無自覚チートが許されるのは中学生までだよね
目を覚ますと、案の定脇腹に温もりを感じ、布団をめくるとまたもや妹が丸まってくっついていた。昨日もすんなり寝付いたし、沢山寝ている筈なので今日は起こす事にする。
「みーちゃん、朝だよー。起きてー。」
声をかけ少し揺るともぞもぞと動き、ゆっくりと妹の目が開いた。
「おはよ。朝だよ。」
妹の柔らかなサラサラとした手触りの髪をすくと、少しぼーっとした様な目がこちらに向いた。
「おあよーございます。」
のろのろとあいさつしながら起き上がる。
「さ、顔洗ってご飯食べよ。」
「うん。」
どうやらまだ完全に覚醒していないようだ。呂律がまわっておらず可愛らしい。まぁそれも、歯を磨いて顔を洗ううちにしっかり目覚めたようだった。ちなみに今日の妹の服はアリスを彷彿とさせるようなブルーのエプロンドレスだ。
(はぁ、可愛い。どうしてそんなにお目々が大きいの?どうしてそんなにまつ毛が長いの?どうしてそんなにほっぺがモチモチなの?あぁ、縞々靴下が無いのが残念でならない。)
口に出すと、また微妙な顔をされるので口には出さないでおく。
「おでかけ!」
「はいはい。ご飯食べてからね。」
「はーい。」
着替えてダイニングに向かいテーブルにつくと、調理済みのパンケーキとヨーグルトっぽいトール、ブラッドオレンジに似たオリティと言う果物のジュースを出し、朝食を済ませた。妹はオリティのジュースは気に入った様だった。
「何時くらいからお外見にいく?何時って言ってもここには時計ないけど。」
シロップのたっぷりかかった甘いパンケーキを幸せそうに食べていた妹に希望を聞く。満足そうにご馳走様をした妹は私が用意したお茶を飲んでいた。昔から私の真似をして飲んでいた為か、妹もすっかり紅茶党だ。二人とも茶葉の好みはそれぞれ違うけれど。両親は緑茶派だったな、とふと思い出しながら、私も食後の一服に一緒にお茶で一息ついた時だった。
「そうだ!時計!お姉ちゃん!どうしよう・・・あの日、私腕時計してた筈なのに、気付いたらつけてなかった・・・!」
「腕時計?お父さん達からのプレゼントのあの?」
「どうしよう、大事にしてた筈なのに・・・、どうして?忘れるなんて・・・」
突然顔色を変えた妹が叫んだ。だが、その事については私には心当たりがあった。
「みーちゃん、腕時計、多分最初からこっちの世界に一緒にきてないよ。」
「え!?・・・そんな筈ないよ!だってワンピースは着たままだったしバックもあったんだよ!?コンビニの袋も!」
青褪めた顔色のまま強めの語気で反論してくる。珍しい。まぁ、それもプレゼントについてならば仕方の無い事だろう。世界を隔たってしまった、両親へのよすがのような物なのだから。
「うん。それなんだけど、多分文明が違うのかなって予想してるんだ。もしくは本当に中世レベルの世界観か。何故かと言うと、お姉ちゃんのスマホもノートパソコンも消えてるから。」
「えっ!?ノートパソコンってもしかして、」
「そう、キャリーケースに入れてたのに無いならそう言う事じゃない?落としようもないでしょう?」
「そんな・・・、でも、時計はプレゼントなのに?排除されたって事?言われたらちゃんと隠すのに・・・!」
何故かそこで、警戒アラームのようなものが私の中で鳴った気がした。
「それを直接伝えられないからでしょ。だって今までアカシア様から説明らしきもの何も無いってそう言う事だと思わない?憶測だけど、みーちゃんのこと大事に思ってそうなのに。まぁアカシア様の事だって、全部ステータス鑑定からの当て推量だけどさ。」
一度そこで区切る。ショックを受ける妹は可哀想だが、それに付随して私が気が付いた事を伝える事にした。
