私の妹、前世天使かも知れない(妄想)もしくは心の清らかななにか
自分を落ち着かせたはいいものの、妹の先程の態度はあの時を彷彿とさせた。
(また私から離れようとしてる、よね。それがいつかは分からないけれど。構い過ぎてウザがられてる?いや、でも一昨日には嫌なら嫌って言うからいいって言ってたし。それに、そう望んでると言うよりも、何か諦めたような・・・。となると?あれかな、初日に、みーちゃんと一緒にいると私も危険とか言って泣いてた。今更って言うか、その危険から守る為にいるんだけど。そこん所イマイチ分かってないんだよねー、この子。悪いとか思ってんだろうなー。そしてその罪悪感の様なものによってそのうちすれ違いが起こり、何らかの事件が起こるんでしょ?こんな分かりやすいフラグへし折らずしてどうする。とは言え、遠回しに言ってもスルスル逃られるだろうし、直裁に言うか。)
「みーちゃんさ、またなんか変に考えてお姉ちゃんと離れようとしてない?」
「え?えっ?!」
「分かんないとでも思ってる?」
「な、きゅ、なんで?」
「なんで、急に、かな?みーちゃんの態度がそうだったからとしか。で?どうなの?因みに嘘ついても分かるからね。」
(別にそんなスキルないけど。まぁでもみーちゃんの事なら大体分かるんだなー、これが。)
妹は自身を落ち着かせる為か、細く息を吐いた。私にバレないとでも思っているのだろうか。
「思ってないよ。」
「ハイうそー。嘘分かるって行ったよね?なんで嘘つくの?」
「あ、で、でも!嘘じゃない!別に今すぐって言うつもりじゃないし、あっ、・・・。」
「やっぱりね。ねぇ、お姉ちゃんがなんでここにいるか忘れたの?守護者なんだよ?守る為に一緒に来たのに、どっか行けって言うの?お姉ちゃんの事邪魔って事?」
「ちがう!そんな事思ってない!」
「でもそう言う事でしょ?守護者なのに守護対象と離されるって、お姉ちゃんにはみーちゃんを守れないからどっか行ってって事じゃん。それにアカシア様を一緒に助ける約束もしたのになかった事にするんだね。お姉ちゃん、アカシア様にみーちゃんを守りますって誓ったのにそれも破らせるんだ。」
「あ・・・、ちがう!だって、改めて考えたら、私といると、お姉ちゃんはしなくていい苦労を沢山するだろうし、危険だし・・・。それに、異世界トリップの驚きで忘れてたけど、私が手がかかるせいで、お姉ちゃんの人生を、今まで搾取、してきたから、解放し」
(は?)
「ちょっとまって。何それ?人生を搾取?何言ってるの?」
「え?だって、普通の姉妹はこんなに構ったりしないって。私が手がかかり過ぎるから、手間もお金も時間もかけさせられて、搾取されるお姉ちゃんがかわいそうだk」
(クソクソクソクソ人間どもがああああああああ!!!)
魔力が渦巻くのを感じる。だめだ。妹が目の前にいるのに。怒りが大き過ぎて魔力を落ち着かせるのが難しい。だが、逆にこの作業がアンガーマネジメントの様な作用を起こし、10秒ほど経つ頃には何とか抑えられた。
「みーちゃん。」
「ヒッ」
「・・・ごめん、ごめんね。何度もこんなの、怖いよね。地球の人間どもが憎くて、ってこれも、言い訳でしかないけど。ごめん。はぁ・・・、お姉ちゃん自身がみーちゃんを怖がらせてたら守護者も何も無いよね。・・・お姉ちゃんの事、怖くなっちゃった・・・?」
(言わないだけで、私を恐ろしいと感じているから離れたいのでは?)
地球でも外野に対して憤怒する事は度々あった、だが今は何と言っても私達には魔力があるのだ。しかも二人にこれほど魔力に差があれば、生存本能からしても私を恐ろしく思うのも道理と言うものだ。
少し前には信頼されていると感じていたのにも関わらず、もう今はそのような事があったのは私の妄想だった様な気がしてくる。
「あっ、怖くない!お姉ちゃんを怖いとは思ってない!」
本当だろうか。私の態度が圧をかけていて言わせてしまっているのでは?でも、嘘はついていない気がする。けれど、この感覚ももはや信用していいのか分からなくなって来る。
(はは。みーちゃんに嫌われたかも、という想像だけでここまで自分が不安定になるとは。精神耐性スキルどうした。やっぱ働いてないじゃん。順応って何に順応すんのよ。あのスキル意味なくね?・・・このイライラ、もしかして、私も15歳の精神構造になってる?今更思春期?ないわー。)
「はは、そっかー。」
(ってそうじゃない。不味いな。お互いを信頼出来ないと、この先ちょっと他者の陰謀に触れただけでフラグが乱立する可能性が高くなると言うのに。)
「本当だよ!お姉ちゃんが怒った時の魔力は少し怖いけど、お姉ちゃん自体が怖い訳じゃ無いもん!お姉ちゃんが私を絶対に傷付けないのは知ってるもん。本当だよ。お姉ちゃん、信じて。」
(はぁーーーーー。情けな。みーちゃんにこんなフォローさせて・・・。どんだけ不安定に見えてんの?)
