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シスコン姉妹の異世界生活  作者: キリコ
2/40

主人公な妹の称号

 どれどれ・・・


ミナモト・ミオ(15)


称号:

界を渡りし者2

ミナモトミズキの守護者

メイカー


愛情ポイント 25834967


Lv.1

HP 162/162

MP 1289500/1290000


魔法▽

スキル▽


(何これ?いろいろやばいでしょ。15ってもしかして年齢!?・・・この感じ、みーちゃんが重要人物の匂いがプンプンする。ラノベ的な意味で。)


(あと、HPとMPの差がエグい。何これ。単に魔力が多いのか紙防御なのか・・・、詳細が知りた過ぎる。それに愛情ポイントってなんなんだ。MPが減ってるのはドーム出したから?)


 試しに称号に触れてみる。


(お、タッチで詳細表示は便利。タブレットみたいにスクロール出来るのも使いやすい。)


界を渡りし者2

世界を2度渡った証。

偶然、座標とタイミングが合った所為で界渡りの際に間に精神界を跨いだ為、実質的には二度界を渡っている。

(そんだけ?もうちょっと教えてよ。お、もっかいタッチしたらでたね。ん?なんか抜けた様な、もしかしてMP使った?MPもう一度見よう。MP MPっと、)


MP 1289455/1290000


(500は結界に使ったとして、うん、減ってますね。なるほど、追加情報はMPがいるわけね。まぁ元からすると少しだからいいか。)


精神界に入った事により肉体が一度融解しこの世界に入る際に再編された。

界を渡った際の代償として体の生きた時間を一度につき10年消費している。

(精神界って、もしかしてあのお湯くぐった様なあれ?これだけじゃ、誰がこっちへ喚んだか分からないか。再編って・・・、まぁ元の世界には魔力なんてないから今有るならそれはそうなのかな。若返ってるのは少し困るな。この世界の生き物(人間含む)に舐められないか心配だ。舐められるとみーちゃんも危険に晒すだろうし威圧みたいなの体得したいところ。)


(もう一度タッチしても続きは無しか。よし、じゃあ次。)


ミナモトミズキの守護者

今代の愛し子の守護者。

守護者は、愛し子を守る為その時々に必要な魔法やスキル習得が容易になる。

(でたー、愛し子。異世界あるある。まぁ、みーちゃんは天使だから仕方ないね。って言うかやっぱ重要人物じゃん。私が守護者なのは当然として。むしろ他人が選ばれるとか、は?ってなるよね?まぁそれは置いといて、スキル取得が簡単なのはめちゃ嬉しい。もうちょっと続きない?)


守護者は世界によって選ばれるが、愛し子に悪意を持ったり利用しようとすると解任される場合もある。

解任されると称号によって得た魔法やスキルは封印される。

罪人でなければ常人と同じように研鑽を積めば同程度の難易度で再取得出来る。

(つまり、利用したりする者が出現するような存在なわけね?ますますこの称号がありがたいな。でも必要なスキル取得ってどうやって?練習したらいいのか?わからん。もう出ないか、次。)


メイカー

愛し子を守りやすくする為、界渡りの際アカシアが作成した生産スキルセット。

守護者が持っていたゲーム知識からシステムを再現している。

(生産スキルセット!?キタキタキタ!!有り難すぎる!アカシア様?神様的な人もみーちゃんを守って欲しくて大盤振る舞いしたって事?任せて下さい!見守ってくれそうな存在がいると思うとなんか元気でるな。)


(ん?って事は喚んだのはアカシア様(仮)って事?タッチしても続きは無いか。・・・よし、次は魔法だな。右の三角タッチか?)


魔法▽

創造魔法

属性魔法

無属性魔法


(でたね。はいはい、タッチタッチ)


創造魔法

イメージしたものをこの世界に存在する物質を使って作り出す事ができる。但し創造できる物の可不可は能力値に依存する。

(はあ?チートじゃん・・・。チートはメイカーかと思ってたのに・・・。二つも貰っていいの?なんか怖くなってきた。・・・能力値依存は納得。ゲームに良くあるよね。構造が難しい物とかは魔力とかレベルが高くないとダメってやつね。)