この世界で妹が健全な精神のまま生きていくには、アカシア様を恨むような思考回路にならない方がいいと感じたから。アラームはおそらくこの事だ。アカシア様からの警告か?まさか私はアカシア様に精神操作でもされているのか?と一瞬訝しんだが、違う。これは私自身の本能の様なものからの警告だ。何故かは分からないけれど、そうだと理解できる。何度か発動しているこの、理解力と言うべきか、直感の様な能力は一体何なのだろうか。まぁ、今はそれについては後回しだ。
フォローするのは別にアカシア様の為では無い。どうしたって、妹は愛し子なのだ。一度傾いた印象をニュートラルに戻すのは難しいから。勘違いの様な事柄で負の感情に囚われてほしくない。全て聞いて、それでも嫌いになるなら仕方の無い事だけれど。
「伝えられる手段が無いか、なんなら聖女召喚テンプレから想像すると、大分弱ってる可能性もあるし。お姉ちゃんとしては、長い事愛し子がいなかった可能性が高いと思ってる。私達のチートっぷりの割に一向に接触してこないって言うのが、何と言うか、残りの力をそそいだ感が拭えないんだよね。」
「そ、それは、確かにお姉ちゃんのチートっぷりが、ラノベよりひどい気がしてるけど・・・。」
「最悪、私達レベルがこの世界の普通って言う可能性もあるにはあるけど。」
「何それ、怖過ぎるよ・・・!能力が同程度なら、使いこなせてない私達が一番弱いって事?怖い!」
「いや、最悪の想像であって、可能性としては低いと思ってるよ。」
ぎょっとした様に目を見開き震える妹を宥める。まるっとした可愛い頭を撫でたかったが届かない。
「どうして?」
「魔物だよ。魔物。私達から、人の手の入ってない森の、最深部の魔物が逃げるんだよ?この星を支配してる生命体が私達レベルなら、それこそ魔物を恐れる必要も無さそうだし、資源の宝庫である森を放置するのはおかしいと思うんだよね。資源のいらない生活とかして無い限り。ステータス鑑定から感じた内容ではそれは無さそうだし。だから、この世界の、地球で言うところの人間、の様な支配生物の一般的な個体って、ここの魔物と気軽に戦えるレベルは無いんじゃないかなと思うんだよ。」
「って事は私達チート説が濃厚って事?」
「まぁ、その可能性が高いだろうなとは思ってるよ。」
妹はホッと息をついた。きっと妹の事だからチートに固執している訳ではなく、知的生命体に遭遇するイコール即生命の危機、では無さそうと理解した様だ。
「話戻すけど、アカシア様、そんなにまずい状況なの?」
「んー、さっきのはテンプレからの想像だけどね。他にも理由はあるけど。あれはあくまで想像。聖女召喚とかが行われる時って世界が困ってる場合が多いじゃん。って言う事なだけ。まぁでも、今回は多分みーちゃんの為だからそれは関係ないんだろうけどさ。」
「じゃあもう一つの方は?」
「みーちゃんのステータスかな。愛し子は狙われやすくて死にやすいって書いてあったじゃん?そう書かれる程、今までそうだったって事なら、愛し子が生まれても毎回まともに浄化する前に亡くなってる可能性が高いな、と思って。だから多分、この世界やばいとこまできてるかも知れないと思ってるんだけど。だからなおさら注ぎ込んだ感が拭えないんだよね。」
「・・・そんな、・・・それなら、私早く旅立って浄化しに行った方がいいのかな・・・。」
「うーん、でもそれで危険な目に遭うのは本末転倒だろうから、そこまでは気にしない方が良いよ。やれる範囲でやった方がいいんじゃない?それに、アカシア様が元気いっぱいで力漲ってて、チートあげても余裕なだけかも知れないし。まぁそれだと、召喚のタイミングでみーちゃんに接触して来ないのおかしいなとは思うけど。」