「そっか、そうだよね。さっきそう思ったばかりなのに、疑ってごめん・・・。それと、お姉ちゃんのああいった怒りはみーちゃんには向く事は絶対に無いから、それは信じて欲しい。」
「うん。こっちに来て、魔力を感知する事にまだ慣れてないからビクビクしちゃってるけど、どちらかというと驚きに近いし、お姉ちゃんがお姉ちゃんの意思で、私にとって悪い事するなんてあり得ないって、ちゃんと知ってる。」
(改めて言葉にされるとこんなに嬉しいなんて。)
妹の言葉が胸に染み込んできて、意味もなく涙が滲みそうなのを瞬きで散らす。
「・・・じゃあ、みーちゃんがお姉ちゃんと離れようとする理由は、さっき言ってた内容のせい?罪悪感とかからって事?」
「・・・うん。さっきお姉ちゃんがなんで怒ったのかよく分かんないけど、お姉ちゃんの人生の大半を私に使ってくれてたのは本当の事でしょ。いい加減、お姉ちゃんはお姉ちゃんの人生を歩んで欲しいって言うか、自分自身に時間とか諸々を使って欲しいって言うか。うまく言えないけど、そんな感じ・・・。」
「あー、それねー・・・。そもそもの解釈が違うんだよね。お姉ちゃんはお姉ちゃんのやりたいようにして生きてきたから。別にみーちゃんに縛られたり搾取されたりしてないんだよね。」
「???」
「んー、例えばさ、お母さんが疲れてそうな時、みーちゃんよく肩揉んであげてたじゃない。」
「うん。ふふ、そうだったね。お母さん、すぐ肩凝るから。」
「体が元気だった頃は、お姉ちゃんよりよっぽどお手伝いもしてたよね。」
「うん。お母さんといるの居心地よくて好きだったし。お手伝いする時間も好きだったな・・・。」
「それって義務感でやってたの?頼まれてやってたの?労力使ってた?縛られてたと思う?」
「まさか!労りたいなとか、揉んであげたらちょっとでも癒されるかな、とか、良くなりますようにって、思って、・・・。」
「分かってくれた?家族に注ぐ無償の愛情ってそんなもんだよ。お姉ちゃんも一緒。構いたいから構ってたし、みーちゃんに穏やかに幸せを享受して貰いたかったからそうしてただけだよ。ぶっちゃけ、みーちゃんが優しいからいい風に受け止めてくれてるだけで、一般的には過干渉らしいから。お姉ちゃんの単なるエゴでもあったんだよ。」
「えええ?あんなに大事にされて嫌な人とかいるの!?」
「そりゃいるよ!世の中姉妹仲が良好じゃ無い場合の方が多いらしいからね。」
「そ、そうなんだ。お姉ちゃんを嫌いになるなんて、想像できない・・・。」
「ん゛っ・・・」
(かっっっっわい!!!真面目な話してるから言えないけど!私の天使!プリンセス!かわい・・・。)
「まぁ、お姉ちゃんの方がみーちゃんの事大好きだけどね。って事で、分かってくれたかな?みーちゃんがお姉ちゃんを嫌になったとかじゃ無い限り離れないよね?」
「あっ、うん、はい。」
「良かった!これで心配事は解決。めでたしめでたし。」
「もー、お姉ちゃんに説得されると、どんどんそれが正しい気がしてくるから困る!・・・でも納得したから約束破らないようにするよ。」
「あー、よかった。知らないうちにみーちゃんがいなくなったりしたら、周りに穏やかに聞いて回れる自信がないし。正直どうなるか自分でも分かんないんだよね。初等部の時なんて全員どうしてやろうかと思って抑えるの大変だったんだから。」
「ひえ」
(まぁあの子達も、生きてるけど色々あって全員元気とは言えないし。二度と関わって来なかったからいいか。忘れよう。)