属性魔法

火・水・風・土

(え、逆に拍子抜けした。これだけ?感が否めないわ。ゴメンナサイ。他のが凄すぎて。贅沢言ってすみません!言うてこれだけでも色々出来そうだけど。義務教育のおかげで大体仕組みが分かる氷とか雷、嵐とかも、組み合わせる事が可能ならいけそう。お洗濯も魔法で手抜き出来そうじゃん。嬉しい。攻撃はラノベあるあるのボール系統とランス系統の練習からだな。)



無属性魔法

身体強化、念動力など、属性が伴わない魔法。可不可は能力値に依存する。

(これも上手く使えばチートじゃない?まてよ、ここまでくると逆にこの世界ではこのくらい普通なの?もしかして。だとしたら不安しか無いぞ。それともみーちゃんを絶対に守れよって事?・・・どっちなんだ。身体強化は有用そうだけど。問題は魔力消費量かな?)




所持スキル▽

家事 順応 多重思考 言語理解 言語筆記 鑑定 空間把握 探知 メイカー 格納

(おお、意外と沢山スキル持ってるね私。家事は分かるとして、多重思考は何で?貰ったスキル?まさかだけど、アレじゃないよね・・・?本読みながら音楽聴いてソシャゲしてたからくらいしか思い付かないな。だって仕事で使ってました!とは言えない!そんな有能な自信ないし。やっぱオタ趣味同時進行が可能性大か。しょうも無さすぎるけど。言語理解と筆記は普通に学校かな?そもそも国語も習ってるしね。メイカーは称号からとしても後は分からないな・・・。タッチしてみよ。)



順応

精神状態異常耐性の上位互換。

(これかー、パニックにならない理由が判明した。こんなんいつ取得したんだ。これも貰ったスキル?もっと情報出ない?)


精神状態異常耐性が精神界に入った事により強化された。

(元々精神状態異常耐性を持ってたってことか。入っただけで強化されたとか精神界やばい。)



(続きは無しね。まぁ、分かったしいいか。これがあるなら魔物とかいたとしてもやっていけそうだな。)


鑑定

星の叡智に干渉し情報を引き出し様々な物事の真贋や能力値等を判別できる。

(もう一度タッチで・・・)


自身の知識が優れている分野に関しては、魔力を使用せず一度把握した知識を即座に引き出せる。

判別できる情報量は、星の叡智に干渉する場合、知識量・能力値に依存する。

(これ絶対便利なやつ!学生時代に妹の為に図書館に通い詰めてたのが良かったのかな?それともこれもアカシア様がくれたんだろうか。まぁどっちでもいい。

これも能力値依存か。星の叡智って何だ?もしかしてしてMP使って続きを見てるこれもそうって事?魔力が関係するってなると神々の図書館的な物だろうか。はたまたアカシックレコードとかの様なもの?そこから情報を引き出すなら魔力を使うって事か。この世界にも図書館が有るなら行って知識量を増やしたいところだね。そうすれば魔力を使わず鑑定出来る分野が広がるだろうし。まあいいや、次。)


空間把握

物事の位置どりや形、方向、形状、距離等が正確に判断できる。

(あー、球技が得意だったのってこれがあったから?

戦闘する可能性があるならあって良かったわ。マッピングも出来そう。)


探知

魔力を使い、物事の状態や変化を知る事ができる。

(感が鋭いって言われてた原因ってこれだろうか。いや、地球では魔力なんてなかったはずだし貰った系か。ありがとうございます!動物や人間、魔物の位置を探ったり欲しいアイテムの採取にも役立ちそう。)


メイカー

錬金術、裁縫、鍛冶、加工など細かいものから建築など大規模なものまで作成しやすくなるスキルセット。

園芸、採取等も取得し易くなる。

(はー待ってました!これよこれ!ハンドクラフト好きとしては楽しみしかないスキルセットー。これでお金を稼ぐ事が出来れば尚いいけどなー。ゲーム知識依存って事は熟練度を上げていけば作れるアイテムが解放されていく感じかな?熟練度上げてゆくゆくは材料が手に入れば装備とかも作りたいな。建築が出来るってことは家建てられるぞ。頑張ろう。こう言ったスキルも星の叡智とやらに干渉してそうだよね。)

 

格納

建築した建物や作成した乗り物等を拳大の専用のボックスにより亜空間へ収納し、アイテムボックスへ収納可能。箱の状態にすると重量は外側のアイテム分のみになる。

(・・・これ、ぶっ飛び具合からして明らかに貰ったスキルって感じだけど、家を持ち運ぶなんて旅でもしろって事か?タッチしても続きは無しかー。と、言う事はこちらの世界へ喚んだのはやはりアカシア様とかおっしゃる神様的な存在なのかな?愛し子ってひと所に居られなかったりするんだろうか。後でみーちゃんに称号確認しないとな。箱のアイテムは簡単に作れるのかな、無理なら売ってる可能性のある人里に行くまで使えないぞ。)