「どうして?」
「『神は地上に直接には干渉できない』って言うテンプレ通りなら、タイミングはその時しかないでしょ。あちらとこちらの境なんだから。」
「じゃあやっぱりまずい事になってる可能性が高いんだ・・・。」
「まぁ、そうだろうねぇ。」
妹はそこで目を閉じた。しばらくして目を開けると、何かを決意したような顔をする。一体何を決めたと言うのか。嫌な予感がする。
「っ・・・、どうしたら、力になれると思う・・・?」
「・・・、浄化もあるのに、それも頑張るつもり?そこはみーちゃんの仕事じゃないよ?」
まずい、これはよくない傾向だ。恨まない程度に伝えられれば、と思っただけなのに。
「だって、そりゃ、勝手にお姉ちゃんを巻き込んだ事については思う所はあるけど。私を大事にしてくれる人がいるなら私も、って、思っちゃうよ・・・。家族とハルお姉さん達以外にそんな人いなかったし・・・。」
家族と幼馴染以外に久しぶりに心を開こうとしている妹にとても複雑な気持ちになる。幼い頃から、周囲の悪意のようなものに晒され続けていた妹は、私達以外には壁を作っていた。性根が優し過ぎる為、もちろんひどい態度をとったりはしないが。だから、自分を大事に思ってくれる、と言った様な存在は妹にとって貴重なのだ。だからこそ喜ぶハードルも低い。
とはいえこれは私の失策だ。今思えば、事あるごとにアカシア様を褒めすぎたかもしれない。同担の気配を感じて気を抜いたのがいけなかったのだ。
「うーーーーーん、そっかぁ・・・。(そこに手を出そうとすると、人間を適当に扱えなくなるから、めんどくさいっちゃめんどくさいんだけど。みーちゃんの希望はなるべく叶えてあげたい姉としては仕方ないなぁ。)」
妹がそう行動すれば守護者である私ももちろん巻き込む。おそらく、その考えに至った為だろうか、こちらを伺う様にチラチラ見上げてくるのは卑怯の一言に尽きる。可愛過ぎるだろう!
色んな感情に支配されるが、結局の所、どうあっても妹には甘いのだ、私は。
「はぁ、仕方ない。」
私がそう口に出すと、妹の表情がパッと明るくなった。
(くそ、かわいい!あーあ、やるしかないかぁ。)
「力になる方法としては、ね、すぐ分かる範囲で言うと、生物のアカシア様への信仰心を強化する事と、やっぱ浄化だね。」
「そうか、神様だから・・・。」
「そう、信仰心はね。それと、なんで浄化かって言うと、この星がおそらくアカシア様の体の様なものだろうし、浄化して健康になるのが普通に考えて一番じゃないかな。だから信仰心はその後、浄化がひと段落ついてからでもいいと思うよ。」
そこで一度止め、冷えてしまったお茶で口を潤す。
「ただ、信仰心を高めると言うことは、布教する事にもなる。私達自身も信頼を得ないといけなくなるから、他者をぞんざいに扱うことは出来なくなるよ。敵も只排除すればいいって問題じゃなくなるかもしれない。不信を抱かれる事も避けなくちゃいけない。ただ浄化して回ればいいだけじゃなくなるから、すごく大変だよ。危険も伴うだろうし。それでもやるの?」
「やりたい。」
「こんだけ脅してもだめか。しょうがないなぁ。まぁ、浄化終わったら何か対価もらお。アカシア様が回復したりして接触してきたらみーちゃんも交渉してよね!」
「・・・お姉ちゃん、ありがとう!巻き込んでごめんなさい。でも、私がいる意味があるなら頑張りたいの・・・。」
「(あー、そう言う感じだったのね。)生きててくれるだけでお姉ちゃんとしては充分意味あるんだけどねぇ。」
「ありがと。それは素直に嬉しいけど!やれる事があるならやりたいの。それはそうとして、お姉ちゃんなんでそんな色々分かるの?」
