電気風呂な魔力とは
高濃度魔力水(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)
取り込むと魔力が回復する
何度タッチしても追記が出現しない。一体どう言う事なのか。非常に嫌な予感がする。
「みーちゃん、鑑定してくれた?取り込むと魔力が回復するって言う以外に追記が出ないんだよね。何かそれ以外に出てない?」
「ううん、出ない・・・。これって、もしかしてだけど、同じ様な物が今まで作られたことがないとかあり得る?」
「うわ、やめてよ。」
言われたのはやはりというか、自分でも過ぎったが、違って欲しいと考えた事だった。
「そのせいで、見て分かる事しか叡智とやらのデータベースにないとか・・・、まさかそんな事ないよね・・・?いくらなんでも。」
「・・・確かにこんだけ魔力入ってれば、飲むと魔力が回復するのは分かるって言うのは鑑定しなくても分かるか・・・。って事は何かにかけたり、飲ませたりしたらどうなるか、って言うのは、魔力の回復以外の効果が知りたければ自分達で検証しないと分かんないって事?」
「他にも可能性あるだろうけど、一度そう思ってしまったからそうとしか考えられなくなっちゃった。」
「お姉ちゃんも。そして自分がやる事が一々チートじみててでめんどくさくなってきちゃった。」
顔を見合わせてお互い苦笑いだ。
「まぁ、内容としてはただの水と自分自身の魔力だけだから危険はないだろうし、どのくらい回復するのか検証しようかな。」
となると、先ずは現在のMPの確認だ。
MP 1189523/1290500
「うわ、101000弱くらいMP減ってる。」
「じゅうまん・・・。魔石に含まれるMPはどのくらいなんだろうね。含まれる魔力量とかを調べられる魔道具とか作んなきゃだめかなぁ。」
もう一度魔石を確認する。
魔力石(⭐︎)
魔力がこめられた石
内包魔力は多いが、均一化されていない為脆い。使うと壊れる。
内包魔力量は記載があればよかったのにと、がっかりしながらもしつこくもう一度タッチしてみると、まさかの追記が出た。
魔力石(⭐︎)
魔力がこめられた石
内包魔力は多いが、均一化されていない為脆い。使うと壊れる。
内包魔力:10000
(ん!?さっきは出なかったのに、んん、・・・なるほど?知りたい内容を意識して使わないと出ない場合があるって事?って事は、こっちも知りたい事を意識しながら鑑定すれば・・・?)
高濃度魔力水(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)
取り込むと魔力が回復する
内包魔力:50000
「んはっ!?いやおかしいおかしい。」
「お姉ちゃんどうしたの?」
「いや、内包魔力量が知りたいなと思って鑑定し直したら、どっちも追記が出たのはいいんだけど・・・。」
「ん?じゃあ、鑑定って、知りたい内容を指定して鑑定しないといけないって事・・・?」
「そうみたい。で、問題の量なんだけど。石が10000で魔力水が50000だったんだけど、これおかしくない?床に溜まってる魔力、そんなに水に注いでないよね?」
「うーん、そう言われればそうだね・・・。減った量としては五分の一くらい?」
「計算おかしいよね?使ったMP100000の内、石には10000しか注がれてないのは悲しいけど、なら床に溜まってる魔力は90000の筈なのに、そこから目測で五分の一使って作った魔力水の内包魔力が50000って。」
「確かに・・・。それなら多くても20000くらいになる筈だよね。」
「もーなんなのこれ。考えるのめんどくさくなって来た。」
何も考え付かなくて妹に目をやる。妹は頬に人差し指をあて考え込むようにしていた。徐ろに顔を上げ少しすると、ハッとしたように周りをキョロキョロと見回し始める。一体どうしたと言うのか。
「みーちゃん、どうしたの?キョロキョロして。」
「お姉ちゃん、空中の、んーと、魔素って言えばいいのかな。空中に漂ってた魔力が少し少なくなってるから、お姉ちゃんも見てみて。」