 色々と調べないといけない事が多い。精神的に疲れた。妹を抱きしめて癒されたい。


「わあ!なぁにおねーちゃん?」

「可愛かったからぎゅってしたかっただけー。」

「もー。また言ってるよ。」


 かわい。呆れた顔もかわいいなんて。子供が大人ぶってるように見えてほんわかした気持ちになる。


 そう言えば子供ならばそろそろ水分摂取させないといけないのではなかっただろうか。


(親戚とかの子育て見てた感じだと小まめに飲ませたりしてた気がする。この子は特に体弱いからな。)


「みーちゃん、喉渇いてない?そろそろお水飲もうか。」

「・・・まだ、いらない。」


(本当かな?今喉動いたの見逃さないよ、姉は。500ミリリットルのペットボトルしかないから遠慮してるのかな?)


「でも、体が小さくなったから小まめに飲まないと具合悪くなっちゃうかもよ。ちょっとでもいいから飲んどこう?」

「・・・じゃあ、ちょっとだけ飲んでいい?」

「喉渇いてるならしっかり飲んで?なくなっても魔法で出せそうだし。子供なんだから遠慮はなしだよ。みーちゃんが、具合悪くなっちゃったりしたらお姉ちゃん泣いちゃうよ。」

「・・・わかった。」


(良かった。ミネラルウォーターを開けて支えると飲んでくれた。この手の我慢をしちゃうのは大人の記憶がある事の弊害なんだろうな。きっと。ただ単に優しいいい子だからなのもあるだろうけど、もっと自分を大事にして欲しい。)


 飲み終わったボトルを受け取り、バックへしまう。




(さて、やばそうな気がして後回しにしたやつを見るか・・・。愛情ポイントって何なんだ?怪し過ぎる・・・)


愛情ポイント 25835093

ポイントは神様運営ショップにて使用可能。様々な神が出品している。

ミナモトミズキが愛されるか愛する、また幸福を感じるとポイントが増える


(やっぱみーちゃんは主人公なんだな。私が注いできた愛情もこの中に!?みーちゃんの愛され度が具体的に可視化されるとは。同担の気配をじわじわと感じていたとは言え神様はやっぱ格が違いますな。)


(と言うか神様いっぱいいる感じですか?様々な神とか言ってるし。ヤオヨロズ的な?流石にそこまでは無いとしても、アカシア様が唯一神と言う訳ではなさそうだよね。この能力(?)どう考えても付与したの神様的存在だよね?やっぱり神様的存在(アカシア様?)に召喚された線がどんどん濃厚になってきたな・・・。そして数値ちょっと増えてない?気のせい?そもそも何故私が使えるんだ?妹が直接使えた方が良くない??・・・あぁ、でもそうしたら自分の事に使わなさそうだもんね。私がみーちゃんの為に使えば万事解決。アカシア様、みーちゃんの事良く分かってるじゃん。さす神。)


(この数値が高いのかどうなのか分からん。神様運営ショップってもしかしてこの右上のアプリみたいなアイコン?ブルーのお店っぽいイラストにGODってダs・・・いや、何も言うまい。ラノベ的には、タッチしちゃって万が一なんか長い説明とか始まったりしたら今は困るから、時間ある時確認するか。売ってるものもなんか凄そうだし。何も無いかも知れないけれども。安全確保してからだな。そう言えば格納の所にアイテムボックスに収納できるって書いてあるけど、私アイテムボックスが使えるって事?)