「何でと言われても・・・うーん、推測もあるけど、一番は、そうだと解る、って言えばいいかな。直感力みたいな?話してると、段々そう感じてくるって言うか。自分でもよく分かんない。これ、ちょいちょい発動してんだよね。」
「そっか・・・、じゃあそれなら、そう言う事なんだね。うん、じゃあ私、頑張って早く浄化の旅に出られるようにしたい!」
「分かったよ・・・。じゃあ一先ず、探索行かなきゃね。」
「そうと決まれば早く行こう!」
椅子から降り、腕をひいて催促してくる妹を宥め、テーブルの上を洗浄してアイテムボックスへしまうと、立ち上がる。
「探索に行くのはいいけど、お姉ちゃん魔力また使わないと隠蔽膜使えないよ。何に使おう。それが終わって探索行っても、今日は長時間は滞在しないよ?」
「うん。もちろん分かってるよ。それと魔力使うのだけどさ、魔力を結晶化させるって言うのはどうかな?」
「結晶化?」
「うん。」
「そんな事出来るの?」
「分かんない。でもお姉ちゃんならやってみたら出来そうだなと思って。ゲームとか物語で魔物と言えば、体の一部とか魔石をドロップしたりするじゃない?あれって体の中に魔石があるんじゃないかって思うんだよね。心臓とか、核になる部分とかに。体の一部分をドロップするのは、そこが第二の核みたいになってて特別濃い魔力が詰まってるから、とか?かなって。」
「核かぁ。」
確かに、体の一部分や魔石をドロップすると言うのはよくある設定だ。メイカーのスキルの元になったゲームの一つもそうだった。
「それをもし作り出せるなら、素材として魔石買わなくても良くなるよ!お姉ちゃん魔道具作りたいんでしょ?魔石大量に必要になるんじゃない?」
「確かに!何と言う事だ。寝ればただで回復する余ってる魔力を有効活用出来るし、試す価値は十分あるね。」
「まあでも、最初から魔力を物質化させるのは難しいだろうから、小石とか水とか媒体に注いで練習するのも良いかも。小石とかならいいかげんに注げば割れたりしそうだし、魔力操作の練習にもなりそうじゃない?そうやって練習して、魔力を物質化するイメージを作れれば早いんじゃないかな。」
「よし!んじゃ、作業部屋行こう。石材なら沢山あるんだよ!」
「石材?外で小石を拾ってこようかと思ってたんだけど・・・。あるならいっか。私も一緒に練習するからがんばろ、お姉ちゃん!」
(隠蔽膜もさっさと張れない未熟者な姉のせいで、探索に行けないと言うのに優しい・・・。この感じなら昨日の塩対応は調合に集中してただけかな。うう、みーちゃんに応援されて出来ないなど、みーちゃんが許しても全私が許さない!直ぐに習得してみせるからね!)
ウキウキとした足取りで作業部屋へ妹が先導する。こちらにきてから何もかも初めての事ばかりで楽しいんだろうか、と想像した。私も同じだから。
ただ、妹は一向に両親の事を口に出す様子が無い。先程の腕時計の時も両親については言ってこなかったし。このまま放置して大丈夫だろうか?少し不安が過ぎる。けれど今はただ、本当に楽しそうにしているのもあってそれを口に出すのは憚られた。
妹が言って来た時がその時だと決めたはずなのに、何度も逡巡してしまうとは情けない。その時にしっかり支えればいいだけだと決めたはずなのに。
つらつらと考えていると作業部屋に着いたので、思考を切り替える。
「石材って言うとこんな感じの」
言いながら、テーブルの上にアイテムボックスから取り出した、1立方メートルのそれをテーブルにドン、と置いた。頑丈な筈のテーブルが軋む。
「物になるんだけど。」
「・・・お姉ちゃん、これが魔石になったらやばい事だけは私でも分かるけど・・・。」
「んなっ、まさかこのままはやらないよ!勿論砕くつもりに決まってるでしょ!」
