魔力結晶
試しに同じ方法で幾つか作ってみた。
内訳としては
50000×4
100000×2
200000×1
といった所だ。現在のMPを確認する。
Lv.11
HP 4620/4620
MP 699399/1290500
使用魔力は合計500000だが、端数部分の増えている部分はおそらく常時回復分だろう。今まで意識していなかったがこの速度で回復してしまうならば、いつでも作成できるようにしておかなければ危険かもしれない。街中で隠蔽膜が破れたらどうなるか分かった物ではないのだし。Bランク魔物より遥かに濃い魔力が漂えばどうなることか。となると、この方法では少し不便かも知れない。両手で捏ねる、と言う部分が不便に思う。もしもの為に片手を空けておきたい。
幾つか作成したおかげで、なんとなく構造と言うか魔力の固め方は少し掴めた。あの感じで、掌の上で魔力を収束させ固めれば出来そうな感触はある。となれば早速実行してみるに越した事はない。別に一度で成功させなければならないものでもないし、物は試しだ。やってみて分かる事もあるだろう。
先ずは小さい物から、と言う事で手の平に魔力を取り出す。想定としては含有魔力50000のつもりでいく。結晶、と言う言葉から無意識に連想したのか、ふと、昔妹と図鑑で見た雪の結晶が脳裏を過ぎる。すると、そのほんの一瞬のイメージに影響されてか、とろとろしていた魔力がみるみる変形していく。わずか三秒程で直径3センチ程の雪の結晶の形に精錬されてしまった。その様なつもりでは無かったが、偶然とは言え出来たならそれに越したことは無い。この見た目は扇付樹脂とか角板付樹脂とか言う種類だったと思う。妹と図鑑を眺めながら結晶の形一つ一つに名前が付いていて驚いたのを思い出し懐かしくなった。そんな思い出もある事もあり、これで出来ているのならばこのイメージでいこうと決めた。となればまず鑑定だ。
魔力結晶(⭐︎⭐︎⭐︎)
魔力の密度が高まり結晶化した物。
少し甘い
含有魔力 50000
これは、品質?こそ星一つ下がってはいるが、成功と見て良いだろう。試しに含有魔力100000の物を精錬してみたが、少し時間がかかった。ならば、と、傷薬の為に食器棚から失敬したシュガーポットの空のものを取り出して蓋を取り外し、上から手のひらで塞ぐ。その状態で、10000の魔力結晶を10個精錬する。イメージし魔力を出すと、一つ目は一瞬で結晶化し底に当たってカシャンと音をたてた。サイズ的には1.5センチ程になり50000の物より厚みが増し金太郎飴の様にコロコロした形状になった。そのまま連続で精錬すると、カシャンカシャンとポットの底にあたり涼しげな音を鳴らしながら10秒程で10個精製出来た。これなら入れ物に隠蔽をかけておけばバックの中などに手を入れた状態でささっとMPを消費出来そうだ。出来たものは取り敢えずアイテムボックスに入れて置いて、いつか調合などに使えるなら使えば良い。
(少し甘いってどんな感じなんだろ。試しに食べて大丈夫かな?どうせ自分の魔力だし体に影響は無いでしょ。)
コロコロの結晶を口に入れると、金平糖に似た落ち着いた甘味を感じる。それと一緒に、駄菓子のはじける飴の様にパチパチと口の中ではじける感触がする。試しに噛み砕くと、軽く噛んだだけで砕かれ口の中に甘味が広がったと思うと一瞬で消えた。まぁ、元はただの魔力であるので単に吸収されたのだろう。子供の頃のパチパチする飴の食感が好きでたまに母にばれない様にこっそり買って食べていた。懐かしい。
(手で捏ねた方の結晶は何となく食べたく無いな・・・。よし、あれは錬金術とかに使おう。うん。)
