行き成りプロローグで死に掛ける!
何でこう成ったんだろう・・・思い出せる限り記憶を手繰って見たが殆ど何も思い出せ無い。
そうベタ過ぎて自分で言うのも恥ずかしいが、現在ボクは目下❝記憶喪失中❞と言う奴らしいのだ!
ボクは気が付いたら誰も居ない海岸の波打ち際に転がっていた・・・冷たい波に躰を洗われ気が付いたが、周囲に誰も居らず何も落ちて無かった。
川を探したが見付から無かったので、仕方なく砂浜を突破し様と内陸に向かって歩み始める。
それが間違いだった・・・砂浜は砂丘どころか砂漠だったらしい。
暫くは歩いたが力尽きて今では這う様にして前に進んでおり、少し前から乾き過ぎて眼も開けられ無く成った。
ここ迄かと何度も思ったが、その度にコンナ所で死んで堪るかと自らを叱り付けて前に進んだ。
前に進め・・・川にでも当たれば見っけ物、池だって井戸だって良い、とにかく人の居る所まで行き付ければ何とか成るかも知れない!
とにかく出来る限り進む・・・こんな状況も何も解らない状態で、死亡る何て納得が行かない!
せめて死ぬ時は見られる姿で死にたい・・・こんな所で干物に成って死ぬなど、女として絶対に我慢出来無い!
そうボク何て一人称使って居るけど、これでも花も恥じらう女の子だ!
アレからドレくらい時間が経過ったのだろう?
まだボクは動いている・・・って事は負けてはいない!
「コレコレそんな事でヘバッてる様じゃ、マダマダ次の教えを授けられんぞ・・・この時代じゃ会得しても役に立たん代物、そろそろ諦めても良いだろう?」
そうボクに語り掛けるのは誰だろう?
「来週グァム島の❝しゅーてぃんぐれんじ❞行くんだが、オマエも行くだろう?まったくオマエと来たら女のクセに、こんな趣味ばかり走って・・・・・」
誰の所為だよ!
「山ちゃんの畑を荒らしてたイノシシ倒したぞ!これ解体を手伝え・・・・・」
また猟友会の爺さんたちと狩りに行ったのか?
そう言う事を手伝わせるから、ボクが女の子らしく成らないんだろうが!
「あのクソジジイ剣術道場の主たる者が趣味で鉄砲に現を抜かすとは何事だと抜かしやがった・・・一度でもワシに勝ってから言って見ろってんだ!そもそも彼奴がやってるのは剣道、剣術とは言えんだろうが・・・・・」
まだ道場主の会合で喧嘩して来たな?
「すでに戦いの主な道具は銃器に移り変わって久しい、ワシも好きでやってるが剣術など既に太古の遺物・・・なのに何故辞められないのかのう?」
そりゃ好きだから何じゃ無い?
「これマコトや・・・・・」
ナンだ爺ちゃん・・・・・
そうボクの名前は❝マコト❞漢字では❝龍神寺 真琴❞と書く!
これでも中体連の全国大会で3年優勝し続けた剣術少女だ!
「こんな程度でヘバッてるんじゃワシの技を引き継ぐなど出来んぞ・・・そんな情けない奴はオシオキじゃあ♪」
そう言って人のオシリを叩きに来るんだ、あのスケベ爺が・・・もっともコッチも黙って叩かれてはやらなかったけどね!
そう大好きだった両親が交通事故で亡くなった後、お爺ちゃんが私を引き取ってくれたんだ!
ボクの家族・・・お爺ちゃんも大好きだった・・・なのに名前も顔も思い出せない!
このまま死ぬなんて・・・絶対イヤだ!
急に意識が鮮明に成り下の地面が湿ってる事に気が付いた。
土だ・・・何時の間にか砂の世界を突破したらしく、水も無く突破出来たのだから砂漠と言うには大袈裟だったのだろう。
何かを掴んだ・・・草だった!
ボクは必死でむしると口に放り込んで咀嚼する。
吐き出したく成るほど不味い・・・でも不味いと感じられるのは生きてる証拠だ!
瞼は張り付いてマダマダ開けられ無いし、手探りじゃ毒草を食べる可能性も有る。
ボクは慎重に咀嚼しながら・・・渋い以外の味覚が来ない事を確認してから飲み込んだ。
まだボクは負けて無い・・・まだボクは先に進める。
そう・・・こんな簡単に諦めたら敗北を認める事に成る!
それは負け・・・ボクは絶対に負けたくない!
それに簡単に負けを認めたら、あのスケベ爺がこれ幸いとボクのオシリにチョッカイを出しに来る!
さあ進めっ、進むんだよ前に!
ずっと続いている耳鳴りが違うモノに変わった。
何だろう・・・人の・・・幼い女の子の叫び声みたいに聞こえる。
身体を抱き起される様な感じがして、口元に冷たいモノが当てられた・・・そこで意識が完全に途切れた。