 試しに念じてみるともう一つウィンドウが開き、それにはアイテムらしきアイコンがズラリと並んでいた。


 内容をみるとどう考えてもいくつかのゲームで作り溜めていた心当たりのあるアイテムであった。


(メイカーに参考にされたゲームのアイテムを移植してくれたって事?至れり尽くせり過ぎない?ゲーム依存なら当然時間停止状態だろうし、もし食品アイテムを食べられるならしばらくは安心だよね。)


 少し検証する事にする。試しに桃のジュースを取り出す事にした。


(またイメージでいいのかな?・・・よし。)


 空中に突然現れたグラスをそっと掴んだ瞬間それ相応の重さになった。アイコンと同じように綺麗なグラスに入っていて手に持つとちゃんと冷たい。ストロー付きなのは妹も飲みやすそうで良い。


(みーちゃん桃好きだし飲みたいかも。一口毒見してから渡すか。匂いは普通に桃のいい香りだ。まずは口に含んで・・・うーん、ピリピリしたりもしないな。普通に冷たくて甘い。・・・よし、呑み込んじゃえ!うん、ちゃんと美味しい。)


 文明を感じる物を飲んだ為か、ホッとする。変な味もしないし気持ち悪くなったりもしなさそうだ。


(ただ、私が大丈夫でも子供の体でも大丈夫かは・・・いや、能力用意してくれた同担らしきアカシア様とやらを信じよう。喉渇いてるかもしれないしみーちゃん飲むかな?)


(って、みーちゃんやけに静かだな。)


 静かな妹が気になり目をやると、かなり真剣にステータスを見ている。


 先程は妹の記憶と精神と体の剥離によるストレスを減らそうと適当な事を言ったが、やはり思考能力は変わっていないのだろう。


(だからといって、完全に大人として扱うのは良くない気がする。)


 体が小さくなっている為きっとこれから抱き上げる事も多く、本人からするとできない事ばかりになるだろう。大人としてしっかりしなくてはいけないのか、子供みたいに甘えていいのか混乱させてしまうのはいけない。


(あの泣き具合からして、思考能力は変わってなくても精神は確実に体に引っ張られているだろうし。まぁ今まで通り普通に、子供扱いとかでなく妹としてたくさん話もしてたくさん可愛がって甘やかしていけばいいか。)


 元の世界の友人曰く、私は普通の子ならわがまま放題に育ちそうなレベルで妹を甘やかしてるらしいが、うちの天使な妹はどんなに甘やかそうとしても中々わがままを言ってくれない妹なのだ。


「みーちゃん、喉渇いてない?桃のジュース飲まない?」

「!のみ・・・お姉ちゃんのジュースでしょ?わたしさっきお水飲んだから大丈夫だよ。お姉ちゃんが飲むか、いらないならとっておいた方がいいんじゃない?」


(ほらね!?飲みたいみたいなのにこんな事になっても姉の分も心配できるなんて!こんなに優しい子に育って嬉しいけど、(お母さん!ありがとう!!)元の世界にいたら心配なく飲めていただろうに。)


 飲んでしまったらもう手に入らないと思っている可能性がある。


(遠慮するのは大人の記憶の所為だろうけれど、好きで幼児になったんじゃないんだから頼って甘えて当たり前なのに。)


 先程毒見した時に私自身も、甘いものや嗜好品に慣れた現代人なせいか、元の世界と同じくらいのクオリティのジュース飲んで安心からかホッとした事を思い出す。


(ラノベでよくある、中世のような文明レベルかも知れないと思い込んでる所為もあるのかもな。)


 まだ一日も経ってないと言うのに、私ですらこの様な心持ちになると言う事は、精神が更に不安定であろう妹に至っては推して知るべしである。


(みーちゃんがなるべく寂しさや先行きに恐怖を感じないように、元の世界に近いクオリティの食べ物をたくさん食べさせたい。安心させたい。元気いっぱい育って欲しい。ともかく今は、物資量的に大丈夫なんだと安心させなくては。)


「大倉庫に入れていた物が使えるみたいで、まだまだたくさんあるからいっぱい飲んでいいんだよ。似た材料があればまた作れそうだし。一日一杯飲んでも余裕で3年分くらいあるし。」


(なぜこんなに沢山作り貯めているのか。こんなんだから、そりゃどのゲームしても常に倉庫が満杯なはずだよね。今回はそれが良かったんだけど。)


「あのね、みーちゃん。体は子供なんだから、お腹すいたり喉渇いたりしたらすぐ言わなくてはダメだよ。

ちゃんとご飯食べて水分取らないとすぐ病気になっちゃうよ。きっと。私達文明に甘やかされた現代人なんだよ?その上病院があるかも分からないときた。食べ物はお姉ちゃんがたくさん持ってるから、我慢はしないって約束してくれる?お姉ちゃんの為に。」

「お姉ちゃんの為?」

「だって、みーちゃんがお腹空かせてたり病気になったりなんかしたら、心配で心配で悲しくて、きっとお姉ちゃんどうにかなっちゃうよ。万が一理不尽に死んじゃったりなんかしたら、この世界をめちゃくちゃにしたくなったりしちゃいそう。」