これで私の隠蔽膜問題は一先ずなんとかなったと思って良いだろう。ゆくゆくは、特定の値までMPが回復したら自動的に結晶化しアイテムボックスに移動できるようになりたい。そこまで出来れば隠蔽膜への心配事は無くなる。イコール魔力操作の練習はしなくてよくなる筈。あれはよく無い。精神的にすごく疲れるし、疲労感がきつい。なまけもの属性の私としてはなるべくやりたくない類の修練だ。最初からコントロールがほぼほぼ完璧な妹がおかしいだけであって、私は人並みなはずだけれど、こればかりは妹が羨ましい限りである。
一人で頷きながら妹の方へ目をやると、一つの瓶へ薄い青色の液体を注いでいる所だった。ハワイアンブルーの氷蜜を水で薄めた様な色だ。近付いてよくよく見るとキラキラとした金箔の様な粒が入っているようだ。まさしく魔法の薬液といった感じである。
「凄いね、なんかキラキラした粒が入ってる。綺麗。」
「うん、お姉ちゃんを手伝った時と違って、私の調合スキル使って作ったらこうなったの。不思議だよね。」
上級精製養魔水(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)
高濃度の魔力水を更に精製し魔力濃度を増したもの。
含有魔力 200000
「なんかやばいの作ってるね。まぁでも自分達用ならいっか。見てみて。お姉ちゃんも結晶化かなりスムーズにいったよ。」
「え?なにそれ?綺麗、あ、こっちはかわい、えー!何これコロコロしてかわいい!すごいっお姉ちゃん、鑑定、え?はじける食感???」
「えっそんな事まで鑑定に載ってるの?さっきはそんな記載無かったのに。」
魔力結晶(⭐︎⭐︎⭐︎)
魔力の密度が高まり結晶化した物。
少し甘い。はじける食感。
含有魔力 10000
「ええ・・・、本当だ。さっきは食感の事載ってなかったのに。私が試食して認識したから?・・・まぁよく分かんないけどいいか。みーちゃん一つ食べてみない?駄菓子のパチパチする飴みたいで楽しいよ。」
「いいの?食べてみたい!」
「はいどうぞ。」
シュガーポットの蓋を開け妹へ向けると一粒とり口へ入れた。最初は甘味を感じてかふにゃっとした表情になったが、妹の閉じられた口から小さくパチパチと音がしだすとやたらと瞬きしている。可愛い。
「ちなみにそれ、噛み砕くと一瞬で吸収するみたい。試してみて。」
私が言うと、眉尻を下げ首を振る。噛み砕きたくないのだろうか。だがこれでは、口に何か入れている時には話さない為話が出来ない。
「まだ舐めてたいの?これポットごとあげるから後で食べなよ。・・・はは、おやつじゃないんだけどね。」
私が呆れてそう言うと、ようやく噛み砕いたようだ。
「だって、お姉ちゃん。これめちゃくちゃ美味しい飴だよ!ていうかこの鑑定間違ってるよ。ほのかに甘いとか言う次元じゃないし。しっかり甘いし、甘味とスパイス?と塩気が調和してて、それでいてパチパチはじける楽しさもあるし、あぁでも近い物で分かりやすく言うならソーダ味?なんだけどとにかく複雑な味で美味しいの!」
「えぇ・・・、魔力しか入ってないよ・・・純度100パーセント魔力だよ・・・。そんな複雑な味する訳なく無い?怖い事言わないで・・・。」
「え、飴に調合したんじゃないの?これお姉ちゃんの魔力の味って事?え、やば、美味し。」
「あはは、そんなに気に入ったならこれから死ぬ程量産されるだろうから幾らでも食べていいよ。但し、一粒で魔力10000含まれてるからそこは気を付けて食べなさいね。みーちゃんの余剰魔力がどうなるのか分かんないし。」
「やったー!あ、お姉ちゃんそれなら私の養魔水貰ってよ。あ、試飲して無いや。ちょっと待って。カップ取ってくる。」
