけてから等身大より少し大きめに巨大化させ設置している姉を見ながら問いかける。どうやら紐は飾りの様だ。紐で固定せず、見えないけれど結界の応用で固定したらしい。取り外しが面倒なのは嫌だとの言。


「そうだね。つけてもいいけど・・・、そうだな・・・牡牛座のブルズアイからとってアルデバラン、とかど」


 姉が牛さんの頭を撫でながらそう言うと、突然雄牛が輝きだした。光が止むと、牛の体が一瞬震えた。驚いて顔を見ると、先程まで無機質だった牛の目には知性の光が灯っていた。


「名を賜り幸甚に存じまする。我が名はアルデバラン。我があるじと御令妹へご挨拶申し上げる」


 え???


「ふむ。魔力の塊に名を与えたから魂が宿ったか?名が一番短い呪とはよく言ったものだね。お前、自分がどの様な存在か分かるか?それと可能な範囲でいいから畏まった話し方はやめてくれ」


 え??お姉ちゃん、なんでそんな普通みたいな反応なの!?


「承知しました。種族、という意味であれば、精霊に近いかと。位階が上がれば分かりませぬが。主人の眷族としてこの身を尽くす所存。ふむ、どうやらこの体、隈取りが薄くなると魔力を補充していただかねば元の置き物へ戻るようです。命じて頂ければ自分でどちらへも転じる事も可能。らしく。・・・元に戻された際は可能であれば主人の異次元の御蔵へお戻し頂きたく」

「・・・アイテムボックスか。何故だ?」

「あれ程心地の良い場所もありますまい。まるで母なる海のような・・・」

「生まれたばかりのくせに海など知らないだろうが」

「星の叡智で見もうした」

「ふん。叡智か。ならばこの世界にも海はあると言う事か?まぁ私達は旅をするからな。海を通りがかれば連れて行ってやろう」

「有り難き幸せ」

「おおお、おね、お兄様、もう少しお優しくなさって?」


 あれ、でも言ってる内容はよく考えたら取り巻きの人に対してよりは優しい?


「どうした。私はいつも優しいだろう?」


 そりゃ私にはね!知ってるよ!誰かこの人の貴公子の微笑みを禁止にしてください。


 元々背が高いせいで男性っぽく振る舞われるともう男性にしか見えない。声質も女性っぽくはなくなってしまったから尚更。


 衣装でこんなに変わるものなの?姉の男装技術がすごいだけなのか。と言うか、アルくんには男性として接するのかな?私もご挨拶しなくちゃ。えーと、お姉ちゃんの態度からして、私が変に敬ったり謗った態度はおかしいよね?適度、適度に・・・。


「アルデバラン、初めまして。妹の瑞樹です。よろしくね。アルくんって呼んでもいいかしら?」

「儚くもお美しい姫君、お好きに呼んでいただいて構いませぬ。アルくん、とは、大変素晴らしい字かと」


 馴れ馴れしいかなと思ったけれど、嬉しそうにしてくれているしアルくんって呼ぼう!そんな頑張って褒めなくていいんだけど。まぁ主であるお姉ちゃんの妹だからかな?何かよく分からないけれど、家族が増えたみたいなものだよね!?撫で撫でしていいかな?オーケーして貰えたら本当の動物じゃないからアレルギーも起こらないし触り放題じゃないかしら!


「よかった!えーと、あの、撫でても良いかな?」

「勿論構いませぬとも」

「かわいいね。よしよし」

「姫様こそ大変お可愛らしく、撫でていただけるなどこのアルくん、望外の喜びです。姫様の魔力でしょうか?身も心も綺麗になる心地がいたします。見形だけでなくお心まで美しいとは」

「ハァ、お前生まれたばかりのくせによく喋るな?まぁ妹の良さが理解できているならば私が言う事は無い。希望はなるべく叶えてやるからしっかり働いてくれ」

「承知致した」

「して、現在の魔力はどの程度だ?顕現してる際の消費速度は現時点で分かるか?大体で良いが」

「存在しているだけですので殆ど消費しておりませぬ。車を牽かせいただければ多少は多くなるかも知れませぬが」



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