「ひぇ・・・、」

「まぁ、みーちゃんだからそんな事にはならないだろうけど。(愛し子的な意味でも!)」

「わ、わかった。やくそくする。」

「良かった!このジュースは全部飲んでもいいし、飲み切れなかったら残してもいいからね。少し重いからこうやって持っておくね。ストローだけお口に寄せて好きなタイミングで飲んでごらん。まぁ、がぶ飲みはお腹に良くないからステータス見ながらゆっくり飲むといいよ。」


 妹の背を左側の胸と二の腕で支えている方の手にグラスを持ち、妹の顔より少し下にストローがくるように調節する。


(これで好きな時に飲めるはず。というか、さっきから思っていたけれど、体が全然疲れないのは何故だろう?抱っこしてあやしている時も重さの負担をほとんど感じていなかったし。これも何かあるな。まぁ、後でいいか。)


 そしておもむろにもう一つジュースを取り出し、


(あ、こっちの新しい方飲ませれば良かったな。みーちゃん、ごめん。)


 妹には注意したくせに自分は一気飲みする。


(はー、美味しい。・・・ごめんて!みーちゃん、そんな目で見ないで!)


 空のグラスを倉庫にしまい、アイテムボックスの中にあるアイテムを大まかに確認する。


 アイテムの種類から推測するに、

生産とバトルの要素が半々のゲームが一つ、

生産と建築がメインで少しのバトル要素のゲームが一つ、

農場経営のゲームが一つ、

と三つのゲームがメイカーに集約されている様だ。

ただ、ゲーム内で飼育していた牛や豚、鳥はお肉になっているようだ。かわいそうだけど今はありがたい。


 溜め込み系な性分な上ゲーム三つ分とあって、食べ物の量がとても多い。贅沢しても三、四年は困る事は無いだろう。


(慎ましく行けば十年くらい行けそう。やんないけど。取り敢えず一安心だ。)


 落ち着いたところで妹を確認する。


(どれ、みーちゃんは確認終わったかな?)


「みーちゃん、どう?見終わっっエ!?どうして泣いてるの?何かあった?この数分の間に何が!?よしよし。お姉ちゃんに言ってごらん。」

「ぅ、ヒック、おねーちゃ、ごめんなさ、ぅ、うぅ、ここにきたの、わたしのせいだったっ」

「!?」

「ここ、みて・・・」


ミナモトミズキ(8)

称号:

世界の愛し子

界を渡りし者2

聖なる乙女


(やっぱ愛し子ー!聖なる乙女ってみーちゃんにぴったりの称号!)


世界の愛し子

瘴気を取込み浄化しマナとして排出する機能を持つ

浄化量は能力値に依存する。

訓練すればマナに変換された内数パーセントは自身の魔力として取り込む事が出来る。


(うわ、めちゃくちゃ重い役割じゃん。これ訓練したら魔力使い放題になるんじゃないか?チートでは?お、続きがあるって事はみーちゃんのも情報追加出来たんだ。)


世界に存在している、悪意に染まっていない生物全般に好かれやすい。但し愛し子は、悪意に染まりやすい人間やモンスター相手では直接には効力が弱い為、短命な事が多い。

愛し子は世界に1人である為、世界を巡る事が推奨される。

死亡すると次の愛し子が生まれるまで百年から数百年程時間を要する。


(やっぱ旅必須か。瘴気を溜め込んだ存在ってのは、取り敢えず敵認定でいいな。近付けない様にしたいところだ。また更に追記が・・・)


今代の愛し子は魂が輪廻から戻り受肉する寸前、魂を利用しようと魔術師が干渉してきた為次元の狭間に落ちた。

愛し子と言う特殊な魂はこの世界でなければ魂が適合出来ない為、もう少し遅ければ肉体が耐えられず死亡していた。

この度ようやく発見された為アカシアにより急ぎ召喚された。

その際、愛し子の姉の魂が守護者に適任であった為元の世界の管理者に交渉し愛し子と一緒に召喚されている。


(肉体が耐えられずって・・・!みーちゃんの体が原因不明で弱っていっていたのは知っていたけど、そこまで危なかったなんて!これからは頻繁に鑑定していこう。アカシア様、みーちゃんを見つけてくれて本当にありがとうございます!まぁ、みーちゃんが泣いている理由はこれか。)