「まって、これ使っていいよ。」
「え、いいの?中身入りなら私もティーカップ、ゲームのアイテムの物があるんだけど、」
「まぁまぁ、幾つもあるから万が一の為に持っとくべき。」
カップだけではお茶は淹れられない。お茶が淹れられないなんてそんな事、とても困るはずだ。ゲームアイテムの中身の無いティーセットを一式渡す。同じのをまだ何セットも持っているので問題無い。茶葉も早いとこ調合せねば。街に売っていたら助かるのだけれど。すると、先程完成していた薄青色の液体が妹の魔力操作で二人分ティーカップへ注がれた。
「お姉ちゃんも試飲どうぞ!念の為私が先に飲んでみるね。」
「別に危険は無いと思うけど。」
「もしもがあるかも知れないでしょ。」
「それこそお姉ちゃんが先に毒味するべきじゃない?世界に一人しかいない稀少な愛し子さんやい。」
「私が作ったんだから私は大丈夫でしょ。たぶん。」
「はぁー、もう。(まぁ危険は無いだろうしいいか。)」
妹が飲んでいる間に鑑定しておく。ちなみにどちらもティーカップへは普段注ぐお茶の半分ほどの量しか注がれていない。
上級精製養魔水(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)
高濃度の魔力水を更に精製し魔力濃度を増したもの。
含有魔力 500
なるほど、あの瓶は2リットル用のものだったので魔力量からするとこれは50ミリリットル分なのだろう。きっかりなのは相変わらず恐ろしい魔力操作技術である。自分で生み出す分には私にも調節出来るが、魔力操作での移動でここまで誤差なく出来るのはいったいどうやっているのだろうか。
「問題は特に無いね。味はよく分かんない。かろうじてジンジャエールっぽい味がほのかにする様な気がするけど。」
そう言われて私も飲んでみる。
「うーん、確かに味は少し薄いね。ジンジャエールの味に似てる。でもほのかにって言う程薄くは無いけど・・・?まぁ美味しいよ。冷やしてた方がもっと美味しいかも。」
「確かに。て言うか、もしかして自分の魔力だからあんまり味感じ無いとかあるのかな?お姉ちゃんの飴も、ほのかに甘いとか言う次元じゃ無かったし。」
そこで、転移二日目の朝ごはんのベーコンを思い出した。神様謹製材料&神様謹製スキルのバグのせいだろうとあたりを付けたあのベーコンの美味しさを。
「もしかして魔力が強い人のはすごく美味しく感じるとかある?アカシア様の魔力謹製のご飯たちめちゃくちゃ美味しいよね?どれもこれも。自分じゃ絶対に作れない領域の味じゃない?」
「あー!そう言われると確かにそうかも。それにお姉ちゃんの飴ほんと美味しいから。」
「何だろうね。まぁこの世界の仕組みなんだろうけど。」
「まって、お姉ちゃん。これ私達他人の作ったご飯食べられるかな?味受け付けなかったりしない?あ、でも普通に材料から作るなら魔力関係無いかな。良かった。」
「ご飯系は大丈夫だろうけど、他人の作った魔法薬はちょっと飲めないかもね。魔法薬なんて魔力で何やかんやするものだし。」
「まぁ、魔法薬はそのうち私が何とかするから安心して!頑張って熟練度を上げていくよ!」
「おお!頼もしいね。ご飯も街で食べて見て万が一アレだったら、材料が手に入ったらお姉ちゃんが作るね。まぁそうでなくてもストレス解消に作ったりするだろうけど。」
「わーい、お姉ちゃんのご飯!早く街に行きたいな。」
「魔力結晶が解決したから、お昼ご飯食べたら偵察に行く方向を決めに行くよ。」
「?よく分かんないけどオッケー!」
「ふふ、じゃあご飯にしよ。」
カップを洗浄し妹のアイテムボックスへしまうとダイニングへ向かった。