「・・・一応聞くけど、どうやって?」
「ん?こうやっ!てっ!」
妹に答えながら全身に身体強化をかけ、更に拳にかなり強くかけた。
(怪我したら嫌だしね。)
そのまま、一時期習っていた格闘技を思い出させるフォームで石材を軽く殴る。
我ながら綺麗に、謂わゆる真中に当たった、と思ったら、あ、と思う間も無く石材は粉砕され、四方八方に散らばってばしまう。と、思いきや石材を覆うように瞬時に半透明の膜が張られ、広範囲に飛び散ることはなかった。妹の魔法のようだ。
「そんな事だろうと思いました。」
中の砂埃が落ち着いたの見計らって膜を消しながら呆れた様にそう言う妹に、バツが悪くなり謝るしかない。
「ご、ごめん。まさか小娘のパンチごときでここまで砕けるとは思わず・・・。せいぜいヒビが入るくらいだと思ったんだけど、おかしいな。」
「これでどの口が脳筋じゃないとおっしゃるんでしょうね。・・・はぁ、でもこれがお姉ちゃんだもんね。」
「いや、あの、今回はたまたま、ほら道具がないからさ。仕方なく無い?あのハンマーでこれ叩いても、用途がちがうからこのまま変わらないだろうし。」
「・・・まぁ、結果良ければって事にしてもいいけども。あ、お姉ちゃんこのくらいのサイズからためしてみたら?」
切り替えたのか、妹が場を取りなす様に勧める拳サイズの石を受け取る。
「オッケー。やってみる。」
石を掌にのせ、目に魔力を纏わせる。そのまま石に魔力を注いでみるも、外に垂れ流され石にはほんの少ししか注入されていない。
(ただ流すだけじゃダメってことかぁ。)
気を取り直し、今度は、スポンジに水を染み込ませるイメージをしながら魔力を注いでいく。直前でハッと、注ぎ過ぎると石が割れると妹が言っていたのを思い出し、かなり絞って少しずつだ。だがそれにも関わらず、注ぎ始めて5秒も経たない内に石の所々が磨りガラスの様な半透明になった。所々、ガラスの様に透明な箇所もある様で岩に宝石の原石が覗いているのに似ている。魔力視でみると魔力が入っている所と入っていない所があり、かなりスカスカだ。スポンジのイメージで注いだのが悪かったのだろうか。
それなら、と、宝石に着想を得、水を染み込ませるイメージでは無く石をマグマのように熱で溶かす様なイメージで濃度を高くした魔力を、魔力が満ちていない場所を意識して埋めていく。すると、魔力が満ちていっている箇所から段々とガラスのように透明になっていく。残るは中心付近のみだ。中心に行けば行くほど注ぎにくく、かなり集中しないとどんどん外へ流れ出てしまう。それでも魔力を垂れ流しながらもなんとか強引に注ぎきった。これ以上は壊れるという限界まで注ぐと、集中を解き椅子に座り込んだ。
「で、できました。」
一応伝えたが妹から返事はない。集中しているようだ。
気を取り直して石に意識を戻す。属性を意識していなかったからか、色はなくガラスの様だ。だが注ぎ方のせいか、内部に傷というかクラックの様なものがかなり多く、お世辞にも美しくはない。しかも少し濁っていて透明度も高く無く、よくラノベである高級な魔石の様な宝石としての価値は無さそうだ。何てったって美しくない。妹はどうしているかなと目をやると、まだ手のひらの石を見つめて集中している。
まだかかりそうなので一先ずこれを鑑定する事にする。
魔力石(⭐︎)
魔力がこめられた石。
て、⭐︎!なんか普通じゃない?世間に出回っても大丈夫そうな気がする。逆に安く買い叩かれそうではあるけど・・・。塗布用エリクサーの事考えたらこっちの方がまだまし。続き。
魔力石(⭐︎)
魔力がこめられた石
内包魔力は多いが、均一化されていない為脆い。使うと壊れる。
(均一化?使うと壊れる・・・使い捨てって事!?)