 妹にちらと目をやると、涙を流し蒼白になっている。たまらずぎゅっと抱きしめる。


(私が守護者に適正があったのは当然だけど、こんなステータスを読んだだけで察せる程物騒な世界に妹を一人にせずに済んで本当に良かった。大体魔術師ってなんなの?何をするつもりだったの?もし生きてるなら絶対に許さない。・・・でもそれが無ければ会えなかったのか。ああ、それでも、それが無ければ例え会えなかったとしても、その所業を許せるはずもない。)


(魂に干渉出来る様な存在が万が一まだ生きているなら、戻って来た事もいずれ知られる可能性が高い。見つけ次第ころ・・・、復しゅ・・・、やられる前にやる精神で行こう。力を身に付けなければ。)


 魔術師とやらを調べるのも目的の一つに入れる。妹には気が付かれてはいけない。気を付けなければならない部分も知る事ができた。


(これ物語なら序盤で絶対教えてくれないやつじゃん。とりあえず今は、自分のせいで私を巻き込んだと思い込んでるらしい、妹を説得せねば。)



「みーちゃん、泣かないで〜。お姉ちゃんね、お母さんとお父さんには悪いけど、みーちゃんと一緒にこちらに来れて良かったと思うよ。死んだ訳じゃないしさ。」


 妹は目を合わせない。


「少しずつ体調の悪化が進行してたの、これが理由だったんだね。みーちゃんもこちらでなら生きられるんでしょう?いつかアカシア様に頼んで、如何にかしてお父さんとお母さんには元気だよって伝えて貰おう?短命になりやすいとか、心配すぎるじゃない。」


 自分のせいと言っていた。でも、書いてあった事が事実ならこれがおそらく最善だったのだ。


「もしみーちゃんだけ行方不明になったりしたら、どっちにしろ探すのにお父さんとお母さんと三人して人生使ってるだろうから一緒に来れて良かったよ。最初から守れる。人間って男も女も蹴散らしても蹴散らしてもすーぐ、新しいのが出てきてみーちゃんに意地悪しようとするからね。全く。」


 あちらでは異世界人の魂と言う異物だったから、あの扱いだったのならば、こちらでは、悪質ではないまともな人からはどうなのだろう。


「・・・大人になって段々とみーちゃんが自衛出来る様になってさ、お姉ちゃんが仕事で遠くに住んで中々会うのも難しかったでしょう。あちらではたまに帰省した時に遊びに行くくらいしかできなかったけどさ、今度はみーちゃんが大人になって結婚するまでまた一緒に暮らせる上に、旅行し放題遊び放題だよ!それにアカシア様がたくさんオマケしてくれてるから、きっと楽しいよ!ね!」


 きっと妹の傷付いた心は私だけでは癒せない。自尊心が無いに等しいのは、そう言う事なんだろう。両親と私だけではダメだったと言う事なのだから。周りに受け入れられてのびのびと愛し愛される環境が必要なのだ。


「ぅぅ、ほん、と?わたしの、せいなのに、怒らないの?き、嫌いって、ヒック、ならないの?ただでさえ、お荷物なのに。」


 妹は一度強く目を閉じたあと、意を結する様にこちらを見上げた。

 

「わたしが、居ると、お姉ちゃんも、ヒッ、危険なのに。・・・バイバイしたほうが、いいのに。」


 しゃくり上げながら聞いてくるのが可哀想で、胸が苦しい。


(お荷物なんて!そんな事!そこまで思ってたの!?)


「バカなこと言わないで!

嫌いになんてなるわけ無いでしょう!

ずーっと大好きな可愛い妹だよ!

お荷物なんて言わないで!

みーちゃんがいてくれるだけでお姉ちゃん何十倍にもパワーアップ出来るんだから!

