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シスコン姉妹の異世界生活  作者: キリコ
22/40

入国のしくみ



 お昼を具材たっぷりのサンドイッチセットで済ませ、お茶を飲み一息つくと妹を連れて玄関を出る。二人に日焼け防止や結界などを付与し、最後に少し余裕を持って大きめの球状の結界で自身を包むとその結界に隠蔽をかけた。


「よし、じゃあ上空まで浮上して遠目で何処かにコロニー的なものが見えないか見てみるから待ってて。」

「えっ?」


 妹にそう伝えるとゆっくりと浮かび上がる。屋根の辺りまで浮上すると、下から妹が慌てた様に声をかけてきた。


「お姉ちゃん!待って!私も見たい!」


 話を聞こうと戻り、隠蔽を付与した結界を解除し地に足を付ける。


「どうして?みーちゃん高い所苦手でしょう?無理する事ないよ。」

「怖いけどお姉ちゃんが抱っこしてくれるなら大丈夫。多分。だって見たいんだもん!我慢するから!お願い!」

「私は別にいいけど、本当に大丈夫?・・・一先ず屋根の高さまで試してみよっか。」

「うん!」


 妹を抱き上げ結界を張り直し隠蔽をかける。屋根まで浮上し妹の様子を見ると、少し体を固くしているものの表情はそう心配する程の事は無さそうだった。もっと上に行くが大丈夫かと確認をとり怖くなったら言う様に伝えると、どんどん高度を上げていく。



「どのくらいまで見えるかな?あ、地上から見えないように隠蔽かけてあるから安心してね。見た目どころか魔力もまるっと隠蔽してるから、視界に入っても存在に気付かれない筈だよ。」

「え、そうなんだ。」

「相当高いとこまで来てるけど大丈夫?」

「高さは思ったより怖くないみたい。何でだろ?抱っこされてて安定してるから?それだけで?自分でもよく分かんないや。現実味が薄いからかも。」


 大樹より高く浮上した所で停止した。高層ビル二つ積み上げた物より高さはある気がする。


「よく分かんないけど大丈夫そうだね、それなら文字通り高みの見物と洒落込みましょうか。」

「おお〜!凄い!遠くまで見え、あ!お姉ちゃんあそこ私達がいた草原?」


 妹が指差す方角に目をやると森に接すようにだだっ広い草原あった。ここ何日かふわっと確認していた太陽の軌道からすると、大樹から見て東側だ。あそこが私達にとって、謂わゆる始まりの地と言うやつか。つい最近の事のはずだけれど、もっと前の出来事の様な気がする。柄にもなく感慨に耽って草原を見渡していると、草原よりもっと奥に荒野を挟んで小さなコロニーらしき物が点在しているのが見えた。


「みーちゃん、草原のもっと奥、コロニーが幾つかあるみたい。見に行ってみる?」

「本当だ。でもあっちにもあるみたいだよ?遠くて見え難いけど大きなのが。」

「おお、本当だね。んじゃ両方見てみよっか。みーちゃんの方から見よ。」


 そう伝え上空で浮遊したまま南の方角へスーッと移動する。思ったより中々近付かない為、妹に確認を取りスピードを上げる。結構な上空を移動している為地上を見てもそれ程スピードが出ている様には感じないが、実際はかなりのスピードで動いている筈だ。しばらく移動して近くなってくると、コロニーの全貌が露わになってきた。


「おおー、これが異世界の文明か。建物の雰囲気がなんかギリシャっぽい?」

「すごーい!全体的に白くて綺麗、城壁すら白と青で綺麗なんて、凄いね。国力ありそう。大きな都市みたいだし。」


 妹の言う様に、城壁は真っ白に光るかの様に輝き汚れやヒビが見当たらない。胸壁の下部には青いラインがぐるっと引かれているようで、それも美しさに一役買っている。あの輝き、まさか宝石だろうか。魔物がいる世界で城壁がここまで整備され美しく保たれているならば相当な余裕がある都市だと思われた。歩廊には胸壁に隠れる様にして一定の間隔に歩哨が立っている。城壁の上部には予想通り都市を覆う様に結界が張られており、上空からの侵入は出来ない様だった。


「この都市色々と凄いね〜、あの兵士さん、えーと、兵士さんだよね?どっちかと言うと魔法使いっぽいけど。」

「ああ、歩哨に立ってる人達ね。確かに服装的には魔法使いっぽいね。でも魔法メインらしき世界だから、兵士も地球と違って魔法使いメインなんじゃない?むしろ魔法使いじゃない人が存在するのかな?こんな何でもかんでも魔力が含まれてる世界でさ。」