「お姉ちゃん、出来た?私も成功したよ!」
そう言うと妹は両手で魔石を持ち差し出してきた。私のものよりかなり透明度が高く、宝石の様で驚いた。
「えっ!?めっちゃ透明。宝石みたいで綺麗・・・。全然クラックないじゃん。完全に負けた・・・!」
「えぇ??あ、ホントだ・・・。お姉ちゃん、どうせ最初から適当に魔力流したでしょ、これ。周りからパズルみたいに隣同士の魔力が均等になる様に注いでいくと間のヒビが消えて透明になるみたいだよ。中がブロックみたいになってる感じなんだよね。やってみて分かっただけだけど。」
「均等に、かぁ!それは意識して無かったわ。そりゃクラックだらけだよね。まぁやってみても私には気付けなかった訳ですが!それと気付いたんだけどお姉ちゃん、魔力操作まじで下手みたい。魔石に注ぐ以外に周りに魔力垂れ流しになりながら注いでた。魔力視のせいで悲しい事によく分かったよ・・・。」
「ああ、うん・・・。そだね・・・。この部屋ね、お姉ちゃんの魔力が満ち満ちてて、私今、電気風呂に入ってるみたいな感じに軽くビリビリしてるんだよね。軟膏作ってた時と同じ。慣れるとマッサージ気分で気持ち良いけど。魔力がっつり減ってるんじゃない?この部屋の魔力、いっそ神域とか出来そうだもん。」
「え、この魔力もしかして、ドア開けたら外に垂れ流されていく?」
「うわ、確かにそうなりそう。外の草花達、変な風に活性化したりしないよね?」
「分かんない・・・。どうしよう。」
「あっ、水に混ぜ込んで高濃度魔力水とかに出来ないかな?あとで魔力補充したい時に飲めば魔力が回復!みたいな。」
「それって養魔草から作るポーションと同じじゃないの?」
「うーん、そうかもしれないけど、こっちはお姉ちゃんの高濃度魔力だから、低魔力の生物が摂取したらどうなるか分かんないよね。最悪、パーンってならなければいいけど。もしくは突然変異とかに・・・。」
「うわ。じゃあ完全に自分達用ってことか。」
「何があるかわからないし、それが作れるなら持ってて損は無さそうじゃない?」
「そだね・・・、じゃあやってみるか。みーちゃん、見てて、アドバイスがあればよろしく!」
「はぁい。あ、じゃあ早速だけど、そのお鍋はしまって貰って、魔法で水球作ってもらっていい?」
「こう?」
取り敢えずで取り出した鍋を言われるがまましまい、直径30センチメートル程の水球を水魔法で発現させる。
「うん、それを渦巻きみたいにぐるぐる水流を起こせる?」
「うむ、できるけど難しい・・・!これでいい?」
「うんうん。上から私が、部屋に満ちてるお姉ちゃんの魔力を注ぐから、いいよって言うまで掻き回しといて。」
「んぐ、頑張る・・・、頑張るけど、やれるだけやるけど
早く・・・!長くは持たない!」
「ええ・・・、決め台詞っぽいのに、言ってる内容は残念すぎる・・・。」
妹はげんなりしたように呟きながら、おそらく念動力を使っているのだろう、半球状のボウルの様な形にした膜で床に満ちている魔力を掬い上げる様にして水球に上から注ぎ込んでくる。ご丁寧に注ぐ際には膜を漏斗状に変形させて。器用な事だ。
すると、粘度が増した様にかき混ぜるのが急に重くなった。そのまま頑張って何とか混ぜていると、淡く光り妹から静止がかかった。
「完成だよ。」
混ぜるのさえ止めれば、水球を浮かせておくのには何ら問題はない。
「鑑定しよ、鑑定。」
妹に促され鑑定する。
高濃度魔力水(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)
取り込むと魔力が回復する
うーん、タッチで追記
高濃度魔力水(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)
取り込むと魔力が回復する
(ん?続きないの?)