バイバイなんてしたらお姉ちゃん無気力になってアッサリ死んじゃうよ、きっと。

・・・バイバイは大人になって、みーちゃんが素敵な旦那様を見つけるまでしませんからね!」


「・・・ぅあーん、ごめんなさ、みずきも、おねーちゃ、だいしゅきぃ、ヒック、ぅー」


「ふふっ、ありがとう、こっちの世界で楽しい事いっぱい探そうね。アカシア様もついてるし!」

「・・・ヒック・・・、アカシア様・・・?」

「称号のところにアカシア様に召喚されたって書いてあるよ。驚いて読み飛ばしちゃったかな。みーちゃんが死んじゃうと思って急いで召喚してくださったみたいだから、お母さん達にお別れは言えなかったけど、責められないよね。きっと優しい方だよ。もしそうでなくても、一緒に喚んでくださった事は本当に感謝しか無い。」


 泣いている妹をぎゅーっと抱きしめる。


(記憶は大人とは言え、こんなに小さいのにあんな事思ってたなんて。記憶が大人なのマジで厄介かもしれない。いい子過ぎるのも問題だ。みーちゃんの心の健康が心配。もっと図太く少しは自己中になって貰わないといけないな。)





 しばらくそうしていてふと思い出したが、ちらに来てから結構時間たっているはずだ。影の位置的には地球で言うところではそろそろお昼の様に思う。こちらでは何時くらいなんだろうか。


(精神的にも疲れただろうし、気力を回復させる為にもとりあえずご飯食べさせたらお昼寝させなきゃ。)


「お目々赤くなっちゃったね。ちょっと冷やして、ご飯食べよう。」


 アイテムボックスから新しいハンカチを取り出し、手元に冷えた水球をイメージする。


(よし、出た。)


 浮いたままの水球にハンカチを浸し軽く絞る。ハンカチをみーちゃんの目元に当てようとすると、水球に驚いたのかおっきなお目々を見開いて少し水量の減った水球を見ていて、涙は止まった様だ。重畳、重畳。


「お姉ちゃん、魔法使いだ!」

「はーい、お目々閉じてくださーい。目元冷やそう。」

「・・・あい、・・・きもち」

「ふふっ、そのまま持って当てておいてね。」


 言いながら、アイテムボックスから一番小さい簡素な木製のテーブルを取り出す。


 グラスを二つ取り出したが、念のため洗いたい。


(魔法で出来ないかな。やってみよ。水魔法で洗い上がりのイメージでいけるか?呪文は・・・)


 洗浄


 念じると、青っぽい膜がグラスを薄く覆い一瞬で消えた。


(見た感じさっきよりクリアになってる気がするし大丈夫かな。自分のイメージ力を信じる。)


 そこへミネラルウォーターの残りを注ぐ。水魔法で小さな水玉を出し、分子の動きを止めるイメージをすると氷になった。


(成功だ。義務教育ありがとう。)


 直径二センチくらいの氷をそれぞれのグラスにいくつか入れた。一度作れると二回目からは氷のまま出せる様だ。


(便利。次はご飯だね。まぁ、これくらいの年齢なら、大体大丈夫だよね。あ、鮭の雑炊がある。これでいいかな?)


 時間停止されてた為暖かい。


(ふむ、ちっちゃな木製スプーンが欲しいな。魔力は・・・大丈夫か。HPとの差がエグいくらい多かったし。)


 木製スプーンを取り出し・・・子供用の大きさをイメージする。


(属性分かんないけどおそらく無属性?取り敢えずこのくらいのサイズくらいに縮小!)


(・・・出来ました。いいのかな?魔法何でも出来るじゃん?万能過ぎない?攻撃に転用されたらやばいやつね。いや、それは後で考えよう。みーちゃんのご飯が先!)


「みーちゃん、お目々冷やせた?ご飯準備できたよ。」


 目元からハンカチを外すのを見ながら、目元の赤味が引いているのを確認する。


「大丈夫そうだね。はいこれスプーン。あ、お行儀悪いけど、子供用椅子なくて高さ足りないからお膝に乗ったまま食べてね。時間出来たら、みーちゃん用の椅子用意しなくちゃね。」

「はぁい。お姉ちゃんのごはんは?」


(うーん、取り敢えず同じでいいか。)


「これ食べまーす。はい、じゃあ、」

「「いただきます」」

「はい、召し上がれ。」


(おお、普通に美味しい。ちゃんとお出汁がきいてる。)


「お姉ちゃん、これおいしい!」

「本当?良かった良かった。大人用の量だから残していいからね。食べられるだけいっぱい食べて。」


(みーちゃんも美味しく食べられてるみたいでよかった。)


 おしゃべりはしないけど、目が合えばにっこりしてくれる妹がかわいい。


(ファンサが尊い。)


 食べ終わったら森の中に移動して、場所を決めよう。そこに結界はったら、お家建てるのに取り掛かろうかな。その間はみーちゃんはお昼寝タイムだ。




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