 そう言いながら、魔力視で家の周囲を見てまわった際に凡ゆる植物に魔力が大なり小なり含まれていた光景が脳裏を過ぎった。


「確かに。普通に食事するだけで魔力補充されるもんね。」

「それに装いこそ魔法使い風だけど、見た感じがっしりしてそうだし鍛え上げられてそうだからよくある魔法使いのイメージとは若干違うね。ローブの下は戦闘服とかなのかな?それはいいとして、あの人達の魔力値だけでも見れないかなー?そしたら人間っぽい人達の強さが大体分かりそうだけど。」

「鑑定は遠くて無理だもんねぇ。」

「・・・そうだ!いい事思い付いた!」

「?」


 マップを呼び出し確認すると、歩哨は灰色で表示されていた。魔力を持つ生物の魔力値を高低で7段階にランク分けし、それぞれを色相で判別出来る様にする。魔物の色分けと混ざると面倒なので、白を混ぜてパステル系の色でイメージする。


 魔力値の低い方から、黄 オレンジ 緑 赤 青 紫 黒、で分けイメージしてみた。早速歩哨の色を確認すると、全員黄色であった。


「みーちゃん、聞いて。この世界の生物の魔力値を7段階にランク分けしてマップに色で表示されるようにしてみたんだけど、歩哨全員黄色なんだよね。どう思う?あ、ちなみに色分けは下から順に黄 オレンジ 緑 赤 青 紫ね。明度順。」

「そうなの?見張りの役ってそんな弱い人で大丈夫な物なの?」

「うーん、どうなんだろ。ガチの時と平時でもそもそも違いそうだけど、機械の無い昔の地球なら判断力とか経験、戦闘力とか総合的に見られたかも知れないね。でもこの世界なら歩哨に求められる能力が戦闘力とは限らないんじゃない?視力がいい人とか魔力視がより上手な人とか?伝達の何らかの魔法が使えるとかさ。」

「ああ、確かに。魔法があるならそうかもね。」

「魔法があるなら襲撃を受けた時に、死ぬ前にその事を伝える魔法を発動さえすれば伝達を受けた側は警戒できるだろうしね。地球だと死んだら伝えられないから生きないといけなくてある程度の戦闘力は必要だっただろうけど。」

「ええ・・・急に物騒になったじゃん・・・。魔法で伝えて力尽きる兵士の人を想像しちゃった、無理。人が軽率に死ぬ話地雷です・・・。」

「ごめんごめん、ほら彼らは元気に見張りしてるよ。そんな出来事は無かった、それでいいでしょ?」

「そうだね。考えない様にしよ。所でさ、お姉ちゃん。」

「ん?」

「街の地面とか住民が見えないのってこの結界のせい?背の高い建物の上階くらいしか見えないし。なんか霧でてる?」

「ふむ。」


 そう言われて確かにと自身も気になった為、試しに結界自体を鑑定してみた。人が張ってるのか、もしくは魔道具の様な物を使っているのだろうか。


 龍神の守護

 龍神の加護を受けた竜人により張られている結界

 隠蔽付与



(なるほど、これ人が張ったのか。凄いな。まぁでもこのサイズなら私でもいけそう。それにしても加護かぁ。この世界加護とかあったんだね。ラノベあるあるだけど、主人公のみーちゃんは加護貰ってないみたいだしな。ステータスに載ってなかったし。アカシア様が死にかけてるからか?って事は龍神とやらは元気なの?刺激しない様にしとこ。面倒くさい事になったらやだし。言うてアカシア様からは加護以上のもの私達貰ってるもんね。加護がどんなものか知らないけど。とんでもないチートとかでなければの話。)


「龍神とやらの加護を受けてる竜人がこの結界張ってるみたいよ。隠蔽が付与されてるみたいだから多分モヤはそれだね。付与されてる隠蔽がそんなに強くないから結界に近い部分だけ見えてるのかも。」