言われて、慌てて魔力視を使うが、どう変わったのか分からなかった。強いて言うならば、言われてみると、窓越しに見る外よりは魔素が少ない気もしなくも無いかな?と言う程度だ。そもそも最初を確認していないのだから分からない。
「ごめん、最初をそもそも確認して無いからどう変わったか分かんないや。」
「あー、そっか。私ほぼずっと使ってたから。まぁでも、計算が合わない原因はこれだと思う。理由分かってよかったね。」
「ああ、えーっと、増えた分は、空気中の魔素を取り込んだからって事か。」
原因が解った上に、飲まなくても魔力水の回復量も解った。後は、床に漂っている魔力で魔力水を更にいくつか作って使い切るだけだ。
「はぁ、残りの魔力を使い切らなきゃだから、後何回か作るわ。上からまた注ぐの手伝ってくれる?みーちゃん。報酬は完成した魔力水ね。(押し付け)飲んでもいいし、後々調合で実験したりしてもいいよ。」
「手伝うのはいいけど、報酬とかいらないんですけれ「もしもの為に持っておいたらどうかな?他に欲しい物があれば勿論そちらでもかまわないけどね!」・・・ありがと。魔力水を貰っておきます・・・。」
お手伝いを頼むと快く了承してくれた。一先ず、果実酒などを漬け込めそうな大きなガラスコルクのポットをアイテムボックスから幾つか取り出し、洗浄した。その内の一つに早速、未だに浮かべたままの魔力水を封入する。ポットには劣化速度減少を付与済みだ。
さっさと終わらせようと、早速水球を出現させかき混ぜる。すると何も言わずとも妹が、先ほどと同じように魔力を掬い上げ注いできた。やはり魔力を注ぎ始めるとかき混ぜるのが一気に重くなる。かなり辛いが、そのまま頑張って混ぜ続けると暫くして完成した。
同じ作業を3回繰り返し、終わったとぐったりしながら部屋内の魔力を確認すると、殆ど無くなっていた。この様子なら、もうドアを開けても大丈夫だろう。
妹に目を向けると、彼女も疲労している様だった。それもその筈、最後などはボウルで掬えないほどに減っていたためか、膜を逆さにしたフラスコの様な形に変形させ、どうやったのか、まるで掃除機でゴミを吸うかのようにそのフラスコに魔力だけを吸い込み、それを注いできていたのだ。
妹の魔力の扱い方や操作がどんどん進化している気がする。完全に使いこなしたらどんな風になるのか、予想もつかない。
「取り敢えず、使い切ったね・・・。探索は、お昼ご飯食べて休憩してからにしよう。」
「うん、そうだね。今行っても疲れてただの散歩になっちゃう。」
そう二人とも疲れを滲ませながら、お昼ご飯をとりそのまま少し休憩した。精神的にも回復したところで、いざ、と言う事になった。
いつになったら出られるのかと心の中で若干悲観していたが、意外と早いものである。
二人は準備を整え、結界の前にいた。
「よし、じゃあ行ってみますか。」
隠蔽膜を作り、表装魔力を調節した。
「んー、強さレベルはこれくらいでどうかな?」
因みにこの表装魔力だが、悲しい事に、言わずもがな私は細かい設定は苦手である。なので、合わせるのは魔力操作の上手い妹にお願いしてしまった。姉としては非情に情け無いが。まぁ、妹は得意分野が出来たとかなり喜んでいるので良い事だとしておこう。
「いいと思う。ものすごく弱い個体って感じるから、逆に魔物がよって来そうだけどね。餌として。」
「ふむ、まぁ、結界でどうにでもなるだろうから。たおせるなら倒してレベル上げられたら御の字、と言う事だね。レベルが上がれば、みーちゃんの紙装甲も改善するかもしれないし。」
「そうなるといいなぁ。一応MPガードがあるから、即座に危険って訳では無いけどね。」
「よし、じゃあ行こう。おいで。」
「はぁい。」
妹を抱き上げ、なるべく小さく結界をはり、それに結界自体への隠蔽と危険があるもの以外は透過する様に付与する。なので二人の弱々しく設定した表装魔力は筒抜け、と言う訳だ。
探知マップを表示させると、少しだけ胸をときめかせながら、ついに外へ踏み出した。