「竜人!すごーい、本当に異世界なんだねぇ。この見張りの方達、大体人間に見えるけどもしかして違ったりするのかな?」

「どうだろう。あり得るね。よし、もうここはいいや。出入りする人の服装を見たいから門探しに行こ?」

「はぁい。」


 外壁添いに右へしばらく移動すると大きな門が有り、護衛らしき者を幾人も連れた商隊が列を成していた。民族衣装なのか、商隊ごとに服装が違う為其々別の所から来ているのだろう。割合的には洋装?が一番多いかも知れない。お金がかかっていそうなそれでいて上品な装飾の馬車の様な物から出て来た老紳士は、ラノベ内での西洋の貴族風の服装であった。他の商隊には詰襟のシンプルな上下の上から古代ローマ風に一枚布を巻き付けている人々や、アオザイの様な服装にマントの様なものを羽織っている人もいる。アオザイ風の服装の人を見るとマントを羽織っている三人だけで集まり何事か話していた。マント無しの人達が少し離れて囲う様にそれを見ながら周囲を見ていた。護衛なのだろうか。マント付きの人物が護衛(?)の一人を呼び何か立方体の物を渡すと、護衛は門へ向かっていった。


「おお、お姉ちゃん!あれって商隊ってやつ?馬車が連なってる。」


 はしゃいで楽しそうにキョロキョロ見回している妹が猛烈に可愛い。コテンと首を傾げる様も自然とそうなってしまう上目遣いも可愛らしすぎる。子供の仕草って何故こんなに可愛らしいのだろうか。同じ仕草でもぶりっ子とは一線を画すと思う。周囲の大人に庇護欲を湧かせる為だとか聞いた事があるけれど、どうやら妹のそれは今その仕事を恐ろしく有能にこなしているようだ。真顔で見つめてしまいハッとする。


(いけない、返事返事。)


「おそらくね。と言うか、なんか女性が全然いないのは気のせい?見当たらなくない?」

「え?ただ馬車に乗ってるだけじゃない?さっきあっちの馬車に女の人乗ってたよ。扉から上半身だけ出して何か言ってたもん。多分女の人だったと思う。」

「旅行中の一般市民っぽい人はいないんだね。やっぱ魔物がいて危ないからかな。」

「男の人もムキムキか魔法使い風の人ばっかだもんね。それか商隊の主人っぽい人。」

「待って、あのグループ、謂わゆる冒険者って人達じゃない?雰囲気とか装備とか。」

「本当だ!弓背負ってる人と、帯剣して盾背負ってる人となんか薄着の人だよね?確かにそれっぽい!」

「薄着って!あはは!確かに薄着だけど!格闘家系なのかな?身軽さ重視みたいな?」


 そう話していると、先程門へ行ったアオザイ集団の護衛が衛兵と一緒に戻って来た。衛兵が何事か話し持参していた球体を差し出すと主人が手首を当てた。衛兵は球体を確認し背筋を正すと何事かを話し、門へ戻って行った。


「手首当ててたよね?あの球体何かな?」

「お姉ちゃん、衛兵さんに付いて行ってみようよ。」

「はいはい。」


 衛兵の頭上をフヨフヨと移動しついて行くと、門へ到着した。浮いているので足音こそしないが、順番待ちしている人々の頭へ当たらない様に気を付けて移動する。門が縦にも横にも大きくて助かった。


「あ!あれ、さっきの球体。幾つかあるんだね。」


 衛兵は城壁に入ってすぐの詰所の様な建物へ入って行った。扉から中を伺うと、奥の方に先程の球体が箱に幾つか収められているのが見えた。


「まぁそりゃ、そうじゃなきゃわざわざ馬車まで持って行かないんじゃない?あー、でも貴族とかならVIP対応とかあるのかな。」


 防音をかけているので周囲には聞こえはしない筈だけれど、何となく小声で話してしまう。


 そうしていると、先程の衛兵は30センチ四方のミルク色をした厚みのある石板の窪みに持ってきた球体をセットした。


「あの球体で何してるのかなぁ。」


 衛兵が石板を触ると、石板の手前からコロンと何かが出て来る。それと同じ物のサイズの小さなものが幾つか。


「あれって魔力結晶じゃない?」

「って事はあの手首当ててた時、球体に魔力注いでたのかな?あの石板で魔力を抽出したり出来るって事?」


 衛兵がそれを持ち背面の壁を触ると、壁の一部が開き最初に出たものをそこへ投入し閉じた。すると閉じた部分が光り、そこへ木札を押し当てると文字らしきものが焼印された様だった。それを確認すると残った小さな魔力結晶をポケットへ入れ木札を持ったまま衛兵が此方へ戻って来たので急いで避ける。


 また門の外へ行く様だったので着いて行った。


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